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奏エ戦記  作者: 心鶏
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第六話  打撃無効だった件

 頑は満島に修羅の道以外の方法も探しておけと言われ、藤高にお金の件を相談していた。

「ふ〜む。一つ勘違いしているようですが、ピーナッツの戦士はスポーツ選手とは違います。スポンサーがついてもほとんどは会社のお金になります。なので、どれだけ知名度のある戦士も、実力がある戦士も、多少の違いはあれど、みんな給料にそれほど大きな差額はありません。その分、福利厚生がしっかりしているわけです」

 戦闘所2階のオフィスでがっくり肩を落とす頑。伝説的な藤高ならそれくらいの額は余裕で持っているものだと思っていた。

「一応、方々に掛け合ってみますが、あまり期待しないでください。ここ最近はいい感じですが、やっぱりあの喧嘩でお二人の評判はよくないので……」

 頑は今初めて、自分の愚かさを後悔した。

「やっぱり、勝つしかないんですか?」

 藤高はため息をついて言った。

「わあしはその方が早いと思っています。お二人なら十分実現可能だとも思っています」

「テキトー言わないでください」

「本気ですよ。もちろん、今のままではいけませんが」

 その時、誰かが階段を上がってきた。

「来ましたね〜」

 現れたのは満島みつしま 沙夜さよだ。先日退院し、運動は禁止されているものの、もう歩けるほどに回復している。

「こんにちは、奏エちゃん。お久しぶりです、藤高さん」

「沙夜さん?」

「あいつから聞いたよ。彼氏のこと、大変だね。とまあ、それはそれとして、ちょっと付き合ってもらうよ。お願いします、藤高さん」

 藤高の案内で二人は3階に上り、転送機に入り、仮想空間へ。

 真っ白な世界には頑と沙夜の二人だけ。

「これはどういうことですか?沙夜さん」

「……。しばらく戦闘やってなかったからね、練習試合、付き合ってよ」

 沙夜は召喚された剣を受け取りながら話す。

「私さ。どうやら修羅の道の開幕直前に、復帰戦の特別戦闘が組まれてるらしくてね。それまでに意識と体の不一致に慣れておこうと思って、付き合ってくれるよね?」

 剣を頑に向ける沙夜。

「奏エちゃんも修羅の道を勝つなら、戦わないと、でしょ?」

「……わかりました。でも、本気でいきますよ」

「フフ、舐めないでよ。レベル1とレベル2じゃ負けたことないんだから」

「近接戦闘戦車に変身」

 戦車と化した頑が沙夜へ、ジェットを使って間合いを詰める。相手のリーチに入るギリギリのところで止まり、そこから。

「砲撃!!」

 ブフワアアァァン!!

 命中したかに思えたが、沙夜は砲弾を水平に薙切りながら、頑の車体正面に飛び蹴りをお見舞いする。

 蹴られた頑はここ最近の戦闘の経験から得た勘と、沙夜の余裕げな表情から察した。

 この人は先輩よりずっと強い。


 休暇中の満島は家で電話をかけていた。

「綾木戦闘所の満島です。今日は折り入ってお願いがあり、お電話させていただきました」

「何?空雄くん。そんなにかしこまって」

 電話の相手は桐原 理生だ。ベテランの女性戦士で、満島の父や頑の母が綾木戦闘所に居た頃、この人も綾木戦闘所の戦士だった。そのよしみから満島は世話になることが多かった。

「単刀直入に言います。選考戦を負けてもらえないでしょうか?」

 少しの間、沈黙が流れたが、満島は発言を取り消さなかった。

「ごめん、もう勝っちゃった。事情を話して、負けてくれなんて、まるで空雄くんの言葉じゃないよ」

 満島は頑の状況を話した。

「ネコさんも言ってくれればいいのに水くさいなぁ。お金の方をなんとかする方向で、いろんなところに掛け合ってみるよ」

「すみません、ありがとうございます」

 満島は丁寧にお礼の言葉を並べ、電話を切った。

 しまった。「アイワンパンチ」はもう、3連勝を決めたのか。なら、今二連勝中なのは一組だけだな。

 満島は再び電話をかけた。

「満島だ。無理を承知で頼みがある」

「らしくねえな。どした?」

 電話の相手は満島の同期、武田 祐大だ。武田のコンビ「バロン」は現在二連勝中で修羅の道へリーチをかけている。

「選考戦を負けてくれ」

「お前、意味わかって言ってんのか?」

「ああ。規約違反だ。戦士の心を冒涜する行為だ。百も承知だ。それをわかった上で頼む」

「良くないことが起きているな。それもお前自身じゃない。お前がそこまで必死になるのは周りの、奥さんか、藤高さんか、吉野さんか、……奏エちゃんか」

 満島はようやく事情を話した。

「なるほどな。二十歳の女の子にはちょっと酷だな。しかし、規約違反だ。バレたら俺もお前も戦士ではいられなくなるだろうよ」

「……」

 今度は満島が辛気臭い顔をして沈黙を作った。少しの間が空いて、武田が笑った。

「バレたら、な。フフ、お前今、辛気くさい顔してただろ。任せろ、上手くやる」

 満島は感謝のあまり、言葉に詰まった。

「……すまない。必ず何かで埋め合わせはする」

「おっと、条件が一つあるぜ」

「人の命がかかっているんだ。なんでもする」

「オーケー、じゃあ、絶対勝てよ」

「ああ」


「さあ、やってまいりました!修羅の道への狭き門に滑り込め!ピーナッツ修羅の道、選考戦!!」

 修羅の道への挑戦権は残り一枠。しかし、一昨日2連勝中だったバロンが負け、現在連勝中の戦士はおらず、セブンライトにも十分チャンスがある状況だ。

「実況は清水 武雄、解説は吉野 優樹さんです。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「さあ、本日の戦闘は、前回、選考戦初勝利を収めたこのコンビ「セブンライト」!!対するのは500を超える戦闘をこなし、勝率92.04%!常勝とは彼のこと!河合 優也。そんな彼からの刺客はブラックスライム!敗北は修羅の道挑戦権を獲得している「徒手空拳」に負けた一度のみ。セブンライト!連勝するには相手が悪いか!?さて、この戦闘、いかがでしょう。吉野さん」

「はい、河合さんの刺客なだけあって、本当に強いんですよこのスライム。でも見てください、奏エちゃんの目。あの目、劣勢をひっくり返すときの頑さんそっくりなんですよ。セブンライト、今日は相当強いと思いますよ」


 吉野の言う通りであった。

 頑はここ数日の間、沙夜と実践訓練を1日12〜14時間もやっていた。頑は生意気だが真面目で根気だけはよく、着実に戦闘技術を伸ばしていた。そこからくる自信と覚悟が瞳を通して漏れ出しているのだ。

 一方満島も、友との約束と恩のため、もう絶対に負けられなくなっていた。

「作戦は前回同様、俺が前に出て遠隔衝撃パワーグローブをチャージする。お前は後ろから援護を頼む。ブーストは温存するが、使わずに負けるのは避けたい。瀕死まで追い込まれたら使え」

「はい」

「先のことは考えるな。目の前の敵を倒すことだけを考えろ」

「はい」

「勝つぞ」

「はい」

 頑が素直なのは、満島のことを信頼し始めている証であった。

「準備はいいですか〜」

 藤高の間の抜けた声が仮想空間に響く。

「はい。お願いします」

「いけます」

「では〜、戦闘を開始します」

 ドロルリヤ!

 二人の前に真っ黒なスライムが現れる。サンドバッグほどの大きさで直立している。

「遠隔衝撃パワーグローブを」

 満島はグローブを装備し、衝撃波を溜めながら、走ってスライムに殴りかかる。

 バツッスグニャアン!!

 スライムは一瞬で満島と全く同じ姿に変身し、満島が繰り出した右ストレートに左ストレートを合わせた。そして、満島の拳を自分の左拳の中に取り込み、背負い投げを決める。


「出たぁ!!これがブラックスライムの恐ろしい特徴!変身だ!出バナをくじかれるセブンライト!」

「あの変身が強いんですよね。戦士が装備している武器や変身状況を丸々真似て、河合さんのどんな手段を使っても勝ちに来るスタイルで攻めてくるわけですから」

「やはり、武器や変身の使い方は現役の戦士たちの一歩上をいっていますよね」

「そうなんですよ。そこが河合さんの性格の悪いところで、要はこの変身って、お前らより俺の方が強いから同じ条件でも勝てるぜ、ってことですからね」

「そんな挑発でも、それが事実なんですよね」

「だからこそ、余計にタチが悪いんです」


 床に叩きつけられた満島はまだ拳を捕らえられている。スライムは満島に抵抗させない速さで腰の剣を抜き、突き刺そうと振り上げた。

 ボフウワアアアアン!!!

 頑が放った砲撃がスライムの剣を吹き飛ばす。

 スライムは満島を離し、頑の攻撃に備えようとするが、満島がスライムを掴んで離さない。

 ダオバシャアアァァァァンン!!!!!

 頑戦車の体当たりがスライムを捉え、満島を残し、スライムだけがぶっ飛ばされる。

「すまない。助かった。あいつはヤバそうだ」

「見ればわかります」

 遠くへ吹っ飛ばされたスライムは、満島の姿から頑の戦車に姿を変える。

「打撃は効かなそうだ。おそらく、今のお前の体当たりもダメージにはなってない」

「手ごたえはなかったです」

「やはりか、攻撃手段がわからないな。砲撃で援護を頼む。探りをいれる」

「了解です」


「セブンライト、いいコンビになってきていますよね」

「本当にそうですよね。あの喧嘩してた二人とは思えないですよ。奏エちゃんも空雄の指示をよくきいているし、空雄も奏エちゃんの援護を信じ切ったアドリブの連携が取れてますからね」

「アドリブの連携というのは、先ほどの体当たりですね」

「はい。あれ、空雄は背負い投げされた直後で仰向けなので、奏エちゃんの攻撃は見えてなかったはずなんですけど、砲撃だけで終わらないで、体当たりもしてくると読んだから、スライムの腕を掴んで逃げられないようにしたんです」

「二人の信頼関係が見える一瞬だったんですね。さあ!ここで満島、再びスライムに向かっていく!スライムは近接戦闘戦車の姿だ!」


 満島がスライムに向かって走っていくと、スライムも満島に向かって飛んできた。

 スライム戦車は低空を飛びながら満島に砲撃を打撃ち放つ。右に左に蛇行しながら射線を外してかわす満島。

 激突する寸前でスライムはジェットを使って飛び上がるが、読み切っていた満島はスライムと同時に跳躍して、腰の剣を抜刀し、空中でスライムを切り下ろした。

 ニグリュゥアアンン!!

 手ごたえはなくすり抜けて着地した。

「切ってもダメか」

 スライムは真下にいる満島に砲撃を放ったが、満島は剣で受けきる。

 その隙に頑がスライムに砲撃を撃ち込み、再び突進を始める。

 満島は剣を腰の鞘に戻し、背中の大槌を構えて飛び上がり、砲撃に怯んでいるスライムをぶっ叩く。同時にジェットを使い、最高速で迫っていた頑のアームパンチが決まる。

 バチュグアアアアアアァァァァァンン!!!

 デヂグウウウゥゥゥゥゥンンン!!!


「ダブルパンチだぁ!スライム壁際まで吹っ飛ばされる!」

「コンビらしい攻撃ですね。様になってる」

「ええ、立ち上がりからここまで、息が合っていますよね」

「本当にそうですよ。意外と相性がいいんじゃないですか、あの二人」


「普通の攻撃じゃ倒せそうもないな」

 スライムは満島に変身して起き上がり、ゆっくりと二人の方へ歩いてくる。

「先輩、スライムって、要は水の塊ですよね?凍らせて砕けばいいんじゃないですか?」

「なるほど、悪くないかもな」

「やってみます。冷凍ミサイルを装填」

 頑は歩いてくるスライムに両アームの照準を合わせた。

「援護する」

 満島は大槌を構えて、スライムに向かって走り出した。

 お互いに走り、全く同じ動作で大槌を振り、ぶつけ合わせる。

 バツサアアアアアァァァァァァァンンン!!!!

 次の瞬間には満島は大槌から手を離し、スライム満島のみぞおちを膝で蹴り上げている。

 ドルヤアアァァァン!!

 すぐさまスライムの少し浮いた背中に両腕を振り下ろし、思いっきり地面叩きつけた。

 バッダアアアアアァァァァンン!!!

「頑!!」

 満島が合図を出しながらバックステップで距離を取る。

 頑戦車が状況を見て、すでに撃っていた二発の冷凍ミサイルがスライムに着弾する。

 ダアアヒイイイイイィィィィィィィンン!!!!

 変身を解いたサンドバッグ型のスライムは激しく悶え、徐々に凍りついていき、数十秒で完全に停止した。


「セブンライト!見事なチームプレーでブラックスライムを氷漬けだ!!」

「二人とも致命傷は避けていますし、非常に良い流れですね」

「このまま二連勝となるか!?」


 満島はさっき手放した大槌を拾い、頑と氷漬けのスライムの前に立った。

「ブーストは温存して、自力で叩くぞ」

「え?畳み掛けないんですか?」

「今までの奴に比べて、底が浅すぎる。打撃も斬撃も効かないとはいえ、速さも力も俺たちと同程度だ。まだ何か隠している可能性が高い」

「保険のブーストですね」

「ああ。まだ油断するな」

 二人は同時にスライムに攻撃した。満島は大槌を振りかざし、頑はジェットで車体の重さを乗せたアームパンチを繰り出した。

 攻撃が届く前にスライムの表面の氷が砕け、満島の姿のスライムが現れた。

 スライムは頑のアームを、頭をひねってかわしながら、

 ガアロオオヤアアアアアアァァァン!!!

 頑の車体を下から膝で蹴り上げる。

 ドオシャアアアアアァァァァンン!!!!!

 その隙に満島の大槌がスライムを地面に叩きつける。しかし、スライムはもろともせずに弾んで立ち上がり、満島に右拳を向けた。

 ッッバッツダオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォンンン!!!!!!

 スライムの右拳から凄まじい衝撃波が放たれ、満島は一瞬にして反対の壁まで吹き飛ばされる。

壁に体を強く打ちつけ、ダラリと地面に落ちた満島。

「はあ……はあ……。グローブまでパクるのか……」

 スライムはいつの間にか満島と同じ遠隔衝撃パワーグローブを装備していたのだ。

「厄介すぎるな……」


「ブラックスライムの反撃!!ここからが本領発揮か!?」

「相手の油断を誘うとか、本命の攻撃方法を隠してるとか、やっぱり河合さんっぽい戦い方ですね」

「勝つことが最優先ですからね。あらゆる手段を使って積み上げた勝ち星の数は486!勝率92.04を誇る冷酷無慈悲の魂がこのスライムには宿っている!」


 頑が右アームでスライムを叩こうとするが、スライムは左手で容易にいなし、ついでに拳の中に取り込み、頑の車体を床に叩きつける。そして、

 ボッシュゴオオオアアアアアアアアアアァァァァァァァァァンン!!!!!!!

 左拳から衝撃波を放ち、取り込んでいる頑の右アームを粉砕する。

 頑は吹き飛ばされたが、ジェットを使いすぐさまスライムに向かう。

「負けるかあああぁぁぁ!!!」

 スライムは頑の戦車に変身し、両アームを頑に構えた。

 バッツヒュウウイイイイイイイイイィィィィィン!!!!

 襲いかかる頑に発射されたのは冷凍ミサイルだった。頑戦車は氷漬けにされ動きを止めて、地面に落ちた。その車体をすくい上げるようにアームで殴り、ゼロ距離砲撃をくらわせる。

 バリョオウアアアアアアアァァァァンン!!!

 ボッワアアアァァァン!!!

 衝撃で氷は砕け、頑は満島の元まで飛ばされる。

 二人は起き上がりスライムの方を確認した。戦車の姿で低空飛行しながら、ゆっくりとこちらに向かってきている。余裕綽々のようだ。

「頑、粘着油弾を装填しろ。冷凍がダメなら燃やすぞ」

「冷静に考えてください。安易です。温度に対して強いなら他の方法を探した方が」

「お前の戦車の砲撃には微妙な熱がある。だが、あいつの砲撃は熱くなかった。支給品まで忠実に真似てくるのに、熱は真似てこない。賭ける価値はあると思うが、どうだ?」

「……わかりました。粘着油弾を装填」

「二人で行くぞ。お前はアームが壊されてるから弾が一発しか撃てない。確実に当てろ。援護はする。お前が当てたらすぐさま燃やしてやる」

「わかりました」

 満島は吹っ飛ばされた時、大槌も別のところに飛ばされていたため、腰の剣を構えた。

 二人は一気にスライムの元へ駆け出した。

 ジェットの頑は満島を追い越し、一足先にスライム戦車と対峙した。

 ボッハウアアアアァァァァンン!!ボッハウアアアアァァァァンン!!

 スライム戦車が二本のアームから放った粘着油弾が頑に命中した。しかし、頑は気にせずスライムに体当たりをかます。

 ドリュウアアアアアァァァァァァンン!!!

「逃がすかああぁぁぁ!!」

 たった一本のアームで抱きかかえるようにスライムを拘束し、車体の上部に粘着油弾を撃つ。

 ドラアアアアァァァン!!!

 油まみれで取っ組み合う頑とスライムの元に満島が到着した。

 満島は剣を片手で構えて飛び上がり、

「火炎瓶を」

 もう片手に現れた火炎瓶をスライムに投げつけ、同時に斬り下ろす。


「火炎斬りだああぁ!!頑ごとブラックスライムを炎に葬る!!!」

 大炎上しながらも頑はスライムを抑えている。暴れるスライムをジェットで壁の方まで押し込むが、途中で払い飛ばされ、満島の元に戻る。

「炎を纏った二台の戦車!頑は平気そうだが、スライムはやや苦しげだ!」

 満島は頑とスライムの争いで飛んできたスライムの破片を手に取り、引きちぎって勝利を確信した笑みを浮かべた。

「あっ、スライムが固形化していますね」

「本当ですね。セブンライト!土壇場で勝機を見出したか!?」


 満島の隣には炎上中の頑がいる。

「熱くねぇのか、それ」

「意外と平気です」

「そうか。作戦は成功だ。あのスライムは固形化している。おそらくもう変身はできないだろうし、攻撃が効くはずだ。俺はグローブの高火力がある。お前がブーストを使え」

「わかりました」

 ジェットを使って高速で向かってくるスライムに対し、頑もジェットで向かっていった。そしてぶつかり合う瞬間、

「変身解除、ブースト発動」

 ユイーン!

 頑は人の姿に戻った。車体ごと炎は消え、壊れた右アームは右腕として復活した。

 変身は身体が二つあるようなもので、ダメージは共有されない。そのためノーダメージの頑はスライムの下に潜り込み車体を掴む。ブースト中であるため、炎も燃え移らず熱もノーダメージである。そこからブーストの超パワーでスライムを満島の方へぶん投げる。

 凄まじいスピードで投げられ、ジェットでも軌道すら変えられないスライムに対して、満島は両手のグローブを構えた。

「終わりだ」

 ッッバッツスラドオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!!!!!!!!!

 満島の目の前でスライムは粉々に爆散した。

 ブザーが鳴った。


「決まったあぁぁ!!超火力のコンビネーション!!セブンライト!2連勝!ブラックスライムに二つ目の黒星をつけた!」

「強かったですね。この調子でいけばひょっとするんじゃないですかね、セブンライトの二人」

「そうですね、期待しましょう。さて、明日の戦闘は前回初勝利を収めた黒尾戦闘所の中堅コンビ「はいろっく」!対するは、超常を使いこなす妖艶の魔女!宮野 涼香からの刺客、能力者 ククス!!はいろっく、セブンライトに続いて2連勝を得ることができるのか!?」


満島は身体中についたスライムの破片を払いながら、頑の元へ歩いて行って、拳を突き出した。

「あと8勝だ」

「はい……」

頑は突き出された拳に自分の拳をぶつけて返事をした。

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