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奏エ戦記  作者: 心鶏
2/16

第二話  轟け!THE Beast

 修羅の道の詳細がピーナッツニュースにて公開された。

『修羅の道  開催8月1日


 参加資格 

・二人一組のピーナッツ所属の戦士・イージー版ユーザー

・5月1日より始まる選考戦を三連勝していること

・修羅の道挑戦権を得られるのは先着五組まで


 選考戦   開催5月1日

・レベルは修羅の道同様α1

・修羅の道開催、もしくは先着五組が決まる。もしくは修羅の道参加資格を得るまで何度でも挑戦可能。ただし、イージー版ユーザーは精神的健康を考慮し1日3回まで

・相手はランダムで決まる

・相手は全て、元ピーナッツ戦士が用意する


 修羅の道

・レベルはα1

・全七戦で一度でも負ければ脱落

・全勝し修羅の道を踏破した者には、最高の栄誉と賞金一億円が送られる』



「ピーナッツ修羅の道のテーマソング「ラストパンチ」歌っていただきました。頑 奏エ(かたくな かなえ)さんです」

「はい。こんにちは。お邪魔します」

 頑は全国放送の音楽番組に出演中だ。

「かっこいい曲でしたねー。熱い戦いが目に浮かぶようでした」

「ええ、ありがとうございます」

「頑さんは戦士として、修羅の道にも参戦されるんですよね」

「はい。そうなんですよー」


「ケッ」

 満島はテレビを消した。

「なんですか〜。嫉妬ですか〜」

 戦闘所の二階。いつものようにコーヒーをすする藤高。

「いえ、別に。広告塔としては機能してるみたいですね」

「はい。さすがの歌唱力ですよ〜。ヒットチャートにも乗りましたし〜」

「本当に参戦の必要あったんですか?」

「話題性としては絶対的な事項ですよ。本人も戦いたがってますし〜。満島さんは出たくないって感じですね?」

 当たり前であった。気の知れた仲間や、頼れる人ならいざ知らず、まだ難易度もよくわかっていないレベルに挑戦するのに、相棒がずぶの素人、しかもセンスも何もない、なんなら人間的に少々嫌い。所長の権限によりそんな奴と強引に組ませられ、いい気分がする奴なんか変態である。

「出るからには本気でやりますが、正直、選考戦も突破できないのが目に見えてます」

「そうですか〜?」

「!? 一体、あの歌バカのどこに勝算が?それに俺だって、一流の戦士みたいに強いわけじゃないし。そんな二人が組んだって……」

「頑さんの変身訓練、見てないんですか?」

「いちいち、訓練の様子なんて……。あっ、変身だけ評価5でしたね」

 変身、敵のレベルが3以上から可能になる。他の敵に変身できる機能のことだ。しかし、仮想空間では感覚で体を動かすため、変身すると自分にない部位を感覚で動かさなければならない。ない尻尾を振り、ないレーザービームを発射し、ない魔法で空を飛ぶ。

 その難しさゆえに、戦士でも変身を使いこなす者は少なく、認定試験では変身の評価はするものの試験の採点基準にはならない。

 試験の評価では、変身のみは平均評価が2であり、3・4までいけば、上々だ。

 ちなみに頑の母が戦士になった頃には、変身は訓練にはあったがまだ試験項目にはなかった。そのため、訓練なしで軍から転職した頑の母は変身を初めて使ったのが本番であったが、それでも完璧に使いこなしていた。

「血筋なんですかね〜。すごかったですよ。一番難しい多手多足の機械だったんですけど〜。もう自分の体みたいに扱ってました〜」

「いや、でも。変身だけじゃ」

「長所はあるってことです。まったくの無理難題じゃないとおもいますよ〜」

 他人事でしかないな、この人。満島の心のぼやきであった。



「さあ、はじまりました!!目指すのは頂点のみ!!修羅の道の前哨戦!!ピーナッツ選考戦!!」

 放送、実況されるのはピーナッツの戦士のみで、イージー版での戦いは動画サイトに動画が配信される。

「実況は私、清水しみず 武雄たけお、解説は河合かわい 優也ゆうやさんです。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 河合 優也は500戦を超える戦闘を経験し、勝率9割を誇った戦士で、定戦闘所の最盛期のエースだった人物だ。

「さて、本日はみなさん、お待ちかねの綾木戦闘所の二世戦士コンビ「セブンライト」!!信頼厚き中堅戦士、満島みつしま 空雄そらお!!そして相棒は修羅の道の歌姫、果たして戦えるのか!?頑 奏エ!!さあ、まずこの二人。河合さん、いかがでしょう?」

「はい、空雄くんに関しては、やっぱり一定の安定感がありますから、強みにも弱みにもなる奏エちゃん次第ってところですかね。まだ、あまり情報がないので、なんとも言えませんけどね」

「不安な要因は頑ということですね。さて、その二人が挑むのは!?あらゆるピンチを突撃という無謀で切り抜けた。ピーナッツ1の特攻隊長!羽多野はたの 俊哉しゅんやが作ったビースト!爆音怪獣!!すでにイージー版含め3000以上の戦闘をこなし、未だ17敗という好成績。セブンライト、初戦で当たる相手としては苦しいか?いかがでしょう、河合さん」

「いくつか、戦闘を見させてもらいましたが、非常に羽多野さんらしい、ゴリ押しに近い戦い方をするので、ペースをもっていかれると、戦士側は手がつけられなくなる印象がありますね。セブンライトの二人、特に奏エちゃんは場数を踏めていないので、ペースをもっていかれやすいと思いますし、もっていかれたら終わりだと思いますね」


 そんな厳しいコメントを知る由もなく。

「いいですか〜。α1の説明は先週した通りです。わあしは主催者側なので戦術に関して口出しできません。黙っていますが、支給、ブーストの際はいつでも言ってくださいね〜。どんな小声でも聞き逃しませんから〜」

 ブーストとはα1の特徴の一つで、α1ではある程度、戦士側にダメージの軽減や身体能力の強化などがあるが、それでもα1の敵は攻撃を軽く受け止め、たやすく骨を折る。

 しかし、ブーストは発動から5秒間だけ、攻撃力、守備力共に上限まで跳ね上がる。一度の戦闘で一回きり、二人の内どちらかが発動すれば、その戦闘では使えなくなる。これの使い所がα1の戦いの全てである。

「わかりました」

「了解です」

 俺は両腕に盾を装備した。頑はアサルトライフルに弾倉をつけようとしている。

 戦闘開始前に五つの武器の中から一つを選ぶことができる。

 剣、両盾、大槌、短剣、アサルトライフル、単純に考えればアサルトライフル一択なんだろうが、相手はレベル4以上の強敵、レベル4の強さの時点で、銃は避けられ、防がれ、耐えられる。ならば、ブーストを使った近接武器の方が有力な攻撃手段だ。とはいえ。

「先輩、これってどうやってつけるんですか?」

「チッ」

 訓練所にいたんじゃないのか。こいつは。

 このウスノロが近接戦闘でα1の敵を相手にできるわけがないのは、成績表でよくわかっている。苦肉の策だが、俺が盾を持ち、頑には銃を持たせ、前衛後衛をはっきりさせることで、頑が間違えても早期退場しないような形を作った。

 銃はある程度筋力がなければブレて、使い物にならない。しかし、このα1の戦闘では肉体にも補正がかかる。そうそうブレるようなことはない。

 満島は無言で頑から銃をもぎ取り、弾倉をとりつけて、頑に押し付けた。

「引き金を引けば撃てる。ためらわず撃て」

「はい!ありがとうがざいます!!」

「でけえ声出すな。歌バカが」

「すみません!!」

「チッ」

 こいつは俺が敵と戦っている時に、ひたすら撃ち続けてくれればいい、俺も巻き添えをくらうが、それで勝てるなら安いものだ。


「まだ、あまり打ち解けていないようですね」

「そうですね、α1の戦いはコンビネーション、信頼関係とかが重要になってくるとおもうんですがね」

 二人での戦闘ということで、各コンビの関係性なども、一つの娯楽要素にするため、二人の会話は中継される。


「準備はできましたか〜」

「できました!!」

「はい、戦闘開始よろしくお願いします」

「それでは戦闘を開始します。フフ、二人とも仲良くしなきゃダメですよ〜」

 真っ白な仮想空間に一体の化け物が召喚された。

 黒々とした毛をまとい、大きさは3メートルほど、ガタイのいい人型だが、頭にはツノ、口には鋭い牙、背中には翼がある。悪魔のようだ。

「下がれ!頑!」

 俺は化け物へ走り出した。同時に化け物も俺の方へ向かってきた。馬鹿でかいわけじゃない、近接でなんとか戦えるか。

 化け物はそのガタイからは想像できない速さで、右腕を俺の頭めがけ振り下ろしてきた。

 ッヅガッダァァァァァァンン!!!

 とっさに左腕の盾で受け止めたが、全身の骨に響く衝撃。

 化け物の追撃、左拳が横から飛んでくる。

 なんとか、右手でいなして受け流すが、これはやばい。レベル4より、ちょっと強い程度だと思っていたが、そんなもんじゃねえ。とんでもない緊張感だ。一撃でもまともに攻撃をくらっちまえば致命傷だ。これがα1か。ふざけたレベルだ。だが、スピードはまだついていけるな。


「これは殴り合いだぁ!満島!爆音怪獣の攻撃をさばいている!」

「一つのミスが命取りですし、空雄くんのカウンターもダメージがはいってるとは思えません。奏エちゃんの選択が重要ですね。」


「ハアハア……」

 ドズアアアアアァァァァァァァァァァァンンン!!!!!!!

 真上からの攻撃を盾でガードするが、とんでもない重さに体は悲鳴をあげ、立つことさえ苦しいっていうのに、右から左から正面から、拳が飛んできやがる。

 後ろに下がりながらかわしていくが、これでは体がもたない。頑は何をしている?チラッと頑を見た。アサルトライフルを不器用に構え、突っ立っていた。

「頑!何してんだ!!さっさと撃て!!」

「えっ。でも、先輩に当たっちゃいます……」

 ッズドアアアアアアアアァァァァァァァァァァァンン!!!!!!!

 強く踏み込んで、正面からの攻撃をガードする。腕が限界に近い。

「クッ!!いいから!撃ちやが___!!!」

 俺は怪物に足を払われた。倒れるより速く、胸ぐらをつかまれ、そのまま地面に叩きつけられた。

 ッドアアアアアアアアァァァァァァンン!!!

「ッガ……ァ!!」


「レベルα1!その戦闘技術も並ではない!一瞬の隙が命取り!満島!!これはピンチか!!」

「やはり、奏エちゃんが戦い慣れていないです。空雄くんのフォローをできるとは思えないですね。実質、空雄くん一人で戦っているようなもの。ピンチを切り抜けるのも彼次第といったところでしょう」

「セブンライト!!現状では選考戦を勝ち抜くのは難しいのか!」


 呼吸がうまくできない。背中と胸が同時になくなったみたいだ。血の味がする。起き上がる間も無く、怪物の容赦ない拳が、寝そべったままの俺を襲う。

 ドワアアアアンンン!!!ドワアアアアンンン!!!ドワアアアアンンン!!!ドワアアアアンンン!!!ドワアアアアンンン!!!

 盾でなるべく守ろうとするが、もはや関係ない。どこに当たっても、骨が響く。体が崩れていくようだ。頑はまだヒヨってんのか。クソが。

 このままでは瀕死で俺は退場だ。残った頑が何かをできるとは思えない。今しかないか。

「ブー……スト。発動……!!」

 ユイーン!

「ブーストを発動しました〜」

 ドワアアアアンンン!!!

 攻撃をたやすく受け止め、俺は身体中の痛みを無視して立ち上がり、怪物をつかもうとするが、怪物は状況判断ができるほど頭が良かったらしい。背中の羽を大きく広げ飛び立った。しかし、俺はジャンプで追いかけ捕まえた。

「逃がすか……。ボケが!」

 ッダアアアアアアァァァァァァンン!!!

 怪物を叩き落とし、マウントを取り拘束、思い切り怪物の腹を殴る。

 バッスアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァンン!!!!

「手榴弾を!」

 怪物の腹を貫通した拳の中に手榴弾が召喚される。片手でピンを外し、レバーをはなす。

「か!!た!!く!!な!!」

「は、はい!!」

 ッッドオオオオォォォォォンン!!!!!!

 ババババババババババババアアアァァン!!!!!

 怪物の腹中で手榴弾は爆発し、頑はアサルトライフルで満島もろとも乱撃したが、満島はブーストの効果により、全くダメージを受けずに済んだ。


「凄まじい起死回生の猛攻!!さすがは満島!食らいついていく、その姿は猛々しい狂犬のごとく!!」

「瀕死でも相手を負かそうという心は戦士の一番大切な物です。それがしっかりあるから空雄くんはたった一人でレベル4に挑んでも勝率5割なんですよ。」


 イーユン!

「ブースト終了です〜」

「ハアハア……。了解」

 怪物は寝たまま起き上がってこない。しかし、戦闘終了の合図がない。まだか。次の手を考えねば。俺の体はもうギリギリだ。自分でも立っていられるのが不思議なくらいだ。

 まず、ブーストはもう使えない。力では勝てなくなった、近接は無理だ。かといって、遠距離まで逃げるなんていうのも、この体じゃもう無理だ。だとすれば、追い打ちをかけて、終わらせるしかない。

 怪物の腹の傷はしっかり灰化している。火は効くみたいだな

「火炎放射器を」

 手元に火炎放射器が召喚された。ここで終わらせる。

「頑!!撃て!!」

 俺は火炎放射器の引き金にかかる指に力を込め、握った。

「ゴオオオオオオオオオオオオオワアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 とてつもない爆音を怪物が叫んだ。一瞬の怯みのうちに、怪物は起き上がり、俺の火炎放射器を拳で叩きとばした。

 音が聞こえない。鼓膜をやられたようだ。頭は痺れるように痛む。

「うるせえな……。てめえは……頑か!」

 万策も尽きた。残りの力で右ストレートを繰り出すが、たやすく捕まれた挙句、引き寄せられ強烈すぎる膝うちを顔面にお見舞いされた。

 俺は吹き飛んだ。音も聞こえず、頭もしびれ、痛みももう感じなくなり始めた。もう戦えない、退場か。惜しいところまで行ったような気がするが。ふと頑を見る。そこには機械の腕が生え、主砲がなくなった小型の戦車が空を飛んでいた。

 近接戦闘戦車か。確か、あいつの母親が初勝利した時の相手じゃなかったか。というか、まだ勝つ気なのか。あいつ。


「満島!爆音の前に撃沈!残るは頑だが、勝機はあるのか!?」


 目が覚めると、見慣れたベッド状の転送機。

「お疲れ様です〜。もうひと押しって感じでしたね〜」

 藤高さんがコンピューターの前で頑の戦闘を見ながら支給品の希望や変身の希望のため待機している。

 さっきまでの痛みは全くなくなり、いつも通りの体になる。そしてまた、次の戦いに備える、藤高さんの言葉を借りるなら、痛みの連鎖だ。

「頑はどんな感じですか?」

「善戦してますよ〜」

 モニターを覗き込めば、そこには瀕死ながらも暴れる怪物と、機械の姿で離れては追いかけてきた相手の攻撃に対しカウンター、そしてまた離れるという、カウンターアンドアウェイを繰り返す頑。

「さっきまでのが嘘みたいに、動きが冴えてますけど……」

「変身してからですよ〜」


 α1では過去のレベル2・3の挑戦者の中から1体を選ぶ、その1体は選考戦、修羅の道が終わるまで変えることはできないが、何度でも変身可能である。

 この選択によって、相性などで圧勝も苦戦もする。ともあれ、頑の変身センスは本物であった。

 なぜだろう。自分でもよくわからないけど、とにかく、人生で初めて落ち着いて戦えている。

 怪物は大ぶりに、右手の拳で突いてくる。その下に潜り込み、大きな傷口のあるお腹を殴る。力では勝てないから、掴まれる前にジェットを逆噴射して離脱。すると、相手は追ってくるから、またそこにカウンターを決める。

 これではジリ貧かな、どこかで掴まれたらおわり。その前に畳み掛けなきゃいけない。でも先輩のアホンダラがブーストを勝手に使って退場したから、ブースト以外の攻撃力……。

 そうか!今私は戦車だった。

 怪物が私めがけて左拳を振るう。でも遅い。少し引いて、左アームから怪物の顔へ。

「砲撃ッツ!!」

 ブグゥワアアアァァァァァンン!!!!

 頑の左アームから砲弾が発射される。怪物は少しのけぞる、すかさず頑は怪物の懐へ潜り込み、腹の傷へパンチをお見舞いする。

 ッダドゥアアアァァァァァンン!!!

 そして、

「砲撃砲撃!!」

 ブグゥワアアアァァァァァンン!!!!

 傷口への零距離砲撃に怪物が怯む、が頑は容赦しない。

 ッダドゥアアアァァァァァンン!!!ブグゥワアアアァァァァァンン!!!!

 ッダドゥアアアァァァァァンン!!!ブグゥワアアアァァァァァンン!!!!

 ッダドゥアアアァァァァァンン!!!ブグゥワアアアァァァァァンン!!!!

 ッダドゥアアアァァァァァンン!!!ブグゥワアアアァァァァァンン!!!!

「砲撃砲撃砲撃!!!そのお腹、ぶっ飛べえぇぇぇ!!!」


「これは凄まじい連撃!!!頑!母を思わせる逆転劇を見せるのか!?爆音怪獣もはや成す術なしか!!??」

「近接戦闘戦車、アームの打撃に、アームからの零距離砲撃。ブーストと手榴弾で大ダメージを受けている部位への追撃。実にしっかりした駄目押しですね」


 頑の連打により勝利は決まったかに思えた。

「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 さっきの爆音よりも大きな音だ。

 機械となり、破れる鼓膜がない頑は戦車の聴覚器官からその爆音を聞いた。つまり、人間が聞くことのできない轟音を聞いたのである。あまりの大きさに意識は朦朧とする。

 ふらつきながらも怪物を殴ろうとする頑だが、怪物は後ろに下がり避けると、最後の力だと言わんばかりに頑に頭突きをかました。

 怪物の頭にある鋭いツノは頑戦車の装甲を貫いた。

 ズザアアアアアアアァァァァァァァンンン!!!!!!!!

 ブザーが鳴った。


「自分の体は全て武器!!羽多野 俊哉の意志がそこにある!!!頑、満島に続き惜しくも破れる!非常に熱い戦いでしたね。河合さん、セブンライトの二人はいかがでした?」

「あと一息って感じでしたね。空雄くんは十分最善の策を取れていましたし、最後の油断さえなければ勝ててたんじゃないでしょうか?奏エちゃんはエンジンがかかるのが遅すぎましたね、でもまあ、これが初戦闘ってことを踏まえると上々だと思います」

「まだまだ、選考戦は始まったばかり。これからの二人に期待ですね。さて、明日の戦闘は古長戦闘所所属、武田たけだ 祐大ゆうだい伊賀いが 涼子りょうこ、修羅の道踏破予想のランキングでは1位を獲得した、今最も期待されているコンビ「バロン」、対するのは定戦闘所最盛期の英雄、宮原みやはら 神奈子かなこからの刺客、現在無敗の鞭使い。激闘は必須か!!」


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