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奏エ戦記  作者: 心鶏
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第十六話  阿修羅に叶え

 頑と志田はカフェに来ていた。数年ぶりのデートだ。頻繁に会ってはいたが、全て志田のお見舞いであり、こうして外で会うのは頑が戦闘所に入る前が最後だ。

「なんか雰囲気変わったよね、奏エちゃん」

「そうかなぁ?」

「うん、知的になった」

「ええ〜。えへ〜」

 人生で初めて知的と言われ、顔面がとろけている頑とその顔を見て微笑む志田。

「次で最後だね」

「うん……」

 崩れた顔が真剣な表情になる頑。

「藤高さんだっけ。強いんでしょ?」

「うん。……でも、勝つよ。藤高さんはそう信じてくれてたから、応えないと」

「頑張ってね」



 自宅にて満島は唸っていた。

「作り方は同じはずなのに、なぜこの味にならない?」

 箸をのばして、肉じゃがをもう一口頬張る。確認するように味わう満島。

「美味いな」

 向かいに座る沙夜も肉じゃがを食べる。

「やっぱ、愛情かな」

 今日のトレーニングは休みなのだ。頑はデートに行き、満島家では久しぶりに妻の方が台所に立った。

「それでうまくなるなら、俺の料理も常に絶品のはずなんだがなぁ」

「じゃあ、愛が足りないんじゃない?」

「んなことはない。いつだって料理する時は沙夜を思って作ってる」

「いいよ、惚気は。明日、どうすんの?」

 沙夜は箸を止めて、まっすぐに満島を見つめた。

「いつも通りだ。事前にどうこう考えてなんとかなるような相手じゃない」

「そっか。まあ、頑張ってよ」



 これまでの修羅の道、および選考戦の番人たちはモデルAIと呼ばれるプログラムによって、作り上げた戦士本人の戦闘スタイルを完全に再現していた。そのため各々長所短所があり、番人に個性が生まれていたのだ。

 しかし、このモデルAIは各戦士の過去の戦闘データを元に戦い方を再現するため、戦闘数が少ないとスタイルを再現できない可能性が出てくる。

 主に500戦ほどのデータがあれば完全な再現ができるが、引退戦士の中にはそれに満たない戦士もいる。そういった戦士は再現度をあげるため追加の戦闘をして、データを蓄積し、自分のスタイルにより近づけるような工夫をしていた。

 そして戦闘数が333戦であり、モデルの再現度が低かった藤高も修羅の道が開幕する前にこの作業を行った。

 その戦闘数は2000戦。中には今回の選考戦、修羅の道の番人たちとの戦闘も含まれていたが、それでも無敗であった。それどころか全ての戦闘が5分以内の決着であり、モデルには他の戦士とは一線を画す実力が記憶された。

 頂上の番人はまぎれもない阿修羅となった。



 藤高さんが影響を与えた人たちは沢山いる。先輩は新人の頃からお世話になっていたみたいだし、私のお母さんや、桐原さん、吉野さん。藤高さんと直接触れ合っていた人たち、触れ合っていない人たち、なんなら赤丸部隊の人たちだって。

 営業部送りになりそうだった私を無理やり綾木戦闘所に引っ張ってくれたのは藤高さんだ。

 ピーナッツにとって、みんなにとってあまりに大きな存在だった。

 今ならわかる、私たちなら修羅の道の頂上へ行けるといっていたのは、冗談やふざけて言っていたのではなくて、本気で信じていてくれていたのだと。そして期待に応えるだけの力がきっと私と先輩にはある。藤高さんが信じていてくれたのが証拠だ。

 今、会いに来た。尊敬と感謝を込めて、全力で倒しにいく。みんなの願いを叶えにいく。

 さあ、目を開く。真っ白な世界へ。



「やってまいりました!!今夜、ピーナッツに新たな伝説が刻まれようとしています。さあ!見せてくれ!頂上の戦いを!ピーナッツ修羅の道最終戦!!」

 険しく狭い修羅の道。登りつめたのは果てない闘志の中堅戦士と特異なセンスと努力の新人。ピーナッツ最強のコンビだ。

「実況は清水 武雄。解説は河合 優也さんです。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「半年に渡る戦いの中で数々の名勝負が生まれ、勝利と敗北が混じり合い、ようやくたどり着いたこの修羅の道の頂上。セブンライトの二人は我々に一体、どんな景色を見せてくれるのでしょうか。二人に立ちはだかる最後の壁。生涯無敗の伝説。ピーナッツの権化。藤高 荵。彼女がこの世に残した試練。第七の番人「モネ」ピーナッツ最強の番人にセブンライトはどう立ち向かうのか!?河合さん、いよいよ最終戦ですね」

「ええ、なんだか、あっという間でしたね」

「そうですね。最後に残ったこの二人、いかがですか?」

「もう立派なコンビですよ。奏エちゃんはバグがなくなって強みが奪われたかと思えば、前回の最後に完全な再現をしていました。それだけじゃなく、基本的な戦闘技術や立ち回り、見立てや戦略といったものも、少し前までは変身とバグで押し切っていましたが、今はしっかりとやれています。戦士としてのレベルも相当上がってきています」

「たしかに、もう戦いに危なげがないですもんね」

「ええ、次に空雄くんですが。元々、気合とか根性で戦うタイプの戦士だったのが、近年、結婚してからですかね。ちょっとおとなしくなっていたんです。それがこの修羅の道で、昔の戦い方に戻ってきています。前回の最後の乱打を受けながら輪っかを壊すなんて根性以外の何物でもないですからね。彼の闘志は中堅戦士に収まるようなものじゃないですよ」

「なるほど、二人はベストコンディションといったところでしょうか」

「そうですね。コンビとしても信頼しあって、完成されていると思います。でもまあ相手が……。藤高さんが修羅の道を勝ち抜いてきた戦士に、こいつを戦わせようって作った番人です。どんな化け物が出てくるか想像もつきません」



 腰に剣を携えた満島。銃を背負う頑。二人は真っ白な世界を眺めていた。

「恩返しか、弔いか、とにかく勝利を捧げよう」

「そうですね。藤高さんの期待に応えましょう」

「キメラ、頼む」

「わかりました。頑さんもいいですか?」

「はい、お願いします」

「では、戦闘を開始します」

 仮想空間の天井に一人の女性が召喚された。黒いTシャツと長ズボン。手には真っ黒な傘を持っている。

 女性は真っ直ぐに落ちていく。

「近接戦闘戦車に変身」

 戦車となった頑は空中の女性に砲撃を浴びせるが、女性は傘を広げ砲撃から身を守る。

 満島は女性の着地点へ走っている。

「遠隔衝撃グローブを」

 満島の両手にグローブが装備される。

 女性の着地と同時に、満島は居合切りを放つ。今度は傘をたたみ剣を受ける女性。

 ガヨアアイイィィィンン!!!

 傘と剣がぶつかり奇妙な鉄の音が響く。

 鍔迫り合いをする間も無く、女性は満島の胸ぐらを掴んで引き寄せ、頭を下げた。

 ゴゾオアアアァァァン!!

 満島に加勢しようと女性の背後に迫っていた頑の裏拳が満島の顔にクリーンヒットした。かがんだ姿勢から真上にカチあげる強烈な傘の一撃が頑の車体をふき飛ばす。

 体勢を崩した満島だったが怯まずに、女性に剣を振りかざす。

 女性は踏み込んで間合いを詰め、剣を振りかざそうとする満島の右腕を左手で掴む。右手の傘は満島の脇腹を叩いている。満島も反射的に左手を下げガードするが、次の瞬間には剣を持つ右手が叩かれる。

 かろうじて剣は放さなかったが、女性の流れるような動きから繰り出された後ろ回し蹴りを腹部にくらい飛ばされる。

 回し蹴りをしながら女性は頑に構えていた。頑は飛ばされた真上からジェットの急降下で女性に迫っていた。

 左の拳を若干引き攻撃の予備動作に入る女性。今の頑はそれを見逃さない。右ストレートを真上から放つ頑の読み通り女性はクロスカウンターを仕掛けてきた。

「変身解除」

 そのカウンターに対し、変身解除で車体を人の体にし、体格差で攻撃を回避しつつ攻撃する頑の十八番、変身カウンターだったが、

 バッツアアアァァァンン!!!

 女性は変身先すら読んでいた。解除の瞬間に頑は顔面を殴られ、地面に倒れそうになるが、傘が頑の首を支える。女性は傘を持つ手の手首を返し、鎌のように傘と腕で頑の首を挟んで引き寄せ、ヘッドロック気味に首を捉えたまま投げ倒した。

 仰向けに倒された頑の上に傘が振り上げられる。

 飛ばされた場所から二人の元に走っていた満島だが、間に合わないと判断し、両手のグローブの照準を女性に向けた。

 満島は気付いた。ブローブをしていないことに。

「チッ。鳥人間に変身」

 鳥人間となった満島は地面を蹴り出し、超低空飛行で女性の方へ突っ込んだ。

「捕まれ頑!!」

 女性が鳥人間の突進を飛び越えて回避した隙に、頑は満島の足に捕まり、そのまま上空へ上がると戦車に変身し、二人は空中から女性を見下ろした。



「とてつもない戦いだ!!セブンライト!かろうじてモネの猛攻をふりきった!」

「これはヤバそうですね」

「やはり戦闘の技術が別格ですよね」

「ええ、本当に。セブンライトの二人って、コンビとしての攻めがうまいんですよ。とにかく攻め立てて、どっちかが危なくなったらもう片方が攻めを継続してそのピンチを助けるんです。そうすることで相手はずっと攻められることになる。ただモネはそれを利用してきてるんですよ」

「最初の頑の裏拳を満島に当てたのがそうですね」

「はい、あれは奏エちゃんとしては挟み撃ちで奇襲するつもりだったんだと思うんですよ。でも見られたら間違いなく失敗するくらい強い相手じゃないですか。なのに奏エちゃんは思いっきり殴りました。多分モネは一度も奏エちゃんを見ずにあの瞬間を読んでいたんだと思います」

「すごい読みですね」

「その後の奏エちゃんの変身カウンター。あんなことするの奏エちゃんしかいません。対策はできるかもしれませんが、最初の一撃は避けられるわけがないんですよ。でも避ける、ついでに変身先まで読んで攻撃なんて、正直戦闘技術とかのレベルじゃないですよ」

「完全に再現されてますね。藤高 荵が」

「ですね。藤高さん特有の初めて戦った相手なのに攻略法がわかっているみたいな」

「もう一つ気になるのは、満島のグローブが消えたのはなんなんでしょう?」

「おそらくあの傘の仕業かと。満島があの傘で叩かれた時、左でガードして右は叩かれています。叩かれた順に消えていったので、支給品を消す傘なのかなと」

「四つの支給品を消すためだけの能力と考えるとなんだか勿体ない気もしますが」

「いや、強力ですよ。多分、支給品なかったらこのモネには誰も勝てないですから」



 さすがの強さだ。勝ち筋が見えねぇ。

 有無を言わせぬ猛攻。頑の変身カウンターも返すセンス。グローブが消えたのはなんだ、傘か。単純な力こそ互角くらいだったが、それもまた不気味だ。

「ひとまず追ってはこなさそうですね」

「ああ、空中に飛ぶ手段はないのかもな」

 満島を掴んでいた頑は戦車に変身し、ジェットで飛んでいる。

「だとしても、上から撃ち下ろして倒せる相手じゃないですよ。どうしましょう」

「俺はてんでダメだったが、お前的にはどうだ。近接はいけそうか?」

「無理です。変身が完全に読まれてます。変身カウンターをカウンターされました」

「やはり近接は無理か。支給品で戦いたいところだが、どうにもあの傘が怪しい」

「傘ですか」

「あの傘、おそらく触れた支給品を消す。グローブがなくなった」

「……傘をなんとかしないと厳しそうですね」

「ああ、剣での打ち合いやお前の変身は影響がなかった。戦士と選択武器は消されない」

「でも支給品が使えないなら、結局近接ですよね」

「近接戦で勝つ必要はない。変身バグの再現でなんとか傘だけ掴め、相手の腕ごとぶった斬ってやる」

「わかりました。キメラさん、連続変身を」

「了解です」

 頑の体は変身を繰り返し、人と戦車の境界がなくなる。

 ジェットを使って定まらぬ姿のまま、モネに向かう頑。その後ろを鳥人間の姿で羽ばたきながら遅れて追いかける満島。

 モネは傘を構える。頑の初撃をいなし、変身を読んだカウンターが頑の横面に決まる。しかし頑も一歩も引かず、ジェットですぐさま反撃に出る。



「変身ラッシュだ!しかし、モネ!完璧にさばききっている!」

「異次元ですね。奏エちゃんにラッシュって、おそらく戦士がバグなしで出せる最高速の攻撃なんですが、その全ての攻撃を見切っています。もはや読んでいるというよりは、動かしているという方が近い気がします」

「モネが戦闘のペースを掴んでいるということですか?」

「それもあるんですが、もっと細かい部分ですね。いなし方とか、視線とか、意識の隙で奏エちゃんの攻撃をコントロールしています。でも正直どこがどう作用しているかは僕にもわからないですね」

「凄まじい技術だ!モネ!頂点に立つものはやはり極まっている!」



 モネはラッシュを受ける。頑戦車のアームの一撃を内側からいなし、懐に入って車体に膝蹴りを入れる。ヒビが入りだした戦車に傘の追い打ち。

 ギャウラアアアアァァァァァンン!!!!

 真っ黒な傘が頑戦車を貫く。

 瞬時に人の姿に戻った頑、脇に傘を挟んでいる。しっかりと掴んで離さない。

 そこへ鳥人間の急降下から人の姿に戻り、剣を振り上げた満島が降ってきた。

 モネは傘を離した。しかし逃げもしない。空中からの満島の剣を真剣白刃取りで、止めるのではなく剣をそらし回避した。さらには柄を握り、そらした勢いで満島の腹に刃を突き刺した。

「ブガッ……」

 前かがみになる満島の頭を掴んで膝打ちを入れ、とどめの右ストレート。満島は倒れた。

 その隙に頑はボロボロの戦車でなんとか飛んでいき、傘を壊そうと試みる。

 ブフワアアアァァァンン!!

 砲撃ではビクともしない。

 どうしよう。早く壊さないと先輩が。

 燃えるかな。

「左アームを火炎放射器に」

 ブグワアアアアアァァァァ!!

 ダメか。いや、内側は焦げてる。中からなら効くのかも」

 頑は傘を開いて放り投げた。砲撃と火炎が傘を燃やす。

 ボウグワアアアアアァァァンン!!!

 傘は跡形もなく消え去った。



 なんとか自力で腹の剣を抜き、構え直す満島だが、立っているのもやっとだ。

 モネの容赦ない攻撃が迫るが間一髪で頑戦車が満島を連れて逃げる。

「決めますよ。先輩」

「あ……ああ」

 頑戦車はフラフラのジェットでモネに向かい、

「はあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「がああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 二人で大声を発しながら、満島をモネに投げつける。

 満島は華麗な後ろ回し蹴りで蹴り飛ばされるが、その後ろには頑の砲弾が迫っていた。

 ボアアアアアアアァァァァァンン!!!!

 モネがくらったのは油弾であった。身体中を油が覆う。



「ここにきてセブンライトの攻撃が命中!起死回生なるか!!」

「いい攻撃です。砲撃の音を二人の大声で書き消しました」

「闘志がセブンライトを動かしている!最終局面か!!」



 あとは着火すれば、勝利が決まる。

 モネは満島に向かって走りだす。その様子を見て、満島はすぐさま火炎瓶を召喚し、床に叩きつけ、自分ごと燃えてモネを迎え撃つが、モネは気にせず満島を殴る。

 当然、モネは火だるまになるがそのまま満島にハイキックをお見舞いし、倒れた満島の顎を蹴り飛ばす。

 容赦のない攻撃に満島は成す術がない。

 次に頑の方へ。

 この人が火を避けなかったのは、自分が火で負けるより早く私たちを負かすことができると思っているから。

 なら、その予想より粘れば勝ちだ。

 しかし、頑も相当なダメージを受けていた。戦車はすでに貫かれ、ジェットは車体を浮かせる程度しか機能していない。人の体もカウンターをカウンターされ続けたダメージに加え、最初の打ち合いの時に首も痛めている。

 燃え盛るモネの攻撃をどうこうできるわけもなく。猛攻に責め立てられ、退場寸前だ。

 その時、闘志だけで退場を免れていた満島が自分の剣を頑に投げた。

 モネの背後から剣が飛んできているのがみえた頑。

 普通に取ろうとすれば感づかれる。なら。

 下から顎を狙い、いなされる。そこから、モネの肩越しに剣をキャッチして、モネのカウンターを一発踏ん張って、剣を振るう。

 ザバッツ!

 モネは袈裟を斬られガクリと片膝を着くが、頑の攻撃をいなした瞬間に背中のアサルトライフルを奪っていた。

 剣を振り切った頑に乱射。

 バババババババババババッ!!!!!

 背後から殴ろうと飛びかかる満島の殺気に気づき、後ろ回し蹴りをお見舞いし銃で追撃しながら頑の動きを確認しようとすれば剣が顔のすぐそこまで迫っていた。

 左腕を盾にして頭部を守るが、それは頑が投げただけの剣だった。

 頑戦車の最後のジェットを効かせた左アームが、ガードする腕の中を覗き込むようにモネの顎先を襲うが、モネは右手の銃を捨ててアーム側面を押さえるようにいなし、左拳で頑の車体にカウンターを決める。

「変身解除。ブースト発動」

 ユイーン!

 戦車から人に戻ったことで、カウンターを受けた場所には何もなくなり、頑の渾身の右ストレートがモネの顎を捉え、

 ッバッツラダアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァンン!!!!!!

 モネは黒い煙となって爆散した。

 そして、ブザーが鳴った。

 頑は拳を高く掲げ、倒れた。

 私たちはその日。頂上にいた。



「セブンライトが決めたぁぁぁぁ!!!!!長く狭く険しい修羅の道!登り切ったのはセブンライト!!!」

「やった……。あの二人本当に……」

「幾多の激戦を乗り越え、ピーナッツ最強の称号を手にしました!!」



「戦闘を終了します」

 現実に戻ってきた二人は転送機の中で泣いていた。

「お疲れ様です。お二人とも。おめでとうございます」

 転送機を出て、立ち上がる二人を祝福する蛇川。満島は涙を拭いて答える。

「キメラ。これまでトレーニングに付き合ってくれた人たちを全員呼べ。焼肉行くぞ。全部おごってやる」

「はい!」

「頑」

 満島は頑の前に拳を突き出す。頑は泣き顔のまま笑い、突き出された拳を殴った。



 二人は赤丸部隊、藤高 荵に並ぶ伝説となった。

 満島は桐原から所長業務を引き継ぎ、父と同じように所長兼戦士として活躍した。

 頑は戦士認定試験を合格し、綾木戦闘所の正式な戦士となり、歌って戦えるピーナッツ最強のアイドルとなった。


 修羅の道、厳しい道のりに挑む戦士たち、その姿に憧れを抱きピーナッツの戦士になると、夢を掲げる子供達が増え、ピーナッツのしばらくの安寧は約束された。




奏エ戦記  完

最後までお読みくださりありがとうございます。


はあ、戦い抜きました。

前作もそうでしたが、やっぱり倒した時の気持ち良さすごいっすね。

ストレスが溜まったらまたこうして書きたいと思います。

その時もまた、私の活字があなたの目にとまりますように。

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