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秋の桜子エッセイ

約8ミリの刺客に襲われる

作者: 秋の桜子

「ベッドの用意を!明日一番で、全身麻酔の手術の準備を」


 テキパキと外科医が看護師に指示を出している、夜中の緊急外来。


 その様子を、患者である私はおい!ちょっと待ってくれ!と声を大にして言いたい所なのだが、あいにく涙目で、その様子を眺めるしかない。


 ガーン!職場に今から電話かぁー?電話かぁー?お気楽に、


「今から入院します。明日手術しまぁーす!」


 とかける、当然上司は理由を聞くだろう、いや言わねばならない、一社会人として、


 しかし私は!絶対に!ぜったあいに!知られたくないー!


 こんなしょうもない事で『全身麻酔の摘出手術』だとぉー!今の医学はもっと発達してるんじゃなかったのかぁー?

 

 何故こうなってるのかは三時間前に巻き戻る



 ――「仕方ない!救急車呼ぶぞ!」


 いやぁーやめてくれ、旦那よ!ものすごく恥ずかしいではないか!と私は咳き込みながら制止をかける。


 しかし残念ながら、ゲホゲボ咳き込むと、咳と共にタオル点々と散るA型ー、いかん諦めよう。

 

 とりあえず、保険証用意して自宅迄来ていただく迄もないので、此方から消防署迄マイカーで、移動。


 そして、人生に置いて三回目のピーポー搬送


 救急車って、患者は進行方向が背後になるから、私はものすごく酔う!そして右に左にと揺れる。


 その中でも、平然と処置してくれるイケメン隊員。流石だわ!プロだわ!カッコいいわ!


 等と眺めながら、車酔いに襲われゲホゲボ!と咳き込むと即座に!


「患者さんの容態が急変しました」


 緊迫感溢れる車内となるぅー、しかし患者さんは車酔いなのです。決して、容態が急変したのではではありません!


 ……ゲホゲボ!意識不明の後、現世に戻って来た時も気持ち悪、だけど『救急車酔い』もアカンと思う私。


 救急車は、そんなの関係無いとばかり、赤色灯始動!ピーポー ピーポーと道路の真ん中一直線ー!


 ものすごい短時間で、かなりの距離を踏破して、受け入れ病院に到着。あーやっと終わった。陸地が良いわー


 ×××××


「患者さんは年齢………」


 隊員さんが、看護師さんに報告しながら、表すなら、ズザァーな感じで運ばれてるから、よく聞こえない。


「食事中に………が喉に刺さったそうです」


「はい?」


 隊員さんの報告に、看護師さんが疑問符つけてたわよ


 ×××××


 ―――私はテレビの医療ドラマみたいに、ストレッチャーで運ばれてー、熱中症の時は恥ずかしく無かったが、今回はひたすら恥ずかしい。


 検査やらをしてもらう救急処置室で、看護師さん達のテキパキとしたお仕事ぶり流石です!血管も一発で注射器ヒットです!


 採血やら血圧やらしながら、隊員のお兄さんとカルテの受け渡しの時に、再び私が何故こうなってるのかを聞いたら


 笑ってるしー、看護師さん達。もちろん私も青い顔色で笑ってるしー


「何故に、こんなに数値がわるいの!」


 そして即座に結果がでる諸々数値に対して、看護師さんから、何処か病気はないかぁ?と心配されるわ、た、し。


 だって、スーパーハイパーな車酔いに見舞われていた私は、元からあんまりよくないので、どの数値も最悪なのは言うまでもない。


 ×××××


「なので、入院です」


 重々しく外科医が言ってくる。しかし私は嫌なのだ!


「嫌です、ゲホゲボ」


「その喉に刺さった物質を早く除去しなくてはいけません」


 患者対外科医の視線が、かち合う!


 絶対に!家に帰りたい患者に対して、さっさと明日の為に、診察を終わらしたい医者。



 ――そもそも『喉に刺さった物質』を超アナログで取る方法しかないのか?


 ここは、我が家から遠く離れた、最新医療施設を兼ね備えた総合病院。


 その外科の診察室で、ゲホゲボと咳き込みながら、私はどうにかならんかと考えていた。


 外部からではない、食品に紛れ込んでいたのが『刺さった』魚の骨が刺さった様に……


 しかし残念ながら私が刺さったのは、お魚ちゃんではなかった。


 そして、誤解の無いように断っておくが、異物混入は調理をした私の全責任である。自業自得なのである。


 ちょっとした事である加工品を冷凍してて、それに『つまようじ』がさしてあったのよ、


 取りのぞいたのだけど、何せそういう分野は大雑把なので、折れたのよ!そいつが、で八ミリ程の先っぽが、中身に残ってたの。


 見事!コメディの神様からプレゼントを頂いた。食べてて、何故か?気づかずにー


『喉に、つまようじの先が刺さりました!』


 ハイ、先生も笑ってました。恥ずかしかったです!


 でアナログで取るべく、先生、スタッフ、患者、一丸となり最初は挑戦しました。


 無理です!口から麻酔スプレーして!喉に刺さってるのを取るのだもの。


 反射で、おえーっとなる。気合いでこらえろと外科医は言う。


 患者も頑張る。しかしこればかりは、無理!患者共々頑張ったけど、先に先生が諦めたー。


 で冒頭の話になってくる。ごーん、どうしようと悩んでいたら、神が降臨しましたー!


 再びゲホゲボ咳き込む私。ゲホゲボー!


 看護師さんが、優しく背中をさすってくれたとき!まさにそのとき!


 綺麗に!スッポン!と気持ちよく飛び出して来ました『つまようじの先』


 即座にすっきり!先生ー、出ました!と嬉々として報告。看護師さんも確認。先生も私の手のひらのよブツを確認。そして、


「おおー、良かったですね」


 おめでとうございます、と言わんばかりの先生の明るい声、良かったわねーと看護師さん達。


 ものすごくめでたい空気に包まれた、診察室。


 はぁー!良かったわぁ、これで帰れるー!


 その後消毒してもらい、満面の笑みでありがとうございましたー、お礼を述べて


 ルンルン気分で、私はスキップしながら青い顔をして、病院の廊下で待っている旦那の元へと帰って行きました。


「お、わ、り」


 ―――実話です。皆様も『つまようじの先、八ミリ』にはお気をつけ下さい。


 え?そんなの刺さらんやろ、そう普通は刺さりませんよ、ホホホ、私だからやからしたのよ。

 


 


 
















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― 新着の感想 ―
[一言] 恐ろしい事態になるんですね、爪楊枝には気を付けます。無事帰れて何より。
2020/07/06 05:46 退会済み
管理
[一言] こえぇ… (゜д゜; 刺しっぱなしは危ないですね ふやけて脆くなってたのかな
2018/10/10 22:10 退会済み
管理
[一言] 事実は小説よりも奇なり、を地で行く体験をしましたね。 しかし、救急車呼ぶときに詳細が伝わらなかったんでしょうか?
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