メールが着たら、なるべく早く見るべし
思い出したくもない買い物を終え、家に帰る。
「ふぇえ、腕いた〜い」
買い物袋を持たせていたせいか、ぼやきながらベッドに飛び込む龍神。
「これからは基本的に姿を現しておくようにしてくれ。何事も慣れだ。」
「それだと主の生気がなくなって死にますけど……」
「じゃあ少しずつでもいいから増やしていくんだ。そうする事で僕の生気も増えるんじゃないか?」
「ほぇ〜、確かに容量が増えるかもですね〜。いいんじゃないですかぁ」
ベットに横たわり、すっかりお疲れの様子。これから情報収集と行きたかったけど、正直いえば僕もキツい。
ここは一つ。今日は休むとして、明日から頑張るとしよう。
「三時、か。……寝るか」
時計を見て時刻を確認する。夕飯の時間にはまだ余裕があるので寝るとしよう。
龍神の横に横たわり、ベットに身をあずける。
「主ぃ〜、私は今日ハンバーグが食べたいです。ハンバーグ作ってください〜」
「ああ、わかった。……そういえば神なのに普通に飯食うんだな。昨日のピザも僕より食ってたし、今日の昼の焼きそばパンも美味そうに食ってたよな。意味あるのか?」
「あぁ〜言い忘れてたんですけど、私も食べることでエネルギーを得ることが出来るんで、力を溜めることが出来ます〜」
「そうかそうか〜。……てっ何故そんな大事なことを言い忘れるのかな?」
起き上がり龍神の頬っぺたを引っ張たり、揉みくちゃにする。
「いはいれす〜、ほんなたいひなことれすか〜?」
「使いようによっては大事な事なんだよ。ついでに聞くけど、昨日僕の手を使って飯を食ったのは、御神体である僕が干渉すればお前も干渉できるって事でいいのか?」
昨日のオムライスにしろピザにしろ。姿を消していた龍神が触れたり食べたり出来たのは、全て僕の手からだった。
そのためそう思い込んでいたのだが……イマイチ信用ならんくなった。
「いいはへんはなひて〜……もうっ。ひどいですっ。あんまりです。言い忘れたぐらいで小さいですよ主はっ」
「はあ……。で、どうなんだ?」
頬っぺたをさする、涙目の龍神を見つめる。
「むぅう、そうですよぉ。主の考えであってます。……ていうか聞かれなかったから答えなかっただけだもん」
自分で言い忘れてたって言ってたくせに。でもまあ聞かなかった僕も悪かった、のかな……?
「悪かったよ、お詫びに夕飯は僕特製激ウマハンバーグを食わせてやるから、そうむくれるな」
「……そ、そんな物で私の機嫌を取ろうなんて甘いんですよ主は」
「食後のプリンもあるぞ」
「……っ!?分かりましたよ!今回は主の誠意に答えてあげるとしましょう!しかし、次はないと思ってください」
機嫌が直ってなによりだ。なんていうか。有桜と似たような反応だから可愛くて仕方ない。
もう一人妹が出来たみたいだ。
しかしこれは困った事になった。
ただでさえ貧困気味なのにもう一人分食費がかかるとなると……本格的に宗教をやるしかないのか。
う〜む……取り敢えず寝るか。
考える事を放棄して僕は眠りについた。
**********
午後4時半
プルプルプルプルプルプルガチャ
『!?もしもーーッ』
『お掛けになった電話番号にお電話しましたが、ただいまお電話に出られない状態か、または電波が届かない状態に陥っています。ピーと音がなってから3秒後に留守番電話をお入れください』
ピーー
『……もしもし里美ちゃん?私、有桜なんだけど……今日どうしたの?学校休んで。……昨日の今日だから心配してます。もし無事ならメールでも電話でもいいので連絡ください。待ってます』
**********
「ふわぁあ〜あ……寝すぎた……」
時計を見ると時刻は午後7時。
急いで夕飯を作らないと。隣でグーすか寝ている龍神を起こさないようにベットを出る。
「くんくん、いい匂い〜。んーおはよーございます」
ハンバーグのいい匂いで目を覚ましたのか、目をこすりながら龍神がベットから這い出てくる。
「おはよう。あとちょっとで飯出来るから待ってて」
「はーい。お腹すかせて待ってます。……ん?主〜スマホが震えてますよー」
スマホが震える?メールでも来たのかな。
「まあ後で確認するよ。そんな事より飯できたぞ、今は実体化してるんだから自分で食えるよな?」
「はい!たくさん食べますよ、私を実体化した事を後悔してください」
その言葉通り、龍神はご飯を五杯もおかわりをした。
対する僕は少食のためおかわりはしなかったけど、それをもってしても家計に響くな〜。