真性のクズ登場
龍神の事、この街の事については色々と分かった。
しかし、だ。僕はこれからどうするべきだろうか。
龍神がゲームをやりたいと言っているから付き合ってあげるとして、その後。寝る場所とかはどうするべきか。
僕のベッドなら二人で寝れそうだけど、いいのか?やましい気持ちがなければいいのだろうか?
「主、主ッ。早くやりましょうよ〜」
この見た目小学生。僕の目には小学四年生、10歳前後に見える訳なんだけど……果たしていいのだろうか。
まあいっか。まだ有桜の方が発情するしね。問題ないだろう。
その日は今後の予定を決め、ゲームがしたいと言う龍神の願いを聞き入れ、夜までゲームをした後贅沢にピザの出前を頼み、仲良く二人で寝た。
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『ごめんっ、里美ちゃん待った?」
『ううん、私も今来たところだから……」
『そっか、じゃあ行こっ』
『あっ、それなんだけどね。実は私行けなくなっちゃったの、ごめんね有桜ちゃん』
『え?そうなの……何かあった?その、お母さんのこととかで……』
『……うん、お母さんが今日ね、私も来なさいって……それで行くことになっちゃった』
『そんな!?行くことないよっ……て、ごめん。人様の家庭に踏み入っちゃダメだよね……』
『ううん、ありがとう有桜ちゃん。それにもしかしたら私が勝手に思ってるだけで、それほど悪いものじゃないかもしれないし……じゃあ行くね、今日は本当にごめんね』
『私の事は平気だよ……それより、気をつけてね』
『うん、行ってきます』
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休日が終わり、学校。
龍神のインパクトが思いの外大きかったせいで、(ゲームを十時間以上やったのも加え)今日が休みを挟んだテスト最終日だということを忘れていた。
まぁテスト二週間前から準備をしていた僕には、問題ないがな!
キーンコーンカーンコーン
テストの終わりを告げる鐘が鳴り響く。
全てのテストを終えた教室では、ストレスを発散しようと仲の良い人達が遊びに行く約束をしている。
ちなみにテストは午前のうちに終わった。
「むぅ、以外ですね。前回のテストも確か学年2位だったし、主は頭が良いんですね〜」
「……………………」
「それに運動も出来るし、顔も悪くない。……なのに何故、主の周りはとても寂しいのでしょうか」
「…………うるさいよ、一人が好きなんだよ(ボソ)」
「ここ3ヶ月、姿が見えないのをいい事に主がクラスの女子にどんな印象を持たれているのか、調べてみました」
「何してんの!?お前まじで僕の周りにずっといたのかよ!恥ずいなオイッ!(ボソ)」
3ヶ月も自分の生活を見られていたとなると、恥ずかしい何てもんじゃない。ビルから飛び降りれるレベルだぞ。いや、変なことはしてなかったと思うけど……多分。
「え〜ではさっそく。『いつもクール』『何でもそつなくこなしてる気がする』『基本ボッチ』『無駄がない、身長もないけど……』『浜野君と仲が良い』『浜野君といると小ささが目立つ』『あと10センチ高ければ……』『背がちっちゃくて意外と可愛い』などなど、特に主が小さいという意見が多かったです」
人の心を抉って何がしたいんだこいつは。僕はチビじゃない!160センチとちょっとは断じてチビではない!!
そもそも世界から見れば僕ら人間なんてちっぽけな存在なんだよっ!
いや別にいいけどね、感性なんて人それぞれだし、そんなのに振り回されてたら楽しめるものも楽しめねぇし。
僕は僕の道を行くだけだし。
「主ぃ〜、とても可哀想ぅ。ただ身長が小さいのと内弁慶なだけなのに〜。それ以外は完璧と言っていいのに、ああ、世界は何て残酷なんでしょうか」
「お前バカにしてんだろっ!(ボソ)」
「バカになんかできませんよっ!可哀想すぎて出来るわけがありません。同情してるんです!」
「同情はもっとダメだ。それは僕の心を打ち砕くのに充分すぎる威力を兼ね備えている(ボソ)」
「何ボソくさいってんだよ鋼介ぇ、キモいぞ」
「んあ?貴也か、何の用だ?」
暴言を吐きながら現れたのは浜野 貴也という長身の男。
背が高い割に痩せており、僕と同じ短い黒髪を持っている。
「何の用ってテストも終わったんだし、帰りどっか寄ろうぜ」
「……あー僕はパス。用事あるわ」
「何故ですかっ主!主のたった一人の友人が遊びに誘っているんですよ!拒む理由は無いはずですっ」
友人は貴也だけじゃねぇし。
てか、この神はもう昨日の事を忘れたのだろうか。
神改バトルのルールを聞いてバトルの内容によれば勝てるとわかり、今日はテストが終わってから色々と下準備を始めようと決めていたはずだ。
それなのにこのダメ神は、目的も忘れていらっしゃるご様子だ。
まぁ、僕の事を想って言ってくれている?みたいなので、怒るに怒れないんだけどね。
「用事って何だ?有桜ちゃん絡みか?なら俺も連れて来なっ!有桜ちゃんから友達を紹介して貰うのさ」
「有桜は関係ないよ。てか有桜の友達って中学生だぞ?正気かお前?」
「正気じゃねぇのはお前だろっ。分かってんのか?テストも終わって次のイベントは夏休みぃ。それなのに女の一人もいないなんて、冗談じゃねぇ!!中学生だろうが小学生だろうが、女は女だろがっ!!……な?」
「な?じゃねぇよ。何最後に爽やかな顔してゲス発言してんだよこのクズがっ!お前いつか捕まるぞ!?」
昔はこんな奴じゃなかったのに、どこで何があったんだ。
「る、類は友を呼ぶいいます。つまり、主もゲスな目で私を見ていたとっ!?そういえば昨日は二度ほど裸にされていたっ!?け、警察を呼ばないと……」
なるほど、こうして冤罪が生まれるのか。
ズボンからスマホを抜き取ろうとしている龍神の手を掴み取り、僕は鞄を持って早急に教室を出た。
何故ならクラスメイトの視線が僕に突き刺さっていたからだ。
僕に友達が少ないのは、貴也のせいと言っても過言ではないはずだ。