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髪を染めてみた


有桜ありさが家に帰ってきたので、僕は一度外で空気を吸おうと家を出る事にした。

というか、有桜だけならともかく、里美さとみちゃんがいる中で僕も一緒に寝るわけにはいかない。

今日は貴也たかやを処刑するついでに、家に泊めてもらうとしよう。


ぬし、なんか暗いですね」


「ん……」


「私、考えたんですよ」


「ん……」


「龍神教を使えば、里美さんのお父さんの眼を覚まさせることができるかもしれないです」


「ん……」


「……あれぇ?反応が薄い、どうしたんですか主ぃ?お父さんが眼を覚ませばお母さんも宗教を止めるのでは?もっと喜びましょうよぉ」


「……いや、そうはならない。龍神教を使うというのは時間がかかりすぎる。いつまでも、里美ちゃんを保護できる訳じゃないんだ……」


龍神教を使う。これは僕も最初に考えた。

まず里美ちゃんに龍神教に入ってもらい、信仰行為を行なってもらう。

龍神教は行なった善が全て戻るというもの。

まぁ、行なった善をどうするかは教祖である僕に決定権があるので、全て僕のさじ加減による。

つまり、今いる三人の善も里美ちゃんに送る事が出来るという事だ。


そうする事で里美ちゃんにいい事が起こり、お父さんを目覚めさせようと考えたけど、善を溜めるのに時間がかかる上、どれぐらいので善で救えるかはわからない。

それに、他の三人を犠牲にするというデメリットも生じる。


仮に里美ちゃんのお父さんを目覚めさせても、まだこの問題は解決しない。



宗教にどっぷりハマってるであろう里美ちゃんのお母さんがお父さんが目覚めたと聞いたらどう思うか。

それは……浄穢教じょうかいきょうのおかげだと思うだろう。

里美ちゃんのお父さんが原因で宗教にハマったのなら。なおさらそう思うはずだ。


里美ちゃんはあながち間違った事は言ってなかった。

この問題は、浄穢教がある限り解決はしない。

他にも方法があるかもしれないけど、バカな僕にはこれしか思いつかなかった。


「主……あの、里美さんのお母さんを龍神教に改宗するというのは、どうですか?」


「無理だな、浄穢教がたやすく金ヅルである里美ちゃんのお母さんを手放すとは考えられない。洗脳されてると考えるのが妥当だ」


「むぅう…….あ、じゃあじゃあ本当に浄穢教を潰すというのは?」


「それも無理。僕は自分の事をただの高校生だと過小評価はしないが、それでも僕は高校生だ。一つの教団を潰すなんて事は現実的に考えて不可能。粘り強くやれば出来るかもしれないけど、そんな時間は何処にもない」


「むぅ……主のバカ。私は主の役になりたいだけなのに、文句ばかり言って……」


「あぁ、悪かったよ。少し気が立ってたみたいだ。ごめん」



むくれ顔をする龍神の頭を撫でてやる。

僕は一度冷静になるべきだろう。


そして僕は冷静になって思う。龍神の姿を見て。


体操服はヤバイ気がする。。実体化した時に体操服はヤバイ筈だ。

主に僕が。

それにピンクの髪なんてのもあれだ。

絶対二度見される。


「なぁ龍神。お前の髪の毛ってピンク以外にも出来るのか?あと、その体操服は着ていなきゃいけないものなのか?お財布事情で服を買ってやる事は出来ないけど、有桜のお古なら着れると思うんだけど」


「え?服を買っていただけるんですか?」


「いや話聞いてた君?僕のポケットマネーが悲鳴をあげるから無理だって」


「さっきから無理無理無理無理。何なんですかこの甲斐性無しは、根性も甲斐性もないなんて、一体何が主にはあるんですか?」


「いや言い過ぎだろ。でもまぁそこまで言われたら僕も黙ってないぞ、いいだろう。どんな服をご所望だ?」



僕のゲームや漫画代を減らせば服ぐらいは買えるだろう。

日々朝飯や昼飯を抜いてコツコツ貯めてきたんだけどな。まぁ仕方ないか。

正確には娘なんだろうけど、龍神はもう僕の妹みたいなものだ。


これから先、龍神の世話になる事も多くなるはずだし。

その時までは、僕にたくさん甘えさせてやろう。


「可愛い服が欲しいですね〜。あっ、でも大人っぽい服も憧れるな〜。主が選んでくださいね。私じゃ選びきれないと思うんで」



「任せろ。有桜の買い物に付き合って身についた、僕のファッションセンスに腰を抜すといい」



「それは楽しみですね。ではいつ行きます?」



「うーん。これから忙しくなりそうだし、今から行くか。っと、その髪の毛って染めたりできるか?」



「どうですかねぇ?試したことないんでわかんないです」


「……やってみるか」



ドラッグストアでヘアカラースプレーの髪染めを買い、さっそく公園で使ってみる。



「……出来ましたね」


「あぁ出来たな」


龍神の髪の毛は見事に黒く染め上がったように見える。

ただ初めてやったので所々がピンク色のままだ。

まぁこのぐらいならオシャレ扱いされるだろ。

よく分からんけど。


「じゃあ髪の毛乾かしたら服を買いに行こうか。実体化していいぞ」


「了解です」


身体が重くなり怠くなる。


「もう大分慣れてきたな。今じゃあインフルエンザにかかった時ぐらいの負荷しか感じないや」


「それはかなり辛いのでは!?」



心配そうな顔をする龍神の頭を撫でてやる。

あ、手にスプレーついた。





龍神の髪の毛が乾いたので街で一番大きいデパートに来た。


やはり体操服は目立つな。

道行く人が見てくるけど、コスプレだと思われているのか、すぐに視線は別の所にいく。


「わあ、服がいっぱいですねぇ」


「どれでもと言いたいところだけど、なるべく財布に負荷がかからないものを選んでくれると嬉しい」


「これにするぅ!」


「決めんの早っ!?たくさんあるんだし、もっとよく見てから決めろよ。勿体ないぞっ、それに僕に選ばせてくれるって言ってなかったっけ!?」


「えぇ〜。面倒くさいのでこれでいいです」


そう言って押し付けてきた服を受け取る。


ジーンズのショートパンツに水色の水玉模様のワンピースか。悪くないセンスだ。


「本当にこれでいいのか?」


「いいんです。しつこいですよ。しつこい男は嫌われますよ」


「……はぁ、わかった買ってくるよ」



これでいいというのなら、僕がとやかく言う必要もない。

レジに向かい服を買う。


さてこの後どうするか。そういやお昼まだだったし、少し遅めの昼食でも取るとしよう。



「龍神、服買ってきたから今からトイレで着てこ……い、よ」



「また会ったなぁ、学校に現れし不思議な少女よ。おやおやおやぁ?これはこれは鋼介くぅんじゃありませんか〜。あんれぇ、もしかしてデートでしたかぁん?体操服少女とさっそくデェートゥですぅかぁん?」



真性のクズが現れた。

真性のクズの攻撃。

僕に向かってラリアットを放ってきた。


僕は下に潜るように避け、後ろ蹴りを放つと、龍神の手を取り、駆け出した。




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