朝目が覚めたらロリがいた
「主ぃ〜起きてくださ〜い。……主ってば〜」
休日の朝。誰かに起こされているような感じがして目が覚めた。
そういえば昨日、有桜が朝食を作りに行くとメールで言っていたっけ。
おぼろげな頭で昨日の出来事を思い出していると、ドシンとお腹に圧迫感が襲った。
「ぐぇっ……重っ……」
蛙が押し潰されたような声をあげてしまう。中々起きない兄に乗るとは、まだまだ可愛い所があるな。元凶なるものを見ようと重いまぶたを持ち上げる。
すると、
「お、重くないですよっ!主が貧弱なんです〜っ」
顔を膨れさせる小学生ぐらいの女の子がお腹に乗っていた。
一瞬寝ぼけて見間違えているのかと思ったが、有桜は中学生だしピンク色の髪をしていない。
という事は、
「有桜の友達か?起こしてくれてありがとう、そしておやすみ……」
布団を引っ張り、顔まで覆いかぶせる。起こしてもらって申し訳ないが、せっかくの休日なのでもう少し寝ていたい。
起きてくださいってば!と怒る有桜の友達を無視してまぶたをきつく結ぶ。
だんだん意識が朦朧としてきて、眠りの世界に誘わ……
「起きてくれないと、裸になって大声で叫んじゃいますよっ!」
れる事はなく、意識が急スピードで覚醒する。
「キャ〜ッ!!主のエッチィイ〜ッ!!」
「ちょっと待ってぇえ!!起きました、起きましたぁ!」
急いで起き上がり、少女の口をふさぐ。そしてものの一瞬で全裸になった少女に掛け布団を巻き付ける。
危なかった。もし今のを有桜に見られていたら、ロリコンという一生消えない冤罪を被される事となっただろう。
僕が起きた事で満足したのか、得意げに見てくる少女に若干怒りを覚える。
いくら子供とはいえ、初対面で裸になって人を変態にしようとする。
とんでもない非常識さだ。さすがに怒った方がいいだろう。
「え〜と、男の部屋で裸になるなんてはしたないぞ。友達の兄貴だからって油断してると、いつか痛い目に合うからね。取り敢えず服を着ようか」
「ほどほどにしないといつか痛い目に合わせるんですか?」
「えっ?いや、僕はそんな事しないけど……危ないから止めろってことっ!」
「なんで止めないと危ないんですか?手を出さないんですよね?」
うぐっ!この子、手強いぞ。普通年上に叱られたら恐縮してしまうだろ。
なんでそんな純粋無垢な目で見つめてくるんだよ。
本当に分かってないのか?
僕か?僕の怒り方が悪いのか?
う〜む。どうやったら危ないということを理解してもらえるだろうか。
そもそもこの子はいくつなんだ?
今のやり取りからこの子が中学生でない事は分かるけど……有桜に年下の友達がいるとは、知らなかった。
服を着てくれた少女を見て、取り敢えず小学生だと再確認する。
少女が着ているのは体操服。僕が小学生の時に着ていた体操服と似ており、胸の大きな名札には龍神という名が刻まれていた。こんな体操服、中学生は着ないだろう。
「え〜、と。それが服?……」
「はい!名前入りの私だけの服ですっ」
龍神って名前なのか、何処かで聞いたような気がするけど、すごい名前だな。僕も人のこと言えないけど……。