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龍砲艦隊2 【…裕太がまたやらかした!】  作者: どうない あつし
21/21

虎鱏初陣

38

本会議には再び総理、各大臣、将官などが集まり会議が始まった。


米内総理がまず一声

『皆さんおはようございます。それでは始めましょう。昨日に引き続きヒトラー計画に対する案や意見をお願いします。』


しかし相変わらず皆沈黙し誰もが顔を見合わせする中、山本連合艦隊司令長官が発言した。

『よろしいでしょうか、皆さん意見が無いようでしたら我が軍の参謀である赤間大佐からある作戦案を聞いていただきたいと思います。』


米内はそれを聞くと笑顔になりこう話した。

『やはり君か!どんな作戦でもかまわん。この状況を打開出来る案ならすぐにでも採用する。是非聞かせて欲しい。』


『はい総理。それでは皆様、僭越ではございますが自分から発言させていただきます。

自分は海軍工廠にて龍砲などの開発をさせていただいておりまして、山本長官の参謀もさせていただいております。

これもすべて皆様方のお陰であります。

この場で感謝の気持ちを述べさせて頂き………』


『赤間くん!挨拶は良いから本題に入ってくれんかね!』


『あっはい失礼しました。では作戦内容をお話しします。その前に資料を作成して来ましたのでお配りします。春木くん皆さんに配ってくれ。

ここにいる春木正雄くんのアイデアがこの案に繋がりましたので長官の許可を得、同席させていただいております。』


正雄は頭を下げながら資料を配ってまわった。


『資料を見ながら説明させてもらいます。

この案は各部隊の協力とアメリカ軍の協力も必要な作戦です。是非ご協力をお願いしたいと思います。』


裕太は淡々と説明し時おり正雄にも発言させ作戦内容を語って行った。


聞き終えた総理は

『良い案ではないか、虎鱏(コエイ)はそんな事も出来るのか。やって見る価値はありそうだ。

どうですか皆さん?他に案が出ないようであればこの作戦を実行しようではないですか!異議のある者は挙手をお願いします。』


皆、笑顔になる者やうなって考えている者もいたが反対意見は出なかった。


『よし、それではこの作戦で行こう!引き続き関係する部隊責任者を大至急集め詳細な作戦会議をしようではないか!』


山本も

『ありがとうございます。ではこの作戦を赤間少将を中心に行いたいと思います。

赤間大佐!本日より少将に昇進し計画を推進してもらいたい!』


『はっはい!解りました。皆様の期待にお応え出来るよう頑張ってまいります。』


その後2日を掛けた綿密な作戦会議が開かれ各国の軍とも打合せした結果、5日後の作戦決行が決定した。


39

作戦決行日の早朝、イギリス航空基地より約130機のB-29が戦闘機に守られドイツ、フランス、ポーランド、オランダ、ベルギーなどの合計40ヶ所のV2及びV4と思われる発射基地に向け発進して行った。


目的は上空10000m以上より新型の高性能索敵装置を使い各発射基地の偵察である。


同時刻、各戦線にて一斉にドイツ軍への攻撃が再開された。

海岸線では攻撃機と艦砲射撃が開始されソビエト軍はポーランド国境に砲撃を再開、イタリアに対しては日本軍が各都市の制圧を始めたのだ。


ドイツ軍は油断していた。連合軍はヒトラー計画により戦意は喪失し降伏するか撤退するものと思っていたからだ。


この報告を聞いたヒトラーは

『奴らは何を考えておるのだ!すでに20ヶ国ほどが我がドイツに降伏する旨の親書が届いておるのに…核攻撃が嘘だと思っておるのか!それとも捨て身の攻撃なのか?

よし、すぐに各発射基地に伝えよ!V4攻撃を世界の都市に向け発射するのだ。核も含んでだぞ!』


その命令はすぐ様伝わり各基地では発射準備に取り掛かった。

V2もV4も液体燃料を使っているため普段は燃料をミサイルには入れていないため時間がかかってしまうのだ。


V2は移動発射も出来るようにしていたが車両はミサイル、燃料、システムなどを含めると30台も必要なため、場所を見つけ燃料を注入し発射するまで6時間も掛かる時もあった。

V4は機体自体が大きくまだ移動用は出来ていなかったため発射台が設置してある場所でしか発射は出来ない。それでも命令を受け燃料を注入しシステム調整をすると発射するまで1時間以上もかかっていた。


連合軍はこの発射までの時間を利用し上空から索敵し発見する事を狙っていたのだ。

V4の発射には周りの発射台や設備なども含めるとかなり広めの場所に設置されている。

普段はカモフラージュされてはいるが発射時にはシートなども外され上空からでも充分発見出来るのだ。


各基地は燃料注入とシステム調整のため兵員達は大慌てで準備に入った。


それを航空より見ていたのがB-29である。

予想していた10箇所から報告が連合軍に入った。

『V4と思われるミサイルを発見!場所は○○○○○!』


この報告を同時に聞いていた者達がいた。

それはB-29のさらに上空である。

30機の富嶽が分散しヨーロッパ上空に侵入していたのだ。


『よ〜し攻撃開始だぞ、報告のあった座標に移動する。戦闘準備にかかれ!』


その10箇所に対し20機の富嶽が2機づつに別れ向かって行った。


標的近くの上空に到着すると

『ハッチ開け〜!虎鱏発進!』


なんと爆弾層より投下されたのは虎鱏(コエイ)である。

2機の富嶽より4隻の虎鱏が投下されサイドにある水平翼を展開するとエンジンをふかし目標に向け滑空して行ったのだ。


虎鱏は下部の噴射も強いため上昇までは出来ないがかなりの距離を滑空する事が可能だ。。

地上でも道のない所を進み崖などからも降りる事も海沿いの海岸線の絶壁でも滑空し着水する事も出来るのだ。


4機の虎鱏は目標の20km手前から発進し5分ほどで発射基地に達し、滑空しながら50mm機関砲をミサイルに向けドカドカっと2連射した。命中した場所から火柱が上がりそれを回避すると200m先の地上に着地した。

すぐにUターンし今度は地上から50mmを速射し始めたのだ。


発射基地ではいきなりの攻撃により対応出来ずあっという間にミサイルや発射台などが破壊され兵員達は逃げ惑うしか無かった。

車両のみならず施設なども破壊され基地機能は完全に壊滅したのだ。


暴れ回り戦果を確認すると虎鱏は戦場より最高速で離脱し始めた。予定していた補給地点に向い、同じ富嶽より降下していた補給物資と兵員を乗せ一番近い海岸に向け避退して行ったのだ。


ほとんどの虎鱏がB-29が発見してから攻撃し避退まで30分以内の早さであった。



10箇所で同じ戦闘が行われ、さらに追加で4箇所を破壊する事が出来た。

戦果を見てみると7機のV4を破壊、約80機のV2を破壊する事が出来たのだ。

そして問題の核だがそのうちの1機に核弾頭が搭載されていたようで空中からの一撃で誘爆し核爆発を起こしてしまった。

それを破壊した虎鱏も2機が巻き込まれ乗員もろとも帰らぬ人となってしまい、さらに他の目標に向かった2機が投下後にバランスを崩し地面に叩きつけられてしまっていた。


しかし、4機の被害と貴重な人員も失ったが当初の目的は達成され核の脅威は当面排除されたのだ。


40

その後、他のB-29よりV4発見の確認が遅れ2機が発射された事が報告された。

方向はイギリス、アメリカ方面に1機とモスクワ方面に1機が向かったと言う。


この報告を受けた地域には龍砲が待機していた。

攻撃目標と予想される都市、イギリスロンドンに5隻、マンチェスターに5隻、カナダオタワに5隻、アメリカニューヨークに5隻、ワシントンに5隻、モスクワに5隻、残りは日本艦隊にいた。

これは青龍型空母3隻が高速で龍砲を搭載し派遣した結果である。


その龍砲達には特殊な三式焼夷弾が与えられていた。

飛距離を伸ばすため炸薬量を増加し、焼夷弾子の代わりに5mmほどの鉄球を詰め込んでいたのだ。

この三式弾を最大仰角で発射すると高度20000mの場所で炸裂し直径1kmもの円状に鉄球が広がるのである。


普通の航空機であればこんな小さな鉄球が何発か当たっても大した効果はないが、マッハを超えて突っ込んで来るミサイルには自分の速度が災いし内部にまで貫通してしまう。これにより弾頭への誘爆、またはジャイロや翼の破壊などを狙ったものなのだ。


発射されたV4はあっという間に成層圏まで達し燃料が尽きるとそこから目標に対し降下し始めた。

一発はアメリカニューヨークに向かっていた。

現地では報告を受けた龍砲が戦闘準備に入り到達予想時間になると三式弾を次々に上空に打ち上げ始めた。

5隻の龍砲から短時間に30発ほどの三式弾が発射され都市部上空に広がった。

そこに予想通りV4が落下し弾幕の中を通過したのだ。

見事狙い通りV4は誘爆し空中で粉々になってしまった。


モスクワはそれより早く到達し、龍砲も弾幕を張ったが、そのさらに外側をミサイルが通過し郊外の山林に落下し爆発したのだ。

被害は山火事が少し発生したが問題無く消し止められた。


今回の作戦では予防策としてこの龍砲防衛作戦があったため各国もこの作戦に参加したのだ。

虎鱏の作戦で撃ち漏らしたものが核の可能性もあったため龍砲による上空防衛も行なっていたのだ。

誘爆により放射能の影響も出る可能性もあったがアメリカによるヨーロッパ全土への核による無差別攻撃よりは数段増しであった。


こうしてヒトラーの脅しは龍砲や虎鱏などガンシップの活躍と各国の協力の元葬られたのだ。


あとはヨーロッパの解放とドイツ帝国の攻略である。


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