ヒトラー
3
ドイツではソビエト戦線に力を入れる一方、イギリスに基地建設を急いでいた。
ヒトラーは怒っていた。
各軍の元帥とヒムラー親衛隊長官を集め怒鳴り散らしていた。
『日本はどうしてアメリカと和平をしたのだ!
もう少しで占領できたものを。
黄色人種は詰めが甘い!
やはり我々が世界を指導していかなければならないようだ。
さっさとソビエトを降伏させて、日本の変わりにアメリカを取るぞ。そうではないかねヒムラーくん』
『はい、総統!必ずやそうなるでありましょう!』
『デーニッツくん、君の海軍にウィンドパンツァーを与え陸軍とともに戦功を与えたのだ。
どうなっておる!』
『はい、総統!現在ウィンドパンツァーは100台を超え、さらに我が軍で開発したウィンドパンツァーⅡがソビエト戦線に投入予定です。
これであの逃げ回っている。スターリンを仕留める事ができます。』
『そうか、日本には龍砲だけは感謝せねばならないな。
しかし、世界を征するのは我がアーリア人だけだ!
諸君、全力で戦いたまえ!』
『ハイル、ヒトラー!』
しかしこの時、各軍では確執が生まれていたのだ。
海軍はもともと活躍の場があまり無く、陸軍の機甲師団は世界一の名を馳せていたため苦汁を舐めさせられていた。
空軍はその陸軍を支援しそれ以上の働きもしていたためヒトラーには期待を持たれていたのだ。
それが戦況が悪くなりヒトラーの機嫌が悪くなっていた。
そんな時に日本の龍砲が手に入り、海軍の活躍により一気に戦況が良くなってしまった。
ヒトラーは大喜びだったが陸軍と空軍は怒鳴られっ放しの日々が続いていたのだ。
両軍とも面白いはずがない。
何か功績が良くなる物はないか?
と日々、元帥たちは開発競争に励んでいたのだ。
そこにまた、海軍がウィンドパンツァーⅡを投入する事になった。
焦りはますます募っていったのだ。
そのウィンドパンツァーⅡの性能を見てみると。
まずエンジンを従来の1.5倍の馬力にしそれにより速度は140kmに達した。
さらにツンドラ地帯での広範囲攻撃をする為、砲塔を小型化し3連装にしたのだ。
小型化と言っても1門が通常の戦車の2倍もある為破壊力はとんでもない。
今のソビエト軍にこのスピードで走行する車体に攻撃出来る兵器はない。
せいぜい、戦車か榴弾砲のまぐれ当たりだろう。新たな開発能力もすでにない為、ソビエトも追い詰められ降伏する可能性が大である。
4
この状況で陸軍は焦った。さらに戦功が海軍に行ってしまう可能性が出てきた為、急場凌ぎでとんでもない兵器を登場させたのだ、
開発と言うより既存の兵器を合体させたのだ。
車体の大きさは全長70m幅30m重さ1600トンである。
まさにモンスターであろう。
そう陸軍はグスタフ列車砲をウィンドパンツァー4台の上に乗せたのだ。
先にこのグスタフ・ドーラと呼ばれた列車砲を説明しよう。
砲の長さだけで32.48m(龍砲17m)
口径はなんと80cm(龍砲46cm)である。
当然砲弾も大きい、ベトン弾(厚い壁などを破壊する)で約7トン(龍砲1.5トン)もあるのだ。
全体で長さ47.3m幅7.1m重さ1350トン
これを列車で引き移動するのだ。
発射も大変である1000人以上で設置組立するため時間がやたらとかかってしまう。
それを龍砲4台を並列にならべ載せたのだ。
そのまま発射も出来るように改造し、砲弾も20発搭載した。
その名もグスタフ・ドーラⅡである。
ここに世界最大の陸上兵器が誕生した。
ソビエトに新型ウィンドパンツァーⅡと化物グスタフ・ドーラⅡが襲いかかろうとしていたのだ。