イギリス奪還
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ヒトラーはかなり不機嫌である。
『なんという事だ!アフリカを抑えられソビエトにも押され始めている。ウインドパンツァーはどうなっておるのだ。デーニッツくん!』
『はい、総統!申し訳ありません、敵の龍砲も新型が登場しどの戦線でも押されている状況です。』
『何か次の方法は考えておるのか?』
『いえ、ただ確認されてる龍砲はソビエト戦線で30隻足らず、ヨーロッパ戦線でも同様で合わせましても60隻以内のようです。ウインドパンツァーも量産しておりますので今後大量に戦線に投入し撃滅出来るでありましょう。
さらに陸軍のグスタフⅡも5隻が就役しました』
ここで空軍元帥のゲーリング元帥が発言した。
『総統!我が空軍では新兵器のロケット戦闘機並びにジェット戦闘機が配備可能になって来ました。さらにV2ミサイルが5000発の製造が完了しております。
龍砲対策も新型のメッサーシュミットMe262にロケット弾を装備し、高速で接近し発射する訓練を繰り返しております。
これによりいくら龍砲でも葬る事が出来ますでしょう。』
今まで海軍に戦功を取られていた空軍や陸軍はここで挽回しようと必死だったのだ。
デーニッツ海軍元帥は苦虫噛み殺したような顔をしている。
ヒトラーもいくらか機嫌を直し
『諸君!早く良い話しを聞かせてくれたまえ。吉報を待っておる。』
『ハイルヒトラー!』
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その頃アメリカのワシントンでは大統領と第一龍砲艦隊司令長官の竹内中将が会談を開いていた。
『大統領、お会い出来て光栄であります。』
『中将、私もだよ。さぁ座りたまえ。』
『さっそくですが大統領!イギリス上陸作戦についてですが、兵力的にはどれほど出して頂けるのでしょうか?』
『うむ、当然アメリカ軍としては総力を挙げて遂行する事を約束するよ。さらにイギリス軍の残存部隊も参加する予定だ。
全軍の指揮はアイゼンハワーにやらせようと思っておる。』
『わかりました。それでは私ども第一龍砲艦隊は最前戦で戦う事をお約束致します。さらに現在第三龍砲艦隊も地中海よりこちらに向かっております。
作戦が始まるまでには到着するでしょう。』
『それは心強い、その他カナダ、フランス、ベルギーなど各国の戦力も集結するだろう。
これでイギリスの奪還も間違いあるまい!
中将!宜しくお願いするぞ。』
その後会談が終わり具体的な作戦内容の煮詰めを各軍の将が集まり行っていた。
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その頃、龍砲103の春木正雄一等水兵が港湾基地をうろついていた。
『白木中佐!どこでありますか?美味しい物が食べられるとこは?』
『正雄、慌てるなって。この基地には食堂から喫茶店とかなんでも揃っているそうだ。
まずはハンバーガーを食べないとアメリカに来た意味がないぞ。』
『なんでも良いです。ハンバーガーでもステーキでもとにかく腹ペコなんです。龍砲に乗ってる時は非常食見たいなのばっかりで、母龍の食堂なんかたまになんですよ。』
『そりゃ戦闘艦に乗ってて贅沢言うんじゃない!あと4日、5日はここにいるからその間に好きなだけ食べたらいいやろ。』
『はい!死ぬまで食べます。』
『笑、戦いの前に死んでたら家族になんて報告しといたらええんやろな。』
『大丈夫です。自分は死んでも戦えますから!』
『そうか、その意気だな。
おっ!あったぞ。ここは中々美味そうな感じだぞ。』
『やった〜!中佐早く早く〜』
と正雄は光一の手を引っ張って店内に入っていったのだ。
『ほんと美味いですね、このハンバーガーって言うのは。俺、戦争終わったら日本でお店やろうかなぁ。きっと流行りますよ。』
『お〜!それは良い。是非やってくれ。毎日行ってやるぞ。』
『ところで中佐、103に乗ってて気付いた事があるんですが。龍砲はスピードが上がった分性能が良すぎて、荒れた海や地上のデコボコな所は逆にスピードを落とさなきゃならないじゃないですか。もう少し高く走行出来たら凄くないですか?』
『そりゃそうや!なんか方法があるんか?』
『はい、思いついたんでが今のエンジンの排気を若干下に向けるんです。前も同じように。ジェットのパワーは凄いですからそんなにスピードも落ちずに浮くはずなんです。まぁ底の部分の改良や水平尾翼などもいじらなければならないですが。』
『そうか、そりゃ凄いな。詳しい事はわからんがそうなりゃ格段と戦闘力が上がるな。裕太に、いや赤間大佐と相談して進めたらええで』
その後、第三龍砲艦隊も到着しいよいよイギリス上陸作戦が開始されようとしていた。