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第5話 妖魔学園へ

今回は千歳のいる妖魔学園へ向かいます。

千歳が忘れたお弁当を届けるため、千聖さんに連れられて妖怪の子供たちが通う学校、妖魔学園へ向かうことになった。

その途中でこの辺りに住む妖怪達の買い物をする場所である妖怪商店街を通ることになった。

初めて九尾神社の外に出るので緊張しながら千聖さんの後をついて行くとそこには賑やかな光景が広がっていた。

妖怪商店街には食品を扱う店から日用品、更には玩具や不思議な道具が売っている店が連なっていた。

八百屋と思わる店の前を通ると中から水の妖怪である河童が現れた。

「おや、千聖さんじゃないか!」

「やあ、河童屋の女将さん」

どうやら千聖さんとその河童の女将さんは知り合いみたいだ。

「いつもあんたの所の野菜はよく売れるよ。また頼んだよ!」

「はいよ〜」

「おや?そこにいるのは誰だい?見かけない顔だねぇ?」

女将さんは千聖さんの隣にいる俺を不思議そうに見る。

「この子は親戚の子でな。今度からこっちで預かることになったんだ」

「まあ、そうだったのかい!良かったわね、毎日が賑やかになるだろう?」

「そうだな。じゃあ、また後で。今から学園に行かなきゃならないからな」

「ああ、またね!」

河童屋の女将さんに一礼をし、学園へ歩を進めた。

現在妖狐となっている俺は千聖さんの親戚の子と言う設定になっているのだ。

「ずいぶん賑やかですね」

「この辺りにはここぐらいしか買い物を出来る場所がないからな。ここから少し遠くからもよく買いに来るんだ」

「何だか、向こうの港町を思い出します」

「そうか。天音、よかったら後で向こうの世界の話をしてくれないか?旅をしていたから色々見た来たんだろ?」

「はい。一応世界を何周もしましたから」

「おお、世界を何周もしたのか。やるな」

「まあ、時間は有り余っていたので……」

身寄りのない俺はずっと、ただ歩き続けた。

日本を出てからアジア、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア……色々な土地や文化を学んできた。

その途中で阿呆で半殺しにしたいけど、一応感謝している師匠に出会った。

そして……戦い、生き抜く為の力を俺に教えてくれた。

「さあ、着いたぞ。ここが妖魔学園だ!」

「ここが……妖魔学園?」

辿り着いたのは『妖魔学園』と看板が立てられた大きな校門だった。

校門にある警備員と思われる……あれは烏天狗だろうか?

その人と千聖さんが話をすると「来校者」と書かれた札を二枚もらった。

「天音、これで来園者としてこの学園に入れるぞ」

「ありがとうございます」

札を片手に恐る恐る中に入ると意外にも普通の学校の風景があった。

花が散り、青葉が彩る桜並木が続き、幾つもの部活動で使うと思われるスポーツ施設が点在していた。

普通に見るとそれは日本で見た学校とはあまり変わらない風景だった。

そして、ちょうどお昼時なので生徒達がゾロゾロと外に出てきてお昼を食べ始めている。

「さて……うちの娘は何処かな……?」

「多分……あっちです」

「分かるのか?」

「うーん、何と無くですけど……」

校舎の少し離れた場所に千歳の気配と言うか、妖気のようなものを感じられる。

「そうか。じゃあ、千歳の弁当を頼んでもいいか?学園長に話をしてくる」

「分かりました、お任せ下さい」

千聖さんからお弁当を預かり、千聖さんと別れて千歳がいると思われる場所へ向かった。

何と無く感じられる千歳の気配を頼りにゆっくりと歩んでいくとすぐに見つかった。

「あう〜……お弁当忘れちゃったよぉ〜」

「全く……お主は相変わらずおっちょこちょいのドジじゃな」

「いい加減直さないとダメだよ……?」

千歳の隣には大きな狸の尻尾を持つ少女と虎皮のマフラーに蛇の尻尾を持つ少女がいた。

「あ、いたいた。千歳ー!」

「え?あ、あ、天音!?」

千歳は俺を見るなり隣の二人を置いてダッシュで近付いてきた。

「どどど、どうして天音がここに!?それにその姿……」

「千聖さんに変化の術で妖狐にしてもらったんだ。あと、ここに来た理由はこれ」

ここに来た目的であるお弁当を千歳に見せる。

「あっ!私のお弁当!!」

「お昼前に渡せて良かったよ」

「あ、ありがとう……」

「ああ」

千歳は余程嬉しかったのかお弁当をギュッと抱き締めた。

「おやおや、あの千歳に春が来たのかなぁ?」

「急いでお赤飯を炊かなくちゃ……!」

そこにいたさっきの二人がニヤニヤして近付いて来た。

「春って何よ!?それに、お赤飯は炊かなくていい!!」

「えっと、お二人は千歳の友達?」

「私か?私は化け狸の八重雲母じゃ。ああ、呼び捨てで構わないからな」

「私は鵺の如月雷花……私も呼び捨てで良いよ……」

化け狸の雲母に鵺の雷花……またこれは有名な妖怪が揃ったな。

「俺は天音。千歳の従兄妹で昨日から九尾神社にお世話になってます」

「ほぉ、千歳の従兄妹か。初耳だな」

「結構綺麗な顔立ち……千歳とお似合い」

「ななな、何を言ってるのよ雲母と雷花は!!?」

「千歳、何を慌ててるんだ……?」

よく分からないけど、ひとまず千無事に千歳にお弁当を渡せてホッとしたのも束の間……。







「ぬぁあああああっ!?ち、千歳姫が男と親しげにいるぞ!!」

「「「「えっ?」」」」







どうやら俺はこの学園の災難に巻き込まれたらしい。

気がつくと周囲には妖怪の男達が集まってきて何故か俺を妬んだ表情で睨みつけてきた。

「あ、あの千歳姫が男と一緒だとぉ!?」

「相手は何処のどいつだ!?見たことない奴だぞ!!」

「どうやら狐の奴みたいだな……尻尾が一本しかない奴が姫と一緒なんて生意気だ!!」

いや、俺は人間だけどね、この尻尾は飾りだからね。

そう心の中で思いながらサッと構えを取る。

さっきから妖怪達に殺意を向けられて戦闘態勢に入っている。

妖怪の本能故かどうやら戦わないと気が済まないらしいな。

そう言えば千歳の事を姫って呼んでいたけど、千歳は学園のアイドルかなんかに扱われてるのかな?

まあ今そんな事を考えても意味ないか。

「仕方ないか……」

軽く掌を合わせると左掌の中から赤い鞘の刀を取り出す。

この刀の銘は『龍星神』、馬鹿師匠から貰った俺の愛刀だ。

「千歳、下がってろ」

「天音、戦えるの?」

「んー、まあぼちぼち」

あまり戦いたくないけど、ここで逃げても逃げきれそうにないので戦うしかない。

当然だけど妖怪と戦うのは初めてだけど……。

「……ま、神魔流の『剣術』と『忍術』で何とかなるかな?」

師匠から教えてもらった神魔流がまさかここで役に立つとは夢にも思わなかったなと思いながら龍星神を構える。




次回は天音VS妖魔学園の生徒(妖怪)です。

さあ、ここから天音の無双が始まります!

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