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第4話 九尾の力の一片

千聖さんはなかなかの強キャラなのでその力を見せます。

朝食の後、千聖さんの手伝いで九尾神社の掃除をして……。

「ふぅ、やっぱり男手があると楽だな」

神社にある大きな畑で畑仕事をする。

「千聖さん、こんな広い畑を一人でやってたんですか……?」

畑には胡瓜や人参、大根など沢山の種類の野菜が植えられていた。

「千歳は学業と部活で忙しいからな。だが、畑仕事をするのは私一人じゃないからな」

千聖さんは懐から五枚の和紙で作った人形を取り出した。

そして、ばら撒くように投げると何十倍にも巨大化し、農作業を始めた。

「これは……?」

「式神。妖怪退治の専門家、陰陽師が使っていた術だ。私の妖力を使って動かしている」

「凄い……流石は九尾の妖狐」

なるほど、この大きな神社や畑を千聖さんが一人で切り盛りをしていたのはこの式神のお蔭ってことか。

「だがどうしても式神で出来ないことは私自らの手でやっていたんだ。もしもの時は天音、力を貸してくれよ」

「ええ、任せてください」

後で聞いた話だと千聖さんの作る野菜は地元で結構高値で売れるらしく、神社の貴重な資源になるらしい。

確かにここで作った野菜は人間界では食べたことがないほどとっても美味しかった。

「飯は美味いし、環境も良いし……ま、何とかなるか」

異世界だから色々不安はあるけど、衣食住が何とかなるなら生きていけるな。

師匠の能天気が移ったのか、笑みを浮かべて青空を見上げる。



お昼時になり、昼ご飯の準備をしようと台所に戻ると千聖さんは「あちゃー」と額に手を当てて困った表情をした。

「千歳……弁当を忘れているよ」

「え?本当ですか?」

「まあ売店があるから良いが……仕方ない、届けてやるか」

「妖魔学園にですか?」

「ああ。ちょうど妖魔学園の学園長に用事があるからな」

「妖魔学園、妖怪の子供たちが通う学校か……」

俺は生まれてこのかた学校と言うものに通ったことはない。

学校がどう言うものなのかは本やテレビで見たイメージしかないが、やっぱり憧れと言うものはある。

そう考えていると千聖さんは俺の肩にポンと手を置いた。

「そうだ。天音、妖魔学園を見学してみないか?」

「えっ?いやいやいや、ちょっと待ってください。人間の俺が行ったら襲われちゃうんじゃ……」

「あーそうだよなぁ……よし、あれを使うか」

千聖さんは何かを閃くと、棚から細長い和紙と筆を用意すると達筆な字で『変化』と書いた。

「これをポケットにでも入れてろ」

「あ、はい……」

言われるがままに受け取った紙をズボンのポケットに入れると不思議な光が体を包み、体に変化が起きた。

爪が鋭く伸び、髪が黒髪から金髪になり、尻に何かが生えたようなムズムズした感覚が伝わった。

「……え?まさか!?」

急いで大きな鏡のある更衣室に向かうと驚くべきものが映っていた。

「嘘……妖狐になっちゃった……?」

鏡には大きな一本の尻尾を持つ妖狐の姿をした俺が写っていた。

「無事に変化出来たみたいだな」

「変化……?」

「さっきの式神とは別の陰陽術の応用で妖狐に化ける変化の札を書いたんだ。これでお前が人間とはバレることはないよ」

「凄い……ん?」

妖狐に変化した自分の姿と千聖さんの妖術に驚いていると手の甲に焼きつくような熱が帯びていた。

そして、何かの形をした紋章が薄っすら浮かび上がっていた。

「何だこれ……?」

「どうした?」

「あ、いえ……」

気がつくと熱が収まり、紋章も消えていた。

何だったんだろうと思いながら手の甲を左手で摩る。

「よし、行こうか天音!せっかくだから妖魔学園のついでに妖怪商店街も案内するぞ!」

「妖怪商店街!?おぉ、楽しみになってきました!」

まだ九尾神社しか知らない俺は異世界・エレメンティアの妖魔国がどんな世界なのか……いよいよ知ることになるのだった。




主人公の掌に不思議な模様が見えましたがそれはもう少し先で何なのか判明します。

次回はいよいよ妖魔学園へ行きます。

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