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第2話 異世界・エレメンティア

さっそく第2話投稿です。

楽しく少しずつ書いていきます。

九尾の少女に連れられてきたのは神社の社だった。

見渡すと神社の至る所に狐の石像や絵馬がたくさんあった。

九尾神社……なるほど、ここは狐が祭神の神社なのか。

「お母さーん!どこー!?」

少女が大声で自分の母親を呼ぶと

「娘よ、さっきから何を騒いで……むぅ?」

出てきたのは少女と同じ巫女装束に身を包んだ女性だった。

少女と似た顔立ちで長い金髪と狐耳、そしてフサフサした九本の尻尾が特徴的だった。

「お前、人間か……?」

「は、はい……」

「……娘よ、お前何をやった?」

女性はギロリと少女を睨みつけ、少女はビクッと震えて涙目になった。

「え、えっと……その……」

「まあ、立ち話もなんだし……二人とも、来なさい」

女性に連れられた先は客室でそこでお茶とお茶菓子を出された。

「さて……とりあえず自己紹介をしとこうか。私は久坂千聖この九尾神社で巫女をしている。そして、こいつは私の娘の……」

「久坂千歳です……」

「千聖さんと、千歳さん……」

思ったより普通の名前で少し安心した。

「私は呼び捨てでいいよ。歳も近そうだし……」

「分かった、千歳」

今度は俺が自己紹介する番だな。

「次は俺だな。俺の名前は天音、天の音で天音だ」

「天音……それがあなたの名前?」

「ああ。それで、この国はいや……この世界は一体何なんですか?」

この世界は俺のいた世界とはまるで違う。

そもそも妖魔国なんて国は存在しないし、目の前にいる二人はどう見ても人間じゃないし。

「この世界は色々な呼び方があるが、一般的には『エレメンティア』と呼ばれている」

「エレメンティア……?」

「この世界はお前の住む世界……人間界とは別の次元にある、『人外』だけが住む世界なのさ」

「人外……?」

「簡単に言えばお前、人間以外の異なる存在。神様や魔物、そして私達妖怪だ」

「妖、怪……!?じゃあ、やっぱりあなた達はあの有名な妖怪、九尾の妖狐!!?」

「そうだぞ、人間界で悪の化身やら吉兆の印やらで色々と人気のある九尾の妖狐だぞ」

「お母さん、そんなメタ発言は止めて……」

俄かに信じられなかったがこれは夢ではなく現実なので心の中で強制的に納得させた。

「本来ならこの世界には人間は存在しないはずだが……千歳、何をした?」

「えっと……学校の図書館で見た西洋魔術の魔法陣を書いて、試しに妖力を注いだら……」

「俺をこの世界に呼んだって事か……」

学校って……妖怪が通う学校がある事にビックリだけど、まさか素人が書いた魔法陣で呼んでしまうのにもビックリだよ。

「この、馬鹿娘が。人様に迷惑をかけよって……」

ゴンッ!!

千聖さんは千歳の頭に拳骨を落とした。

「ごめんなさい……天音……」

「いや、わざとじゃ無いんだし気にしなくて良いよ」

「だがしかし、天音にも家族はいる。早く人間界へ帰る術を見つけないと……」

「家族ならいませんよ」

「「……え?」」

「俺には……帰るべき場所も、帰りを待つ家族は一人もいないから……」

俺は記憶が曖昧な頃に自分を産んでくれたと思われる親に捨てられて、それからずっと一人で生きて旅をしていた。

「そうだったのか……すまない、暗い話をさせてしまって」

「天音、ずっと一人ぼっちだったの?」

「一応、師匠と呼べる存在はいたけどね。まぁ、見つけ次第半殺しにするけど……」

「「……はい?」」

突然危ない事を言い出した俺に二人はキョトンとした。

師匠の事を思い出すとふつふつと心の奥底から湧き上がるものがある。

「あの馬鹿師匠め、厄介ごとを全部俺に押し付けやがって……絶対に許さねぇ……九割九分九厘殺しをしたいところだが、俺に『心技体』を教えてくれたのは事実。恩恵で半殺しに抑えてやる……だが覚悟しろよ、二度と俺に厄介ごとを押し付けないようにトラウマを……」

「ちょいとそこの少年君、闇出てるから。人間なのに妖怪並みの闇出てるからね」

「あの……あんまり人を怨むのは良くないよ?それだけで心に負担をかけるし……」

千歳になだめられ、確かにその通りだと心を鎮めて一先ず師匠への怨みは置いておく。

「さてと、うちの馬鹿娘の所為でこうなったんだ。娘の不始末は親の私が尻ぬぐいをしないとな」

「千聖さん……?」

何かを決めた千聖さんは膝を叩くと俺を真っ直ぐに見つめた。

「天音、とりあえずは死ぬまでウチにいてもいいぞ」

あまりの唐突な発言に俺と千歳は目をパチクリとさせた。

「え……?死ぬまで……?」

「あ、天音と一緒に住むの!?」

「ああ。なんだかんだで女二人だけの生活も飽きてきたし、男手も欲しいからな。よろしくな、天音」

ニッと笑みを浮かべる千聖さんに有無を言われず俺は頷いてしまった。

「よ、よろしくお願いします……」

こうして俺はこの世界、エレメンティアの妖魔国・九尾神社に住むことになるのだった。

どうなるんだ?俺……。




天音と千歳、そして千聖の生活が始まりました。

妖魔学園はもう少し先になると思います。

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