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ガチャッとドアが開く。
「マリったら、起きたのね。」
母が怒り顔で部屋に入ってきた。
「お母さん!私、何してた!?」
「何してた?ってこっちのセリフよ!あんたが隣の家の裏庭で倒れてるのを桐くんが運んでくれたのよ!?勉強さぼって裏庭で遊んでたんですって?」
私はますます唖然とした。確かに隣の家には行っていたようだけど、裏庭で倒れて幼馴染に助けられたことになっていた・・・。
「あんた、あんな廃墟に一人で忍び込んで・・・何があったかわかったもんじゃないよ!もう行かせないからね!」
母はそう言って部屋を出ていった。
リズから確かに呪いの話を聞こうとしたはずだが、おかしなことにそれ以降の記憶が全くない。
ふと、寝そべっていた身体に固い感触を感じた。
「・・・?」
ポケットを探ると、アンティーク調の私のものではない鍵と紙があった。
二つ折りにされた紙を開くと、アルファベットで書かれた文字があった。
それはよくわからない言語でわからなかったが、それを見てなぜか私はあの美しい魔法使いとまた会うことを確信した。
それから数年、私が隣の家に入ることはなかった。
母は私を塾に通わせ、冷たかったはずの幼馴染は私の面倒を見るようになった。
そうすると次第に友達も増え、日々は忙しくなり、私は隣の家での出来事を中学生になるときにはすっかり忘れていた。
そして16歳になったある日、不意に思い出した。




