5
「私の名前はリズと言う」
「リズ・・・さん?」
まともに目を合わせられない。
「リズでいい」
「・・・リズ?」
恐る恐る目を見つめて呼ぶと、フワリと甘い笑みがドアップで映る。
「そうだ、マリ」
気を失いそうになったが、ぐっと耐えた。
後ろでルーが面白くない、という顔をしているのが見える。
「マリはどうしてこの邸の中に入ってきたんだ?」
「黒猫を見つけて・・・」
ルーを見ると、睨まれる。
「私は何度か見かけましたよ。この小娘が人の家の裏庭にのうのうと居座っていたところを。」
私の姿は見られていたらしい。
全然気づかなかった。
「・・・ごめんなさい。人が住んでいることを知らなくて」
「人が住んでいなければ勝手に入っていいというわけじゃないぞ。まったく最近のガキは・・・」
ルーが顔をしかめて言う。どうも嫌われているようだ。
「あなたも子供じゃない」
先ほどから子供の姿で大人ぶる少年に一言言ってみた。
「はあ!?これだからただの人間はイヤだ!私が子供だと?笑わせてくれる!私の実年齢は優に百は超えているのに!」
「ルー、落ち着け。今のお前の姿はどう見たって子供だ。」
「師よ、これが落ち着いていられますか!?こんなガキ、記憶を忘れさせてほっぽり出しましょう!」
そういってルーは私を魔法使いの膝の上から降ろそうとする。
「ちょっと、やめてー!」
私が暴れると、魔法使いは私を優しく抱きすくめた。
「待て待て。これは私の呪いを解くチャンスかもしれないぞ。」
呪い!?




