3
幼さとは不思議なものだ。
私は世の中には魔法使いがいた!と簡単に信じてしまったのだ。
「すごい!!本物なの!?」
いろいろ残念遺伝子を持つ私だったが、まあまあのポジティブさと人見知りのなさはあった。そして、はしゃいでその魔法使いに纏わりついた。
すると、驚くことに黒猫が人間の子供になった。
「やめなさい。そのお方は貴様のような薄汚い小娘が触れていいお方ではございません。」
そうきっぱりと言い放った子供は私より少し年上くらいの容貌で、黒髪のボブで目の大きな可愛らしい顔立ちだった。
「えっ、えっ!?か、かわいい・・・!」
驚きながら思ったことがつい言葉に出てしまうと、その子供は大きな猫目をキッと細め、
「私は男だ、かわいいと言う言葉で表現するのはやめろ!」
ときつい口調を飛ばしてきた。
驚いて瞳が潤んでくると、魔法使いが溜め息をついて私をそばに寄せる。
「ルー、全く言葉使いが悪いな。そんな弟子を持った覚えはないぞ。」
魔法使いはその少年を軽くたしなめると、私に目線を合わせ、しゃがみこんだ。
「ここは魔法使いの住む邸。人にばれないよう、廃墟のように演出していたんだが・・・。」
魔法使いはやれやれ、と肩をすくめる。
「お嬢さん、ただで済むと思うかい?」
魔法使いは目を細め、甘い笑みで物騒なことを口にした。




