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「ちょ、ちょっと待って?リズの母国って言うのは日本じゃないよね??」
どこの国なのだろう。急に海外旅行なんて、いくらなんでも準備が追いつかない。
「そうだね…、正確に言うと、日本でもないし、この世界でもないよ」
なんだかおもしろそうにリズは言う。
ん?この世界でもない?
「わ、私パスポートとか持ってないよ。それに海外旅行するなら、親に伝えとかなきゃだし、学校とか勉強も…あぁ、部活も!そうだ、そういえば桐が…」
とりとめもなく混乱が頭を駆け抜ける。
その中でふと桐の存在を思い出した。
先ほど、彼は私の部屋の中にあった鍵のありかを知っていた。
なぜ桐はあの場所を知っていたの??
「俺も着いて行ってやるよ。マリ。」
すぐさま答えるように、桐は隣にいた。
「え、桐!?どうしてここに??」
「キルファ、あまりマリに近寄るな」
驚き、桐に近寄ろうとした瞬間、リズに肩を寄せられた。
「独占欲丸出しだな」
桐はやれやれ、と肩をすくめた。
「言っておくけど、これまでの協力はお前のために善意でやってた訳じゃないことをわきまえろ?マリはお前だけの物でもないし。」
くっと、皮肉めいた笑みを浮かべながら桐は私を怪しげな目で見つめた。
これは本当に桐?
到底私が今まで一緒にいた幼なじみとは思えない。




