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プロローグ7


プロローグは村に着くまでです



ニーナ達から離れてしばらく歩くとそこには、たくさんの盗賊っぽい奴らがいた


思ったより数が居るな…


てか、全員が皮の鎧や鎖帷子、果てにはローブのような物を羽織っている奴も居るぞ…


流石異世界だな、こんな世紀末な光景は元の世界でもなかなかお目に掛かれないぜ


俺が感心していると


「オイ!テメェ一人で来るなんてとんでも無ぇ馬鹿だな!」


そこへでっかい盗賊が話しかけてきた


「アンタ、誰だっけ?」


「オッズだ!お前俺を殴って木に吊したのに、忘れたってのか!」


「忘れたよ、下らない事は記憶しないようにしてるんだ」


「テメェ…!」

歯を砕かんばかりに噛み締め背中の大剣に手をかけるオッズ


やっぱりこういう奴は少し挑発するだけで直ぐに理性を無くす


理性を無くせばまともな判断が出来ず

ろくな結果にならない


もし、それが戦場なら尚更だ


正気を失った奴から死ぬ…


そんな事も知らないで今にも飛びかかって来そうなこのオッズは長生きはしないだろうな


俺は冷えた脳内でそんな事を考える



「お頭!待ってくだせぇ!お頭は俺達の要なんすからまずは見てて下せぇ!」


ほぉ…俺は少なからず感心する


こういう冷静な判断を下せる奴そうは居ないからだ


良く見ると、俺が最初に馬車を襲った時に馬車の所に座っていた恐らく運転手だろう盗賊、そいつは俺がわざと挑発した事を見破りオッズを下がらせたのだ


油断していた訳ではないが俺は気を引き締める


コイツは要注意だ…



「チッ!じゃあ、お前ら囲め!」


オッズは一歩さがり指示する


そして入れ替わるようにぞろぞろと七~八人程の盗賊達、その手には安っぽい剣や短剣等々獲物は様々だ


奥にもローブを被った数名の男達が居てブツブツと何かを喋っている


「テメェ、やられる覚悟はあんだろうな?」


「お前らみたいなゲス野郎共にやられる訳ないだろ?」


ビキッ!とこちらまで音が聞こえて来そうな程に青筋を浮かべるオッズ


おお、怒ってる怒ってる


「口の減らねえ野郎だ!オイ、テメェら殺すんじゃねぇぞ!このクソ野郎は俺が血祭りにして直々に殺す…」


俺を親の仇みたいに見るオッズ


そして


「やれっ!」


と、言った直後に俺はポケットに忍ばせていた石ころを目の前の盗賊に投げつけた


バゴンッ!と凄まじい音を立て腹にクリーンヒット


倒れてピクリとも動かなくなる盗賊


「テメェ!」

「汚ねぇぞ!」


などなど囲んでいた汚ねぇ奴らが汚ねぇとベラベラ仰る


俺は無視して近くの盗賊にかける


全く反応出来ないそいつは、目を点にしているだけだ


「じゃあな」

俺はがら空きの腹に掌底を決める


そのまま倒れ泡をふく盗賊


俺はなるべく殺さないように撫でる位の気持ちでやったんだけどな…


「オラァッ!」

後ろから銅を凪ぐように横に振るわれた剣を


「よっとな」


と、俺は剣を振った盗賊の方へ振り返るように真上に軽く飛んで避ける


当てるつもりだったのだろう


力み過ぎて大きくよろめく盗賊と目が合う


驚愕して俺を見つめるそいつの首に俺は空中に居るまま足刀を決めてやる


悲鳴を上げ飛んでいく盗賊


そこへ今度は二人掛かりで剣と斧をそれぞれ頭と足を狙い振りかぶってくる



なかなか良い連携だな…


やはりこの世界の連中は少なからず戦闘に慣れているようだ


剣速も悪くはなく見切るのは難しそうだな

まして回避するなんて出来ないだろう



「と!思わせて!」


俺は足に放たれた斧を足で踏んずけて止める


ドゴンッ!と豪快な音を立て砕ける斧



同時に頭を狙って振るわれた剣をリンボーダンスのように背を反らしてかわす




背を反らしているため逆さまに映る剣を振るった盗賊を見ながら斧盗賊の顎に反った勢いを利用してサマーソルトを当てる


クルッと一回転して気絶する斧盗賊


それを眺める暇も無く


頭に一撃を放ってきた剣盗賊が二撃目に俺の腹目掛けて突きを放ってきた


これもなかなか洗練されている


俺はサマーソルトをして着地したばかりなので、体勢が悪い


そこを狙った判断力もなかなか良い



「だけど、まだまだ当てるには修行が必要でござる!」


俺は腹目掛けて放たれた剣を半身をずらして避ける


そして入れ替わるように勢い余って俺の方に近づいてくる盗賊の顔面に頭突きを決める


白目を剥いて気絶する盗賊


「うわっ!コイツかなり脂性だな!テカテカしてるぞ!」


俺は頭突きをして額に付いた脂を手で必死にこする



「な、何なんだよテメェは!」


短剣を持った盗賊が聞いてくる


手に持った短剣はガタガタ震えている


「俺か?俺は猫耳を守る為にこの異界にやってき、」


「うわぁ~!」


「聞いたんだから全部言わせろよ!」

短剣を滅茶苦茶に振るって走ってくる盗賊



こんな滅茶苦茶な振り方で当たるわけが無いだろ


「はいよっと」


後ろに回り込み首筋に手刀を打ち込む


糸を切ったようにドサリと倒れ込む盗賊



「今だ!やれ!!」


声を張り上げ叫ぶオッズ


ヒュン!


と森の木にでも隠れていたのだろう盗賊数名が弓を引き絞り矢を放ってきた


放たれた矢は三本


俺は正に矢継ぎ早に迫る矢を順番に掴んだ


「こんな物じゃ俺には当てられ無ぇよ、当てたかったらライフルでも持って来い」


俺は手に持っている矢を順番に矢を放ってきた奴らに投げ返す


ドスッドスッドスッ!


と小気味良い音と共に矢は服を木に縫い止める


恐怖で気絶する弓盗賊


「こんな物俺には無意味だぞ~」


俺は手をヒラヒラして答える


「そうみたいやんすね、だから次っす!」


馬車で運転手をしていたヤンス君(仮)が叫ぶ


「次って、何だよ」


といつの間にか後ろにいたヤンス君に俺が振り向くと


「な、何じゃありゃ!」


俺は驚愕する


そこには最初に離れた所でブツブツと呟いていたローブを纏った奴らが


そして、空中に浮かぶ巨大な炎の槍みたいな物を掲げていた


その槍は轟々と音を立て、まるで生きているかのように燃焼

している


「どうだクソ野郎!第三段位のファイヤ・イーターだ!時間が掛かっちまったが確実に殺れるぜ!」


と声を張り上げるオッズ


俺は冷や汗が流れる


どうなんだろうか?


あれを喰らったらダメージを受けるのだろうか?


初めての魔法を見た俺は感動半分不安が半分だ


取り敢えず避けるか?


「奴を喰らい尽くせ!ファイヤ・イーター!」


ローブを纏った盗賊達が仲良く一緒に掲げていた炎の槍を打ってきた


うねる様に酸素を喰らい轟々音を立てながら迫る炎の槍


「おわっとと!」


俺は余裕を持ちその場から十メートル程横へ飛ぶ


因みにその辺にいた盗賊達は手足を掴み炎の当たらないだろう場所に放っておいた


そして着地点に落ちて爆発するだろうと思っていた炎の槍は、まるで弾かれた様に俺にすごい速さで向かってきた



「ウソだろっ!」


俺は爆発するのだと思い地に伏せていたため突然の炎に反応できなかった


「クソッ」



そして俺は爆炎に包まれた








~盗賊団サイド~


「ハハッバカがっ!相手を喰らうまで追い続けるファイヤ・イーター(喰らい尽くす炎)に対して伏せやがった!」


ガハハッと下品な笑い声を上げ言うオッズ



そう第三段位であるファイヤ・イーターは相手に当たるまで追いかける強力な魔法なのだ


強力な為、人族が使用するには数人の詠唱と魔力が必要になる


更に詠唱には少なくない時間が必要である


だから、オッズ盗賊団は団員を順番に闘わせ時間を稼いでいたのだ


詠唱が長いがその威力は折り紙付きで直径八メートルに穴が開く程だ


その威力と敵を追いかける便利性から第三段位(殲滅級)として恐れられている



その威力を物語るようにシュウがいた場所は未だに煙が上がり何も見えない



「さ、流石にやったっすよね?」


不安そうに爆発した場所を見つめるシャン


「あぁ、この手で殺れなかったのは心残りだが、あの野郎もこれで丸焦げだ」


「そうっすよね?じゃあ、さっさと仲間を起こして先にミルランの娘達に向かった奴らと合流いたしやしょう!」


「そうするか」


と会話する二人



「う、嘘だ…有り得ない!確かに当たったんだぞ!」


最初に叫んだのはローブを纏い魔法を放った盗賊達だ


無理も無いだろう


一般的に殲滅級と言われ恐れられるファイヤ・イーター(喰らい尽くす炎)を使用する場合は巨大な魔物を燃やし尽くすためなのだ


それを個人に放ったのである


威力は唱えた本人が一番良く知っている


だから怯えるのも無理は無いのだ


爆炎に包まれながらもその中心にしっかりと二本の足で佇むシュウを見ても…


怯えて無理は無いのだ…






魔法の事は後程詳しく説明しますが


人類が使える魔法は第五段位(災害級)までです

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