プロローグ
初めてです!
お願いいたします
体が熱い…
別に体が火照っている訳じゃないし風邪でもない
何なんだこの感覚は?
あ・っ・ちにいた頃は常に冷静であることを強要されたため本当に珍しい事だ
それに俺は自分の感情に対して非常に疎いのが分からないことに拍車をかけている
とにかく、まずは俺が何故こんな事になったかと言う経緯を話そう
俺はコンビニの帰りに出会ったノラ猫ちゃんにソーセージをあげた帰りだった
あのノラちゃん最近この辺に来たと思うのだけれど妙に俺に懐いているので今度俺の家で飼おうか悩んでいる。
俺は小動物が好きだ
小さいものは守る義務があると俺は思っている!
可愛いくて守ってあげたくなってしまうのだ
この話がわかる紳士が必ずいるはずだ!
だって、あの猫ちゃんつぶらな瞳で俺を見上げてミャーなんてなくんだぜ?これは即刻保護して連れ帰って風呂に一緒に入って……!(中略)
…話をもどす
つい好きな話で盛り上がってしまった……好き過ぎて暴走する事ってあるよね?
など考えていると、気付けば俺は鬱蒼と茂る夜の森の中にいた
そう森なのだ周りには草と木しかない
あれ?俺は街中にいたはずでは?
可愛かった猫ちゃんもいつの間にか居なくなってしまっていた……ちくせう
そして夕暮れ時で綺麗な夕焼けが差していたはずが夜になっていた。
周りには明かりも無いため正真正銘真っ暗だ
まあ、俺は夜目が利く様に訓練したので全く問題ない
あ・っ・ちでは暗い中での仕事などざらにあった
辛い訓練の日々を思い出し俺は深いため息を吐く
そんな事よりここはどこだ?何故俺はこんなに暗くなるまで歩いていたんだ?
俺は顎に手を当て更に深い思考に入ろうとする……
「イヤッ!行きたくないです!連れてかないで下さいっ!」
俺は思考を中断し声のした方へ振り向く
そこで、俺は見た……見てしまったのだ……
縄で縛られて馬車に乗せられそうになっている
涙を流す猫耳の女の子の姿を
そこで冒頭に戻る
何なのだこの体の熱さは?
体内の血に熱湯を流したかのようだ。
熱いあついアツイ!!
自然に息が荒くなり手を血が滲みそうに成る程握りしめる
そうかこの感覚は……!
「クソッ!」
俺は女の子の声のした方へ飛び出した
敵の数は三人と馬車に一人で合計男四人か
目測で奴らとの距離は150メートル程だ
大きな岩や木がいく手を阻むが俺は難なく乗り越え時には木を飛びうつりながら高速で近づいて行く
それにしてもあれは何だ?
皮の鎧に身を包んだ男達は世紀末を俺に連想させた。
あんな物を着て恥ずかしいく無いのか?
あれを街中で見たら引くぞ…
まだこっちには気付いてない様なので
俺は手頃な石を男達のひとり男Aに向かって投げつけた
石はレーザービームみたいに見事飛んで行きヒット
ゴドンッ!ととても石とは思えない音がした
「まず、一人だな残り三人か…」
男達の内男Bがこちらに走って来る
もう一人は猫耳少女を馬車に連れ込もうとする
「今の俺の長距離砲みたいな石を見ても隠れずに向かって来るとは…」
俺は男Bがこちらに来る前に手に持っていた石で男Bの頭に投球した。
バゴンッ!とまたも凄まじい音がする
男Bが倒れる前に俺は駆け出した
馬車までの約五十メートルを俺は一瞬で駆けた
猫耳少女を詰め込んだらしい男Cが俺の前に剣を抜きながらノシノシ歩いて来た
身長は二メートル程もある
手にはその男Cの背丈程もある片刃の大剣
いよいよ世紀末だな…
大剣とか、警察職務怠慢すぎだろ…
そして男Cが言った
「おい、何なんだよテメェはこの女が目当てか?」
「わからん」
俺は今の気持ちを率直に言った
実際この体の熱さは説明出来ない
「ハッ!分からないで俺に刃向かうってのか?バカが!おれは魔剣使いのオッズ様だぶへぇっ!」
全部言い切る前にぶん殴った
コイツは猫耳少女を泣かせていた
だから、殴るのに抵抗は無い
悲鳴をあげながら数メートル吹っ飛んで気絶して動かなくなる魔剣使いw
そして俺は馬車に目をやる
何とか耐えていたがそろそろヤバい
もう熱さで身が焼けそうだ早く何とかしないと
馬車にいた男Dはいつの間にか居なかったが今はそんな事はどうでもいい
俺は急いで馬車の扉を開けた
そこには驚いた目で俺を見ている猫耳少女
「大丈夫だ、今縄をほどく」
猫耳少女はほっとしながら言ってきた
「助けていただいてありがとうございます。何とお礼を言ったらいいか」
彼女は自分の村の近くに薬草を採りにきていたらしい
そこでさっきの男達(このあたりで名のある盗賊らしい)に捕まりそうになった所を俺が助けたらしい
一通り説明を終えた彼女が改めてお礼を言ってきた
「本当にありがとうございます。オッズ盗賊団を倒すなんて強いんですね!」
「まあな」
本当に大した事無かったけどな
それに彼女のある部位に気を取られすぎてまともな思考が出来ない
そう言っている間に縄も解き終わった
「あなたを私たちの村に招待したいんですけど、どうですか?」
そこまで聞いて俺はついに我慢出来なくなった
ガバッと一瞬で土下座した俺は叫んだ
人生初の土下座だがこれはなかなか…
「お願いします!その神聖なる猫耳を触らせていただけないでしょうか!」
ポカーンと何を言っているか分からないという顔で俺を見る猫耳少女
だが構わずに俺は続ける
「そうだったんだ!この体の芯から熱くなる感覚は君のその神聖なお耳を見たからだ!いや~いいねそれ!かわいいよ!」
俺は抑えが利かなくなって感情を爆発させてしまった。
こんな事滅多にない
「そ、そうですか?」
と頬を彼女は赤らめる猫耳もピョコピョコ忙しない
「ああ、素晴らしいと思います!俺は今まで日本で生きてきてこんなにも美しいお耳を見た事ありませんぞよ!」
俺が言うと彼女は頭の上に?マークを乗せ小首を傾げながら言ってきた
「日本?何ですそれ?」
?今度は俺が?マークを頭に乗せる番だ
「君は日本を知らないの?確かに君のお耳は今まで見たことないし目も日本人にはいない金色だ」
もしかして密入国者?
一瞬疑ったが直ぐに考えを取り払う猫耳を持つ彼女が悪人な訳ない
だってそうだろう?
猫についていたピョコピョコした耳をあろうことか美少女にドッキングしたのだ
これをみて悪人と言い張る奴はでてこい!張っ倒してやる!
だから俺は彼女を悪人ではないと判断した(ドヤ顔)
俺が?やドヤ顔を浮かべてる内に彼女は俺が怒ってると判断したのかすぐに
「ごめんなさい!物知らずで!」
と謝ってきた
そこで俺も考え込んでいたと気付いて急いで返答した
「大丈夫だ怒ってないよ」と言う
「良かった~」と肩をなでおろし猫耳をへなっとさせる彼女を見て本当に悪人じゃないと確信した
疑っていたわけではないが、やはり俺が生きてきた環境が環境なので相手に悪意があるのか気になるのは性分である。
俺は話を続ける
「じゃあ君は何人だい?どこの生まれ?」
彼女はうーんと悩んだあと
「わたしはマリア大陸生まれでミルラン族のニーナです!」
彼女は猫耳をピーンと立たせ元気よく答えた
「なるほど、わからん」
俺は馬車の床にうなだれながら呟いた