入城 (2)
どうやら自分はあまり歓迎されてないらしいと気が付いたのはココへ来てすぐだった。
煌びやかな中央の宮殿を中心にして、いくつもの離宮が立ち並ぶこの城内は相当の広さである。
クラウドもその一つの離宮を与えられており、梨花もその離宮へ案内された。
やはりここでも梨花に与えられた部屋は、ベットルームが独立したスイートルームような部屋である。
もちろん、部屋付きの侍女を紹介されたのだが、彼女たちの態度は好意的ではない。
一応、世話をしますといった感じで、淡々と仕事をこなすだけだ。
そして、梨花の行動範囲もこのクラウドの離宮のなかの与えられた部屋のみに限られる。
いくら、至れりつくせりのスイートルームとはいえ、もう1週間以上も缶詰状態ではいい加減飽きてくる。
一日の大半は、クラウドかローレンに、王の前に出るときの作法や、話す内容についての確認
そして、質疑応答の練習に明け暮れている。
それも後一日。待ちに待った王への謁見は、明日だ。
どのような扱いになるかは別として、他の場所にいけると言うのは正直嬉しい。
クラウドの話では、牢に入ったり、一生軟禁生活になることはなく、
仮に、万が一、そのような決定が下されたとしても、クラウドがこの国から連れ出し、日本に帰れるまで一生面倒を見てくれるというのだ。
何人もいるとはいえ一国の王子が、そんなことを約束していいのかと思うが、彼は非常にまじめな赴きであるのであるから、信じたいと思う。