第4話 完璧な紅茶と、ほのかな敵意
お茶会回です。
優雅なはずの時間が、一番怖い──。
「3人でお茶会なんて、初めてですわね」
私の声に、アレクが小さく頷く。
リリアは隣の席で、にこにこと紅茶を注いでいた。
太陽の日差し。甘いお菓子。鳥のさえずり。
完璧に整った庭のテーブル。
──それなのに、空気がひどく冷たい。
「アレク様、お砂糖は何杯でしたっけ?」
「ああ、一杯でいい」
「まあ。最近は二杯お入れになっていたはずでは?」
「……そうだったか?」
ほんの些細な会話なのに、
心臓がずきりと痛む。
その横でリリアは首を傾げて、天使みたいに笑った。
「アレク様のすべてを
知っているつもりだったんですか?お姉様」
「……どういう意味?」
「意味なんて、ありませんわ。ふふっ」
アレクは困ったように、視線を逸らす。
その仕草が、妙に遠く感じた。
(私の方を見て。私を選んだのでしょう?)
喉の奥まで込み上げた言葉を、
紅茶と一緒に飲み込む。
「セリーヌ。具合でも悪いのか?」
「いいえ。ただ……」
目を細めて、二人を見つめる。
このまま奪われてたまるものか。
私はアレクの婚約者よ。
守るために、汚れることを躊躇わない。
「アレク。あなたに相談したいことがございますの。
あとで、二人きりで」
「あ、ああ……わかった」
リリアの指先がピクッと動いた。
その目が、私を刺すように細められる。
そして──
彼女は紅茶のカップを口元に運びながら、
小さく、誰にも気づかれない声で呟いた。
「邪魔、しないでよ」
その瞬間、紅茶の味がしなくなった。
私の唇には、強がりともいえる
静かな笑みが張り付いている。
(可愛い妹?
いいえ──敵よ)
この闘い、絶対に負けない。
読んでくださりありがとうございます!
優雅なお茶会の裏側で、火花が見え始めました……
次回は、アレクとの“二人きりの会話”へ。
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