表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

第九話 「セリーネの初めての魔法」

妹が生まれてから、家の中はさらに明るくなった。

彼女はよく泣くけれど、とても可愛い。

お母さんさんは台所でミラを手伝いながら、同時にエリスの世話もしている。

お母さんさんは泣きそうなエリスをあやしながら、僕の方を見た。


「アード……いつも私たちのそばにいなくてもいいのよ。セリーネのところへ行っておいで」

「……本当にいいの?」


お母さんさんは静かにうなずいた。

僕は部屋で身支度をして、いつもの場所へ向かおうとした——

……が、その必要はなかった。


セルが、もう家の外で僕を待っていたからだ。

挨拶を交わし、二人で練習場所へ向かった。

途中、村人に会うたびに声をかけられる。


「いやぁ、お似合いの二人だねぇ!」


そのたびに、

セルの顔と耳は、一瞬で真っ赤になる。

確かに彼女は誰が見ても美しい。

……だけど、胸の奥がざわつく。


他の人に見られるのが嫌だった。

もちろん、村人たちが変な気を起こすとは思わない。

僕が困っているときに支えてくれた人たちだから。

僕は小さく微笑んだ。


するとセルは、まだトマトのように真っ赤になったまま、僕を横目で見てきた。


「……や、やめてよ……」


可愛い。

そう思った瞬間、セルが僕の腕を軽く叩いたので、僕はわざと痛がってみせた。


「いった!」


セルは一瞬で顔を青ざめさせた。


「ア、アード!? だ、大丈夫なの!?」

そこで僕は、さらに芝居を続けた。


「たぶん……腕、折れたかも……」


その瞬間、セルは完全にパニックになり、周囲を見回して助けを求めようとした。

——やりすぎた。

彼女の目に涙が浮かび、焦りの汗が滲んでいた。

こんな姿、もう見ていられない。


「セリーネ……」


僕の声に、彼女は駆け寄ってきた。


「アード……どこが痛いの? 家に戻る……? どうすれば……」


もう絶対に彼女をこんなふうに不安にさせない。


「セル……大丈夫だよ……ただの冗談だったんだ……」


その瞬間。

僕は腹を殴られ、横の木に吹っ飛んだ。


「そ、そんなことしていいと思ってるの……⁉

わたし、ほんとうに心配したのに……!」

完全に怒っていた。

……いや、本当に痛い。


「ご、ごめん……セリーネ……二度としない。

君の綺麗な顔が涙でぐしゃぐしゃなのを見るなんて……胸が張り裂けそうだった……」

「……っ、恥ずかしい……」


顔を真っ赤にして視線を逸らす彼女は、本当に可愛い。

そして思った。

セルは……僕のことが好きなのだろうか?

強くなって、ちゃんと彼女を守れるようになったら——

そのとき、僕を受け入れてくれるのだろうか?


その場所に到着し、僕たちは少し座って、魔法の理論について話し始めた。

もちろん、魔法にはどんな種類があり、それぞれにどんなレベルがあって、どう扱うのか——

全部、丁寧に説明した。


でも、魔法は理屈だけじゃ意味がない。

練習してこそ身につくものだ。

だから僕は立ち上がり、セルに向き直った。


「じゃあ……最初は『ウオータ・ボール』からやってみようか」


僕は無詠唱を使わず、ただイメージするだけでウオータ・ボールを作った。

手のひらの上に、ウオータ・ボールがふわりと浮かび上がる。

セルは緊張した様子で僕を見つめていた。


「そんなに体を固くしなくていいよ。リラックスしないと、魔法が安定しないんだ」


彼女は深呼吸して肩の力を抜いた。


「じゃあ、詠唱してみて」

「静寂が支配するところには、流れが応える。

 清らかな水が野を洗い、混沌を押し流しますように——

 『ウォーター・ボール』!」


——しかし、何も起こらない。

お母さんさんの言葉が頭をよぎった。


「もしかして……セル、水の魔法は向いてないのかも」


そう言ったときのセルの表情は、胸が締めつけられるほど哀しそうだった。


「……でも大丈夫。ほかの魔法も試してみよう」

「ほ、本当に……? アード……どんな魔法……?」


僕は答えず、次の魔法を見せた。

僕の周りに、水晶のような氷の槍が現れる。

セルは息を呑み、瞳を輝かせた。

その目は、見ているだけで胸が熱くなるほど綺麗だった。


「じゃあ、次は氷の魔法をやってみよう。さっきより集中してね」

「み、水の冷たい精霊よ、汝の息吹を刃に変えよ。

大地を貫く槍のように刺し貫け——『アイス・ランス』!」


槍は現れなかったが——

彼女の内なるの静脈(インナー・ヴェイン)が、体の奥で光を帯びて動き出すのを感じた。

これは……才能がある証拠だ。

でも、セルは急にふらりと倒れてしまった。


「セル!」


僕は急いで抱きとめ、芝生に倒れないよう支えた。

彼女は眠っているというより、疲労で気絶しているようだった。

寝顔はとても可愛く、尖った耳に触りたい衝動が生まれた。

……が、やめた。


いや、本当に触ってもいいんじゃないか?

今ならバレないし——

心臓がバクバクして手が震える。


(い、いや……やっぱり無理だ……!)


僕が手を引こうとした瞬間——

セルが目を覚ました。

僕は慌てて手を戻し、何もしていないふりをした。


「お、おはよう……よく眠れた……?」


セルはきょろきょろと周囲を見回し、ぱっと立ち上がった。

ちょっと残念だ。もう少し膝の上に寝かせていたかったのに。


「わ、わたし……何をしたの……アード……?」

「セル、君は練習中に気絶したんだよ。僕はただ休ませてあげただけ」

「……ほ、本当に……?」

「ほんとだよ。お母さんさんに誓う」


セルは僕が変なことをしてないか疑ってる……?

まぁ実際、耳を触りたいとは思ったけど……やらなくてよかった。

そんなことしたら、お母さんさんに家から放り出される。

セルは胸の前で手を組み、俯きながら小さく言った。


「ア、アード……練習……続けよ? やるって……約束、したでしょ……?」


その姿があまりにも可愛くて、心臓がまた跳ねた。


「うん、やろう!」


そこから僕たちは、限界まで練習した。

セルは何度も気絶して、そのたび僕は抱きとめて休ませた。

その度に、彼女は必ず「な、何をしたの……?」と聞いてきた。

だが、成長は確かにあった。


セルのインナー・ヴェインは、腕の付け根近くまで上がるようになった。

魔法の才能は確かだ。

僕より強くなるかもしれない。

食事休憩をしているとき、僕たちは両親の昔話や、セルのお母さん親の恋愛話で大笑いした。

その時間は……とても温かく心地よかった。

食後、セルは再び意欲的に練習を始めた——が、すぐに疲れてしまい、何度も吐いた。


それでも、彼女の努力は眩しいほどだった。

しばらくして、僕は木陰で横になって眠ってしまった。


「できた! アード、できたよ!」


その声に跳ね起きると、セルの周りには5本ほどの氷の槍が転がっていた。


「すごい……!」


僕が言う間もなく、セルは喜びで飛びついてきた。


「アード! ありがとう! 本当にありがとう! あなたがいなかったら、こんな魔法、絶対できなかった!」

「せ、セル……ちょっと……強く抱きすぎ……」

「うん……」


いや、わかってない。

肋骨が悲鳴を上げていた。


「せ、セル……ほんとにやばい……折れそう……」

「や……もう少しだけ……」

「セル……!」

「だ、だめっ!」


その瞬間——

本当に折れた。


「ぎゃああああああ!!」


セルは泣きそうな顔で僕を見つめ、完全に混乱していた。


「ア、アード!? どうしよう……どうすれば……!?」


僕は痛みをこらえながら、水晶の槍で地面に文字を書いた。

『お母さんさんを呼んで』

それを読んだセルは、涙をぽろぽろ流しながら走っていった。

……ほんと、可愛いけど……抱きしめる力は強すぎる。

しばらくして、お母さんさんとセルが駆けつけた。

お母さんさんはすぐに『ヒーリング』をかけてくれた。

痛みがすっと消えて、呼吸が楽になった。

お母さんさんは僕を抱きしめ、額にキスをした。


「アード……もうこんなこと、しないでね。これ以上、大切な人を失いたくないから……」

「……うん……気をつけるよ……」


セルを見ると、彼女は不安そうに胸の前で手を組んでいた。


「セル……大丈夫だよ。君のせいじゃない」

お母さんさんがセルのところへ行き、彼女の額にそっとキスをし、小声で何か囁いた。

セルはトマトのように赤くなって、僕のもとへ戻ってきた。


「ア、ア、アード……ごめん……」

「謝らなくていいよ——」


言い終える前に。

彼女は僕の頬にそっとキスした。

僕もセルも同時に真っ赤になった。

お母さんさんは、口元を手で隠しながら微笑んでいた。

……お母さんさん、からかうのはやめて。

だけど——

僕が命をかけて守ると決めたのは、この二人だ。

こうして、僕たち三人は、ゆっくりと家へ帰った。

日本語は完璧ではありませんが、一生懸命書いています。

間違いを見つけたら、コメントで教えてください。

応援してくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ