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異世界配信惑星ファンタジーライブマスター衆神環視惑星  作者: 中級中破微小提督
囚神監視惑星 過去編 ライドライダー
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第七ステージ ライドライダーシコル・ギウス

 俺はあてどもなく彷徨っていた。


 あの後、俺は罪に問われた。

 軍事法廷で裁かれた俺は拘留された。

 内容は憶えていない。

 俺の発言は全てが子供の戯言のように扱われた。

 そして憎しみの視線。

 これが俺のしてきた事か。


 彼女を見捨てて食う飯が上手いか?


 俺はそういってやりたかったが、その言葉は届きそうにない。

 俺の居た場所に人間なんて一人もいなかった。

 こんな国、滅びてしまえばいい。


ーーー


 それはただの偶然だった。

 たまたま近くに止められた無人のライドラ。

 たまたま起動状態で放置された無人のライドラ。

 俺にはアバターの素質もあったらしい。

 永久機関に干渉して俺はライドラの操作権を得る。

 

 そしてたまたま基地が襲撃された。

 その流れ弾がたまたま俺の拘置所を破壊する。

 その合間を縫てたまたま運が良かった俺は基地から逃げおおせた。

 

ーーー


 VRではない初めて駆る現実の軍用ライドラ。

 本当なら免許がいるんだろうけど、そんなもの俺は持っていない。

 盗んだライドラで無免許運転。

 ヘルメットはしている。酸素マスクはしてないが。

 

 脱獄、窃盗、無免許運転。

 俺は真面目に生きて来たのにな。

 たった一人の人間を守った結末がこれか。


 こんな国滅びてしまえばいいのに。


ーーー


 俺は途中で立ち寄った道の駅でカードを自販機にかざす。

 まだ使える様だ。

 それにしても人が居ない。

 田舎に人は居ないと聞いていたが、ここまで人が居ない物だろうか。

 俺は糖分を補給する。

 今は何も食べたくない。

 

 ・・・もしかしてこの国はもう滅びているのか?


ーーー


 黒煙が見える。

 俺は酸素マスクをつけると。永久機関の遮断を起動。上半身を起動させて道から外れる。

 どうやら墜落した軍の輸送機だ。

 そこでは銃撃戦が始まっていた。

 そしてそのコンテナから覗くのは、シコル・ギウスの文字。

 英語表記で書かれたソレが俺の怒りに火をつける。


 その名は俺のモノだ。それまで奪わせるか。


 俺は乗っていた軍用ライドラを待機させるとその文字の所に向かう。

 シコル・ギウスの文字の入った白いライドライダー。

 タイヤの横に、左右にバーニアがついている。どうやらこれが足にもなる様だ。

 

「まて! 君! それはオモチャじゃないぞ!」


 この声は聞き覚えがある。

 俺は機体に乗り込む手を止めて彼女を見る。

 ポニーテールの、俺を陥れた女だ。


「動かせないんだ! すぐに逃げるんだぞ! 奴らの狙いはその機体だ!」


ーーー


 俺が女を無視してタイヤに乗り込むと既にゼンマイが巻かれて起動状態。

 誰にも動かせないというのは本当らしい。

 俺はこの前の無人機の様にライドラ本体を動かそうとする。


 -シコル・ギウス オンライン-


 ヘルメットに文字の表示だ。

 ・・・何かが繋がってくる。

 俺をアバターにする気か?

 だが違う。アバターが向こうにいる。何故だか俺にはそれが分かった。

 俺はこの場に居ないアバターに接続する。

 この機体自体がVRの筐体と同じ性能を持っているのか?

 俺はライドラに乗りながらアバターに接続できる。

 俺の乗った白いライドラの腕が動く。足もだ。


 そして外に待機させていたライドラを無人機化。そいつのダブルクラブで外のハッチを吹き飛ばすと俺の白いライドラで無人機の腕をつかむ。

 バーニア点火。

 その衝撃で跳ねがる機体を無人機の重さで相殺し、手を繋いで踊るように俺と無人機は戦場に飛び出す。


ーーー


 敵は赤い星マークの軍用ライドラ。

 俺は転がっている未起動状態のライドラを強制的に起動すると戦列に加える。

 使えたのは3機。合わせて5機か。


 チラッとあの女が見える。

 俺を陥れたあの女。

 今なら潰せる。

 偶然を装ってもいい。着地タイミングを失敗するだけでもいい。

 今なら出来る。


「俺はザマァ展開が大嫌いなんだよ!!!」


 俺は俺の思いを口にする。

 あの女は後だ。先に敵ライドラの始末だ。


ーーー


 敵の総数は不明。5機までは確認できたがまだ居そうだ。

 何よりの問題は弾薬がない。マガジンが積み込まれていない。あるのは背中のワンマガだけだ。

 味方無人機4機はダブルクラブを装備。

 俺の機体にはバスタードソード。

 と言ってもライドラ仕様のバスタードソードだ。片手持ちの肉厚で刃は付いているが短い。突きもできるが実質長い手斧だ。

 従来の操作方法では使えないが、ライドラ本体を動かせる俺になら使える。無人機でも使えるだろう。


 フィールドは山林。山の中だ。開けている場所はこの墜落地点のみ。

 ここでは敵のライドラも前進できない。トリックで何とか進んできた感じか。


 俺は無人機と手を繋ぐとブーストジャンプで飛び上がり、敵の居る方向へ無人機を投げ飛ばす。俺の機体は足でバーニアを制御し、着地はタイヤ。

 これは使い勝手がいいな。


 そろそろ日が沈んできた。これは射撃の出来ないこちらには有利だな。

 俺は無人機を投げ終わるとダブルバスタードソードで敵ライドラに躍りかかる。

 木を腕で打ち付け挙動を読ませないように敵の真上から強襲する。

 機体重量をかけなくても腕の力だけで敵ライドラの腕を切り裂く。

 しっかりと刃が通れば金属腕でさえ両断できるな。


 残った敵のライドラ達が固まって陣形を取る。カバーで近接してきた機体を狙うつもりだろうが・・・、

 こっちにはとっておきの武器があるんだぜ?

 俺は無人機に撃破したライドラを持ち上げさせると、敵ライドラの群れに投げ付けさせる。その影に隠れて俺は接近する。

 これなら銃撃されても安心だろ?

 俺は敵ライドラの腕に食い込み、刃の潰れたバスタードソードを背に収めると敵ライドラの腕を引きちぎる。

 これなら武器も無限だな。

 敵ライドラの腕を棍棒がわりにして更に敵を打ち付ける。

 襲撃時間ライドタイムの始まりだぜ!


 奪え(ライド)! 壊せ(ライド)! 略奪しろ(ライド)! 強奪しろ(ライド)! 蹂躙しろ(ライド)! 全て奪い取れ(オールライド)!

 お前ら敵だろ? 敵なら命を置いて行けよ。


 逃げ出す敵の背中に奪い取った(ライド)敵アームアタックを食らわせる。

 アバターの背中に直撃。その動きを止める。

 永久機関によるバリアーはあった筈だが。流石にこの質量は防げないか。


 アバターの潰れた敵機体から武器を取り上げるとその機体が動き出す。

 アバターがいなければ奪える(ライド)出来るのか。

 俺はそいつに武器を返す。射撃武器はロックがかかるが鈍器には使えるだろう。


 さあ、楽しい略奪タイムの続きだ! 


 俺は略奪ライドした敵機体を空中で敵の方に投げつける。

 明後日の方向に投げつけた略奪ライド機体が奴らに襲い掛かる。


 そいつらも俺が略奪ライドだ!!!


ーーー


 赤い星が20は沈むころ俺達のゼンマイの切れる音がする。

 永久機関の強化状態は終わってクールダウンの時間だ。

 まだ敵は残っている。

 血に飢えた無人機体(シコル・ギウスの模倣体)は止まらない。

 俺達の築き上げた血と鉄の山が崩れ落ちるほどの数が溜まると、俺達は元の場所に戻ることにした。

 俺に繋がったアバターがここに向かえと指示したからだ。

 そしてアバターの連結が途切れ、無人機が停止する。

 

「シコル・ギウス、なのか?」


 あの女だ。俺を陥れたあの女。


「そうすよ。なんか用すか?」

「いや、イメージと違い過ぎて、驚いた」

「何の用すか?」

「・・・あの男は黒だった。私達を襲ったあの機体の搭乗者だ。彼は私を殺すつもりだったようだ」

「・・・」

「私にアバターとしての適正を見たんだろう。あの無人機の動きは通常ではありえなかった。ここを去るときについでに私を始末しようとしたらしい。・・・彼は誰からも好かれていた。信用もされていた。私・・・達の憧れの存在だった。誰しも彼を疑わなかった。それがこの顛末だ」

「・・・」

「すまない。許してくれ、と謝りたかった。シコル・ギウスは私を助けてくれたんだろう?」

「・・・ヘルメットを」

 俺は言葉を返さずにヘルメットの装着を身振りで示す。それに従う女。

『シコル・ギウスだ。ようやくわかったかよ裏切り女。お前に陥れられて俺はこのザマだぜ。嬉しいか?』

「・・・すまない」

『御免で済んだら警察も軍警察もいらねぇんだよ! 俺の人生滅茶苦茶にして気分がいいかクソ女!』

「・・・いや、その、お前、真顔でこれを打っているのか?」

『見えてることが真実だ。お前の前に居る俺は凶悪犯か?』

 それを聞いて、いや見て女はヘルメットを外す。

「タイガ・・・だったか。お前は私を助けてくれたのか?」

「俺は・・・、アバターになった人間を死なせなくなかったす。それだけす。アイツらは間違いなくアンタを狙っていた。そして逃げても逃げ切れなかったすよ。だから死なせないためには殺すしかなかったす」

「そうか・・。ありがとうタイガ。あの人は私の初恋の人だったんだ」

 え・・・。

「信じたかった。現実を信じたくなかった。それがあれさ。私はあの時誰であっても糾弾していたよ。それがこんな青年だったなんて。私の情けなさで涙が出てくる。シコル・ギウスの言う通りだ。お前に、タイガに八つ当たりして悦に至っていたよ私は」

 その顔は涙で濡れていた。

「その、・・・すみません」

「良いんだ。叔父がなんでここまでお前を庇うのか。正直私は叔父さえも疑っていたよ」

「叔父・・・?」

「ああ。私はミネギシ・トーコ。お前の言うミネギシサンの姪だ」

「え・・・」

「最初は叔父がシコル・ギウスの有用性に目が眩んで、罪人を庇い立てしてるのかと思ったよ。ただタイガを見てやっとわかった。叔父にも謝らないとな」

「そうだったんすか」

「ああ。タイガ。戻らないか? 私も口添えする。今度は裏切り女じゃないぞ。脱走に使ったライドラ含めて、懲罰は覚悟してくれ」

「・・・戻れるんすか?」

「この状況は丁度いい。叔父と相談して機密性の高い作戦に従事したと言えば通るだろう」

「そんなにうまくいくんすか?」

「タイガは叔父の事を知らないんだったな。叔父からも話すなと言われているが、タイガが思うよりも偉い人だぞ」

「ミネギシサンが・・・」

「この機体だってタイガ専用機だろ。私には動かせなかった。タイガのバックアップ要員も揃えているぞ?」

 確かに。あの機体に繋いだ時のアバターがそうだろう。

「・・・俺はシコル・ギウスの名前が奪われたと思ったす」

「それであんな怖い顔をしていたのか。しかしたまたまシコル・ギウス専用機がシコル・ギウスのプレイヤーに渡るなんて、日ごろの行いは良さそうだなタイガ」

「そうすかね。よかったらここにはいないすよ」

「軍機違反の一つや二つ勲章だ。軍なんてのは理不尽の塊だ。これで不満を言っていたら叔父なんて今頃この世に居ないぞ」

「そっすね。一度だけ戻ります。それでトーコサン。どうします?」

「まずはケガ人だ。そいつらを起こしてくれ。ライドラが救助に使えるなら心強い」

 トーコサンのいう通り再度アバターを繋げようとするが上手くいかない。

「どうした?」

「アバターと繋がらないないすね」

「しょうがない。アバター適性のある私が一緒に乗る。二人乗りだ」

「いいんすか?」

「救助中だ。使えるか?」

 トーコサンの温もりを背に感じながら無人機を動かす。

「これ合わせて4機すね」

「上出来だ。では始めるぞ」

 トーコサンは俺よりも背が高い。俺が小さいってのもあるけどな。

 ただ、なんだかそれがくすぐったいな。


ーーー

Tips補足

日本以外の国名は出さない感じで行きます。

タイガの脱走はシコル・ギウスのパイロットを奪取する可能性を得るため、敵が用意した。

タイガの下にシコル・ギウス専用機が落ちてきたのは神の采配。

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