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異世界配信惑星ファンタジーライブマスター衆神環視惑星  作者: 中級中破微小提督
囚神監視惑星 過去編 ライドライダー
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第六ステージ ライドライダーヘカトンケイル

「ンッ。あなたは誰?」

 俺がログインするといつも儀式が始まる。

『俺の名はシコル・ギウス! 近頃流行りのライドラ乗りだ!』

 今日はポニテの女の子。らしい。彼女とのリンクで彼女の容姿が伝わってくる。

 彼女はヘルメット内の文字を目で追うとアバターコントロールをこちらに預ける。

 今回は静かだな。

 それというのも今回は軍用ライドラの新試験だ。いつもの訓練という名の実戦ではなく新仕様の実践訓練。

 ここは日本の訓練場。

 舗装されてない土の道が蛇行して草が生えている。

 そして彼女の乗る軍用ライドラの後ろに2機。無人仕様の軍用ライドラが鎮座している。

 俺が彼女とのリンクを終えるとその無人ライドラが起動する。

「ミネギシサン。こんどこそ本当にAIなんだろうな」

「そういう話にゃんね。まさかあの中に脳みそが浮かんでないといいニャンけど」

 無人ライドラは上半身で機体を操作するらしい。タイヤにアバターは乗っていないな。

「シャレにならないっしょ。それこそ俺が実は脳みそだったとかありそうすよ」

「そんな超技術があったら魔法なんて求めないニャン。そんにゃんあっても魔法の方がマシにゃんしね。それよりも上半身を起こすにゃんよ」

 ミネギシサンの言葉で無人ライドラが上半身を起こす。

 無人ライドラの仕様はこうだ。

 上半身を畳んだ状態はただの追従モード。

 上半身を起こす事で各種センサーが起動しAIが目を覚ます。

 その切り替えはオペレーターの仕事だ。

「全機これに出来れば安全なんすけどね」

「それは無理にゃ。これはアバター経由ニャン。アバターがいなければ後ろの奴らは動かんニャン。そのぶんジャミングとかは効かニャイけどニャン。プレイヤーのタイガとアバターが居てこそ動くにゃん。今はこれが精一杯ニャンね」

 ミネギシサンのいう通り、この無人ライドラは魔法的な奴らしい。この永久機関が魔方陣のようなもので繋がりが持てるらしい。

 つまりタイヤが魔方陣で魔法を発動していると思えば良いだろう。

 原理はトップシークレット。俺達には操作しか教えてもらえていない。

 本来なら知りたい所だが、こればかりは致し方ないか。


ーーー


 俺は訓練コースを3機で走っていく。

 丸太で組まれた障害物を超えて渡って潜っていく。

 彼女の体は強靭だな。軍人らしい体の鍛え方で動きに問題はない。俺が動きでカバーする必要はないな。

 無人ライドラもついてきている。思ったよりも危なげがない。

 その動きはトリックを使えないプレイヤーよりも上だな。

 なによりもプレイヤーとは操作が違いそうだ。俺がアバターを中心にしてトリックをするのに対して、無人ライドラは上半身を中心にトリックを極めている。根本的に動きが違うな。

 ・・・いや、これは人間の動きじゃない。

 トリックに関して両腕を大胆に使って動きを制御している。こんな動きは人間では出来ない。人間なら両腕の動きは最小限になる。操作は出来ないからな。

 仮にAIだとして何からこの動きを学んだ? 

 

 それは武器を手にしたことで豹変した。

 いつものダブルマシンガンを手にした無人ライドラがこちらに攻撃指示を求めてくる。

 なんだ? 攻撃指示はオペレーターと聞いていたんだが?

 攻撃目標は廃棄軽装甲車両。今回は近接の仕様を得るために実物標的が用意されている。棍棒二丁持ちのダブルクラブだ。穴だらけにした所で問題はないだろう。

 俺が攻撃指示を出すと肉薄しトリックでトップアタックを掛ける無人ライドラ。

 ワンマガを撃ち終えるとダブルマシンガンをしまいダブルクラブ持ち出す。

 無人ライドラの1機が正面真下から廃棄車両をクラブで打ち上げると、ウイリーをするかの様に車体が持ち上がる。

 そこにもう一撃。体を回転させて車体の底を打ちあげて車体が浮かび上がる。

 そこに三撃目。両手で揃えたダブルクラブで再度車体の底を打ち上げると2機目の無人ライドラが車両の横面から打ち上げをかます。

 横に回転しながら吹っ飛ぶ車両を2機目の無人ライドラがそのまま追撃し、両手で揃えたダブルクラブで車両を地面に叩きつける。

 そこからはもうタコ殴りだ。俺が射撃を入れる隙が無い。というか必要ないな。

 俺が攻撃指示を解除するとダブルクラブを納めてダブルマシンガンを手にする無人ライドラ。

 そして再度の攻撃指示を求めてくる。

 その攻撃先を見ていると、この訓練場に軍用ライドラが3機乱入してくる。

 味方の表示がない。

 だが明らかに戦闘機動だ。そして発砲。実弾だ。完全に敵だな。


 俺が攻撃指示を出すと俺達のダブルマシンガンの掃射で敵が1機落ちる。

「まて! なにをしている貴様!」

 マズイ。アバターコントロールを奪われた。

『あれは敵だ。コントロールを戻せ』

「まて! 一度退避するぞ!」

 逃げられるわけがないだろうに。それでデスを出すのは俺の本意じゃない。

 俺はライドラをダッシュさせると廃棄車両に突っ込む。その衝撃でアバターの彼女の意識を飛ばす。

 落下しようとする彼女の体をライドラの左手で押さえつけ、操縦席から落ちないようにする。

 これでは使えるのは右手だけだな。

 俺はアバターからライドラの上半身にコントロールを移した状態だ。

 無人ライドラに出来るなら俺にもできると思ったが正解だな。アバターが搭乗していれば問題ない。

 これは無人機ライドラに脳みそが乗ってる説が信憑性を増してきたな。それとも中継器であるアバターがいれば可能なのか?


 無人ライドラは戦闘継続中だ。

 ワンマガ残した無人ライドラを右ライドラ。

 一発も撃ってない無人ライドラを左ライドラとしよう。

 残った敵の内1機は既に上半身をなくしてタイヤ状態。

 もう1機は無傷。トリックが使えるライドラ乗りだ。


 無傷の敵ライドラは実弾を撃っている。武器はダブルマシンが4丁。射撃をしているが2機の無人ライドラの格闘を避けるので手一杯だ。射撃にしても腕の追従が追い付いていない。

 だが、これは無人ライドラが強いだけで敵のライドラ乗りも相当な使い手だ。

 俺は廃棄車両越しに右手マシンガンを構える。そして無人ライドラの動きをトレース。

 3対の腕を動かすイメージ。俺があの無人ライドラならどう動くか。

 左ライドラの後方から敵のタイヤが迫る。ぶつけて遮断を食らわす気だろう。俺なら、クラブを投げつける。右手に持ったクラブを後ろの敵タイヤに投げつける。

 俺のイメージのままに動く左ライドラ。衝撃でコントロールを失った敵タイヤに左クラブを叩きつける。

 その隙を待っていたのだろう。ジャイロを効かせて射撃体勢を取る敵ライドラ。そこに俺がマシンガンを連射。距離的に有効打はないが射撃体勢は崩せる。

 狙い時だな。

 俺はマシンガンを撃ちながら前進。弾切れマシンガンを投げつけるとクラブを抜く。

 驚いているな。そうこんな挙動は本来できない。武器を投げつけるなんて機能は付いていない。

 虚を突かれて俺の投げたマシンガンが敵ライドラのタイヤ部分にあたる。威力はないが質量はある。トリックを止めるには十分だ。

 そして俺は3対の腕を振り下ろして敵ライドラのトドメを刺した。


「タイガ! 一体何をやらかしたにゃん!」

 ミネギシサンか。流石に実弾で襲って来た相手を返り討ちにして攻められるいわれはないぜ。

「いや、不可抗力っすよ」

「そこじゃニャイにゃん。無人機がこんな動きするはずないニャン。というかAIのコントロールが届いてないニャン」

「動いてたすよ?」

「タイガが動かしてたにゃん。自覚ないニャンか?」

「いや、最後はなんかリンクした感じすけど、最初は知らないすよ」

「最初からにゃん。無人機がジャイロ切ってトリックなんてできるわけないにゃん」

「してたすよ」

「そもそもあのキモイ動きはなんなんニャン?」

「あれは上半身を中心にしてトリックを極めてたすよ。明かに人間の乗り方じゃなかったすね。逆に俺がそれを真似したす。それで最後はライドラの上半身を動かしてたすね」

「確かに変な動きしてたにゃん」

「AIにライドラ操作が出来るなら俺にもライドラを直接動かせるんじゃないかって。やってみたら出来たっす」

「AIじゃにゃいけどにゃ。何かが無人機を動かしてたにゃん。こっちではタイガが動かしてるって感じだったニャン。また何かとんでもないことをしでかしていると思ったニャン」

「心外すね。俺が真似したす。あんな動き俺が知るわけないすよ」

「・・・もしタイガが動きを知らずに無人機を動かしてたらどう動かしてたにゃん?」

 俺が無人機を一から動かしていたら。

 アバターは乗っていない。タイヤを中心にトリックは出来ない。ならば上半身で動かすしかない。まずは腕をどう動かすか。腕を中心にトリックを組み立てる。

「・・・確かにあの動きになるすね。アバターがないぶん上半身の腕の振りで補う。あの無人機の動きになってたす」

「・・・これは仮説にゃんけどニャン。これ無人機に繋いだプレイヤーの力量が反映されてるかもニャン。普通ならAIのサポートが必要ニャけど、タイガの場合逆に邪魔だったニャン。それでAIを切って自立行動してたにゃん」

「・・・つまりあれは、あの無人機に俺が乗ってたってことすか?」

「そうなるにゃ。タイガの意識が移って動かしてたにゃん。最後は意識を統合してたにゃん?」

「俺が自分のライドラを直に操作しだしてから繋がったすね。確かに俺が3人いたような感じだったす。まるで自分の腕が3対増えたような感じすね」

「まるでヘカトンケイルにゃん。その内100機のライドラ動かせるとか言わないにゃんよね?」

「むしろその能力は俺じゃなくてアバター側なんじゃないすか? 俺の意識外でおこってたす。彼女にはプレイヤーを3人分賄える力があった。それを100人分動かせるアバターがいればそうなるんじゃないすかね」

「・・・確かに今回の無人機を動かすには素質がいるって話だったにゃんけど・・・。まさか繋いだプレイヤーをそのまま増やせるとは思わんニャン。とんでもない仕様を見つけてくれたにゃんね」

「いやいや、テストプレイヤーの義務すよ」

「いや褒めてにゃい、いや褒めていいかにゃー。面倒ごとは増えそうだけどにゃー」

「そろそろ彼女の意識が戻ってきたすね」


「貴様! シコル・ギウス! なぜ私の指示に従わなかった!」

『俺はお前の部下じゃないぞ』

「この人殺しめ! なぜ同じ日本人を殺せた!」

『俺はノーデスが信条なんだ。デスの要因は全て潰す』

「そのためには人の命は何ともないのか!」

『敵アバターはノーカンだ。それでお前がデスってたら世話ねえぞ』

「人の命を知らないAIめ! 成果があれば何でもいいのか!」

『誰がAIだ。俺はライドラ乗りのれっきとしたプレイヤーだ』

「AIは皆そういうんだ! この私の手で同胞を殺す羽目になるなんて・・・!」


 ・・・正直へこむな。

 恩着せがましくしたくはねぇけど、アバターになった人間には死んでほしくねぇってのは本音だ。

 そのために全力は尽くしたんだけどな。

 それに俺達プレイヤーがAIってのはどうよ。

 ここもまたミネギシサンに確認しておかねえとな。

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