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異世界配信惑星ファンタジーライブマスター衆神環視惑星  作者: 中級中破微小提督
囚神監視惑星 過去編 ライドライダー
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第三ステージ ライドライダーフォートレス

 俺達の前には六輪車両の超大型ライドライダーが鎮座していた。

 見た目は四輪だが中に双輪が一対の計六輪。

 そこにグレーの鉄板の箱を被せたような走る装甲がそこにはあった。

 フォートレス。

 その箱にまた箱のようなゴツイ装甲を施された腕。

 そして背には砲身のような物が二門。ぶら下がっている。


 見ていると胸部がせり出し台座が出てくる。その奥には砲弾の発射機構。

 そこにさっきの砲身をトンファーの様にくるっと回すと台座にセット。

 その二つの砲身が繋ぎ合わさり胸部に巨大な大砲が現れる。

 そして発射。

 この巨体が後ろに下がる。

 その名の通り、フォートレス。対要塞用ライドライダー。

 戦艦の主砲を胸部に装備したとんでもない代物が今回の主役だ。


 それというのも敵側に更に馬鹿げたものが居る。

 50m級ジャイアント。ゴッド。

 足はただの足だ。その上半身がトーチカの生えた人型。もうそのまままだ。

 武器を撃つのではなくトーチカを向けてくる。それもはるか上空からだ。

 あまりにも馬鹿げていてそれゆえに厄介。VRでなければ実現しないであろう代物だった。


 フォートレスはそれの対抗策。

 戦艦の主砲を至近距離で食らわせてゴッドの足を折る。

 ゲームじゃなければ何を言ってるんだお前は案件だ。


「これが最終ステージすか?」

 俺は隣にいるウサミミ巨乳アバターのミネギシサンに尋ねる。

「そうだにゃん。今回のゴッドとフォートレスは無人だニャン。挙動の確認にゃんね。実際は人が乗るらしいにゃんけど、荒れそうニャンねぇ」

「あんなのギミックで片付けてほしいもんすね」


「・・・タイガ喜ぶニャン。タイガに白羽の矢が立ったにゃん」

「え"」

「いやーよかったにゃん。名指しにゃんよタイガ」

「え、それ嘘でしょ」

「違うニャン! ホントにゃん! フォートレスはビートルと違ってプレイヤースキルがいるニャン。扱えるテストプレイヤーは居ないって話だったにゃんね」

「そんなに面白い機体なんすか?」

「難しいニャンよ。思い通りに動かせると思ったら大間違いにゃん。あれを一人動かすのもそうニャンけど、だからって大人数で息合わせるのも難しいニャン。タイガで駄目なら有人は諦めるニャンね」


ーーー


 俺はライドラをパージするとタイヤでフォートレスの後ろに回る。

 そしてその壁のような巨体を登っていく。15m。五階建てのアパートの屋上に飛び乗るようなものだ。

 そして操縦室にタイヤを埋め込むとドッキングしていく。

 装甲が周りを覆い、投射された映像が装甲に映り外の様子が伺える。

 そして六輪の固定が外された感触。ズンと重い感じがハンドルに加わる。

 スロットルを回すと重い。

 俺が体重を前に掛けると真下の双輪が前に移動する。

 装甲が前面に集中しているせいで四隅の四輪だけでは動けない。この中央の双輪の移動で調整する様だ。双輪が前に移動し前方に四輪が揃うとようやく巨体が動き出す。この状態はビートルに近いな。後方の二輪はただの支え。前方の四輪で駆動していく。

 左右でギアが違うのか。

 ライドラはクラッチ無しでギアの変更が出来る。クラッチ操作が要らずスムーズなだけで基本はMTだ。自分でギアを指示する必要がある。そうでなければトリックなど極められない。

 俺は左右のギアを同調させる。

 これは曲がるときに使う様だ。ハンドルを曲げても機体は曲がらないだろう。

 

「タイガ。調子はどうかにゃ?」

「ああ。調子はいいす。動かしていいすか?」

「いいにゃんよ。タイガが前進したら戦闘を開始するにゃ。さてさてお手並み拝見にゃんねぇププー」

 ミネギシサンは悪い人じゃねぇんだが、負けん気だけは強いんだよな。普段ミスのない俺に対抗心が出てくることがある。

 その分失敗してもカバーの用意はしてくれてるんだけどな。

 ・・・それは毎回俺が無駄にしてるがな。


 さて、今回もミネギシサンの用意していくれた尻拭いを無駄にするとしますかねぇ。


ーーー


 俺は爆走するフォートレスの巨体に目を光らせながら疾走する。

 この巨体がスピードとSAを纏って突進してくる。

 明らかに的だ。味方は俺を先端に盾にしてくる。

 それもそのはず。この機体は一切スピードが落ちない。

 ジャイアントの狙撃ムーブでSAを抜いた一撃が来るがビクともしない。

 敵のムーブでSAを下げる効果が来てもSALvは下がるが速度は下がらない。

 このバカげた全面装甲と重さ。これがこの機体を止めてくれない。

 ブレーキも無駄だな。

 この運動エネルギーを落とすには時間減速以外に方法がない。


 俺は両腕のキャノンを構える。どうせ主砲を撃つときは捨てる武器だ。撃ち尽くしてもいいだろう。

 手動で親指のスティックを弄って照準を決める。

 この向きでこの角度。

 俺はギアの比率を変えて少し機体を傾けるとその最中に発射する。

 曲がる外側が沈み込むのに合わせて内縁の砲を放つ。

 両足を踏ん張るような体勢になり射撃の精度が上がる。そこで反対側の発射だ。

 そして機体を正面に向ける。

 俺の視界の先で転がるジャイアントの姿。これはいつもの逆だな。

 俺は蛇行するように機体を動かし砲を敵にあてていく。

 この機体は自分の挙動で手一杯だな。だがそれでいい。ライドラの様に敵に合わせた行動は出来ないことを前提としているからな。


ーーー


 ようやくゴッドが動き出す。のっそりと歩きトーチカを向けてくる。

 俺は蛇行撃ちでそれを迎撃。トーチカを減らしていく。

 それよりも問題は地上のジャイアントだ。

 このフォートレスは格闘に入ることが出来ない。システム的に格闘状態に入らないという事だ。だが目の間に来たジャイアントは格闘状態に入らなくても妨害にはなる。

 俺は左右のギア比を大幅に変える。ギアの下がった方が減速し機体が回転する。

 その勢いを利用して構えたキャノンを振り払って移動の障害になるジャイアントを殴り倒していく。

 システム的な転倒にはならないが物理エンジンでダメージが入っているようだ。

 俺は回転した機体を左右のギア比で元に戻すと前進していく。

 この状態でも速度は下がらない。この巨体は止まることが出来ない。

 もしゴッドを素通りしたら振り返るのは不可能だな。

 チャンスは一度。


 遂にゴッドに肉薄し両手の砲を捨てる俺。そして肩の砲身を手に取る。

 トンファーの様に砲身を構え胸部の主砲を解放する。

 そしてその台座に砲身をセット。

 狙うはゴッドの足首。本当なら膝と言いたいがそこまで上を向いたら機体が持つかわからない。

 発射。

 物凄い轟音と主に主砲が発射されその足首の装甲を削り取る。そして遅延爆発。

 削れている。動きも止まった。だがまだだ。

 第二射は間に合わない。

 俺は主砲を解体するとトンファーの様に持ちギアの左右比を変える。

 回転する機体で砲口トンファーを食らわす。

 まだあと一押し。そこでちょうど次弾装填が完了する。

 俺は砲身のない主砲をゴッドの足首に向ける。機体は既にゴッドを素通りしている。後ろ向きで前進しながら主砲を向ける。

 発射。

 第二射がゴッドの足首を捉え、破壊する。

 回転を超えスピンする機体。

 それを懸命に抑えながら俺はゴッドから遠ざかっていく。

 その装甲の隙間から見える。

 そこにはゆっくりと宙を泳ぐように倒れ込むゴッドの姿がはっきりと映っていた。


ーーー


「お前一体何者にゃんタイガーーー!!!」

 俺を迎えたのは絶叫とも賛美とも取れない複雑なミネギシサンの出迎えだった。

「いやあれが精一杯すよ」

「やり過ぎだニャン! あんな伝説プレイ実装してからやってくれにゃん! タイガはテストプレイヤーよりも実際にお客さんに欲しいニャンねぇ」

「そりゃないっすよ」

「これで上が欲をかかないといいニャン。こんなの出来るのタイガくらいニャンねぇ。変にフォートレスを有人したら荒れる未来しか見えないニャン」

「いやでも楽しくて」

「タイガーーー!!! その嬉しくなる口を閉じるニャン!!! そんなの見てりゃわかるニャン!!! ボクらも鼻が高いニャン!!! タイガみたいなプレイヤーがもっといっぱいいてくれたらボク達も悩まないにゃんけどにゃんんん」

 確かにあの操作をもう一度やれと言われたら無理だろう。

 むしろ俺以上のプレイヤーが必要な程だ。

「いるんじゃないすか?」

「いても来てくれるとは限らんニャン。ある意味シーズン最後の大詰めにしたのは正解にゃんかもねぇ」

「すね。これを毎回成功させるのはきついすね」

「でも人間にプレイが可能なのを示してくれたのは嬉しかったにゃん。多分実装はもっと簡単になるニャンけどねぇ。取りあえずお疲れにゃんタイガ。ありがとニャン♡」

「でも実装が楽しみっすね。俺も参加しますよ」

「やっぱりタイガはお客さんに欲しいにゃんね。プロは目指さないのかニャン?」

「俺は開発っすね。する方じゃなくて提供する方に回りたい。これやってて感じたすよ」

「嬉しいけどこれだけの腕をほっとくとも思えないニャンねぇ。希望が通るかどうかはわからんニャンよ?」

「そしたら実績すよ。プロになれば開発に口出せるでしょ」

「前向きなのか後ろ向きなのかわらんニャンね。タイガらしいっちゃらしいにゃん。

希望は通しておくニャンよ」

「よろしくお願いしまっす」


 ミネギシサンはゲームから落ちる。

 俺はもう少しここに居たい。

 このVRの嘘くさい解像度が俺には心地いい。

 いつか俺もこれを作れるようになりてぇな。

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