第二ステージ ライドライダービートル
早速俺達の対戦が決まった。
市街地に潜むジャイアントを俺達ライドライダー略してライドラで殲滅する。
だだっ広い平原の中央にある廃墟ビル街。そこにまず俺達は辿り着かないとならない。
ルールはこうだ。戦力ポイントの使い切り。
機体を撃破すれば減っていき、ゼロになった方が負けだ。
敵のジャイアントは3機。こちらはライドラが3機にビートルが1機。
ジャイアントは戦力を使い切り、補充再出撃は出来ない編成。
たいしてこちらのライドラは撃破されても再出撃が可能。ビートルをもう1機は出せる計算だ。
このビートルが今回のテストプレイの目玉だ。
一輪のライドラとは違い双輪。左右にタイヤが並んでいる。その上に巨大な上半身。長大なアームが繋がっている。
操縦席は一つ。その上半身に埋め込む様にライドラのタイヤでライドし、合体することで操縦することができる。計3機のタイヤの出力で通常のライドラの3機分以上の大きさの機体を突撃させる。
攻撃方法は肩の固定キャノンと長大なアーム。これが攻撃兼盾となりジャイアントへの近接攻撃に使う。見た目は団子を繋げたような多節腕。これを鞭のようにしならせ打撃を与える。肩のキャノンは完全固定。突撃時の牽制よりもゼロ距離射撃用の近接武装だ。
ビートルの名の通り丸っこいフォルムと丸い多節腕。これでジャイアントに近接で圧倒的有利を取る機体だ。
「フォローは任せるにゃタイガ」
その操縦者は開発のミネギシサン。俺達テストプレイヤーの窓口だ。
そのアバターはウサミミ巨乳美少女。なぜかネコ語だ。
「任せろよミネギシサン」
俺達ライドライダーがビル街に近づくとジャイアントの砲撃が始まる。
ライドライダーにはSAでほぼ意味がないが巨体のビートルには致命的だ。
俺達ライドラでジャイアントの砲撃を受け止める。
ビートルを狙う砲撃をライドラのSAで受け止め防御する。
ゲームの仕様だからこそ出来る芸当だな。
だが距離が詰まるにしたがって敵のジャイアントが砲撃ではなく、ショットガンに攻撃方法を変えてくる。その大型のショットガンは威力こそないもののこちらのSALvを下げてくる。ライドラでスイッチしながらビートルへの砲撃の射線塞ぐ。
「流石にゃタイガ! 後は任せるにゃ!」
ミネギシサンのビートルが前進する。矢面に立っていたショットガンジャイアントに肉薄すると近接戦を仕掛ける。
ビートルの近接格闘は特殊仕様だ。SALvが高い程IPで先手を取れる。ビートルの多節腕の一撃が先行を取りジャイアントを転倒状態にする。そこに近接リキャストギリギリで追撃を掛けていく。
停止状態SALv0のビートルの近接は太刀と同じ強制クリティカルだ。
そして同時にゼロ距離肩キャノン。転倒してSALv0のジャイアントにクリティカルを放つ。
近接と射撃のクリティカルコンボでほぼ半壊。
そして起き上がるジャイアント。起き上がり時は近接を仕掛けられない。ビートルは一時離脱。仕切り直しだ。
俺達ライドラも勿論仕事をしている。停止状態のSALv0のビートルの護衛だ。そこを狙うジャイアントの砲撃をSAで受け止め近接を仕掛けることでジャイアントの砲撃を停止させる。
これで初手は有利に運んだな。
ーーー
「セカンドアタックを掛けるにゃ!」
一度ビル街から抜けた俺達は再度加速し、SALvを高めながら突撃する。
ビートルの唯一の欠点はトリックが使えない事だ。移動以外の自前でSALvをコントロールできない。SALvを上げたければ広い場所で加速してSALvを上げる必要がなる。
そのデメリットを補って余りある性能だけどな。
特にプレイヤースキルのないプレイヤーには向いた仕様だ。
「ミネギシサン。その機体アンタにピッタリだな」
「そうだにゃ。いつもはコテンパンにやられるボクでも無双できるにゃ!」
嬉しそうなウサミミ美少女の笑顔が通信から見て取れる。
たぶんこの人でも使えるような機体って事なんだろうなビートルは。
「援護しますんでやっちゃってくださいよミネギシサン」
「任せるのにゃ! 弱体化されないように加減はするニャンけどな。ププッ」
ヤレヤレ。ビートルが無双できているのはライドラの護衛が機能しているからなんだけどな。この人、悪い人ではないんだけど調子に乗るんだよなぁ。
セカンドアタックは勿論数減らしの低耐久狙いだ。
ビートルの狙いは低耐久。ジャイアント側は低耐久の後ろにカバーが入って囮にする様だ。残りの1機は中距離に居る。こちらもビートルの格闘後を狙うみたいだな。
俺が狙うのはこの中距離か。コイツに格闘を持ち込んで射撃させないようにすればいい。
そしてビートルが低耐久への進路に入った途端、中距離にいたジャイアントがブーストを吹かす。
ブーストダッシュだ。ジャイアントではあり得ないほどの加速でビートルに迫る。
駄目だ! 俺がそいつに格闘を仕掛けようとしても格闘に入れねぇ!
ブーストジャイアントがビートルとの格闘に入る。ビートルのIPを抜いて先行攻撃。ビートルが転倒状態になる。
クソッ! これがジャイアントのムーブ。ライドラで言う所のトリックだ。
俺はそのブーストジャイアントに格闘を仕掛ける。SALv2。多少不利だが仕方ない。さっきのブースト中の格闘無効化中に格闘を仕掛けようとして減速しちまった。
IPはほぼ同数。ジャイアントの機体は停止しているがSALvは維持されている。ムーブ使用は確定だな。僅差で相手に先行を取られてしまう。
ジャイアントの近接はそれほど痛くはないが結構なダメージを貰ったな。
こっちのバスタードソードのダメージはカスだ。
ビートルの側を見ると集中砲火を受けている。味方のライドラをみていると近接状態に入れない。こっちのジャイアントも近接を受け付けないムーブを使っているのか。流石に転倒状態で2機のジャイアントのゼロ距離射撃はビートルでも耐えられない。機体は大破。ミネギシサンの乗ったタイヤが脱出してくる。
このタイヤが戦闘圏外まで脱出できれば再出撃の可能性が出てくる。
だが、敵のジャイアントが狙撃ムーブでタイヤを狙う。リスキルする気満々だな。
俺はトリックを発動させるとSALv4に固定する。ペナルティがないぶん、1秒しか持たないがこのタイミングは使い処だろう。俺のトリックとジャイアントの狙撃ムーブで相殺が起こりSALv2の掠りになる。トリックがなければ直撃判定だったな。
さてミネギシサンは離脱した。ビートルの再出撃は120秒。こちらの戦力はまだ残っている。こうなれば本来の戦い方だ。
俺はダブルマシンガンを装備する。
この一本道のビル街は一見不利に見えるが、それは一般プレイヤーの話だ。俺のプレイヤースキルならビルの壁面を道に出来る。一見無駄に見えるトリックのアクションも上手く使えば滞空スキルとして使える。
地べたを這いずるだけがライドライダーじゃないぜ!
ーーー
「流石タイガだにゃん!」
ミネギシサンはご満悦だ。
あのあとミネギシサンのビートルが参戦して形勢逆転。
いまこのビル街は俺達の支配権にある。
そこではショップやらなんやらの準備中の文字が写る。
「やっぱシーズン戦なんすかミネギシサン?」
「たぶんそうなるニャンね。非対象はどうしてもバランスが難しいにゃん。その分シーズン変わりは一新して楽しめるにゃんけどにゃん」
俺とミネギシサンはタイヤから降りてフードモーションで語り合っている。ストローでドリンクモーションだ。突っ立ってるのは味気ない。
「それって積み上げが無くなるんじゃねぇすか?」
「一陣営よりも多数の陣営で遊んでもらいたいニャン。新規勢力は強くなるニャンね。プレイヤーの練度もあるにゃんしね」
「俺はテストプレイヤーすからどこでもやりますけど、ライドラが一番すね」
「嬉しい事言ってくれるニャンねタイガ。これだけじゃ物足りないって手広く広げて今の形にゃん。本当ならこんなシーズン制の陣取り合戦なんていらないニャンね。固定ステージでガチバトルの方が楽しいニャン」
「わかるー。変に自由度とか。いらねぇことする奴が増えるだけっしょ。最高のシチュエーションで固定してプレイした方が楽しいすよね」
「このゲームなら競技で良いと思うニャンね。なんで陣取り合戦ニャン」
「やっぱ間口っしょ。女の子呼べた方が人増えるっすでしょ」
「そんなもんアバターで良いニャン。これでいいニャン」
そう言ってミネギシサンは胸を揺らす。
「駄目っすよ。リアルじゃないと。アバターで喜ぶなんて俺達変態だけでしょ」
「タイガは女の子アバター使わないニャン? 声が可愛くなるだけでもやる気出るニャン」
「あー。俺はリアル系は男っすね。アニメ調なら服が可愛いからアリっすね」
「このパツパツライダースーツの良さがわからんニャンて人生損してるニャンね」
「良いすけど自分でやるのは、すね。シコル・ギウスで女の子なんてないでしょ」
「それこそ誰も気にしないニャン。可愛いアバターで自撮りニャンね」
ミネギシサンはアバターでポーズを取って撮影しているようだ。
「その手があったか」
「お、タイガも男の子ニャンね。自分好みのアバターを製品版までに考えておくニャン」
俺の好みか。どうせならピンク目ピンク髪の現実ではありえないサキュバス的なキャラかなぁ。それで巨乳ポーズの自撮りだな。
ネカマで男と付き合うなんてことはないだろうな。




