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第27話 フルフルフルプリリング

 アリアが去った後、野放しだった1th地下ダンジョンがスタンピードしていた。

 続々とやってくる魔物達を相手にゴッドゴーギャンも一機こちらに回して応戦中だ。

 流石に自爆はしない。単純な砲撃だ。だがそれだけでも大助かりだ。

 俺達は抜けてくる魔物達を始末してるだけで事足りる。

 

 そしてスタンピードもそろそろ終わり、ゴッドゴーギャンのMPもそろそろ空か。そういう時にそれは現れた。


 一言で言えばそいつはMP注入魔物。それも特殊なMPだ。

 それを注入されたであろう魔物は強化状態になる。

 今は便宜的に魔物MPとでも呼ぼうか。

 いつもは攻勢でMPかつかつな魔物達が魔物MPを注入された事で潤沢なMPを持って更に強化。ダンジョン内よりも更に危険な状態だろう。

 幸いこちらの疲弊を考慮してか知らないがラストの最後っ屁に見える。

 それ程数も多くない。

 だが、

 何よりの問題は、

 魔物MPを注入されたゴッドゴーギャンだ。


「拙いな。流石にあれをぶん捕られるのは予想できなかったぞ」

 ぼやくゼロスの視線の先を見る。こちらを向くゴッドゴーギャンの砲撃は流石に072の壁は貫通していないようだ。つまりはそういう事だ。

 操られているのか、暴走しているのか。そいつを無視して俺とゼロスは072の壁を遮蔽に強化魔物を倒している。

「俺はそんな予感がしていたぜ」

 そんなゼロスに俺は返す。

「それで? シコル・ギウス大先生の対抗策はあるのか?」

「あるぜ。とっておきのがな」

「マジか」

「効くかどうかはわからねぇが、問題はMP注入魔物だ。これがどれでどうやって注入しているかだな。ギンガは見えるか?」

 俺はヘカトンで繋いだギンガに問う。

 今のギンガは塔の上で俺のヘカトンアームと超重量バッテリーを使って狙撃中だ。そのおかげで離れていても会話ができる。

「見えない。多分、森の中。あそこで何かが魔法をかけてる」

 見えてるジャン。と突っ込もうとしたが狙撃手はそれを見えるとはいわねぇんだろうな。

「まさかだが、そいつがいままでずっとゴッドゴーギャンに魔物MPを注入していたのか?」

「そうかも。ゴッドゴーギャンが暴れ出してから強化魔物が増えてきてる」

「ってことはそんなに数は居ないのか?」

「多分。居ても一ヵ所。シコルの正面」

 俺の正面っていうと、覗かなくてもわかる。ゴッドゴーギャンの真後ろだ。


ーーー

 

 仕方ない。出来るかどうかわからねぇが。

 俺はヘカトンを呼び出す。それこそ100億Gをつぎ込んだ超巨大ヘカトンアームだ。

 その拳の大きさはゴッドゴーギャンの胴体と同サイズ。その左腕を構える様に下がらせるとゴッドゴーギャンの胴体に思い切り食らわせる。

 ビンゴだ。

 ゴッドゴーギャンの巨体が蹲る。それを上から押さえつける。丁度ゴッドゴーギャンの胴体背面を殴りつける様にし、うつ伏せに寝かせる。

 抵抗しているようだが丁度いい。魔物MPの消費が見て取れる。このまま使わせれば御の字だな。


 その間、俺は右腕の超巨大ヘカトンアームのセンサーをフルにしてMP注入魔物を探し出す。

 こちらもすぐに見つかった。森の中。確かに俺達の正面だ。

 一体。人型。それも小型。ゴブリンサイズの、迷宮の主、ゴブリンデーモンロードでいいか。このゴブデロが元凶。ダンジョンコアか、異世界転生者の敵側使徒か。とにかくそんな奴だろう。


 俺は繋いでいるギンガにその情報を送る。

 ギンガのレーザーライフルが的確にゴブデロの頭蓋を捉える。それでも止まらないとみると手足を撃ち抜く。

 動きは止めているがダメージが足りていない。


 そうこうする内にゴッドゴーギャンのコントロールが戻ったようだ。魔物MPを使い切れば元に戻る様だな。

 俺は即座にゴッドゴーギャンフルバーストオーバーロードプリズムライフルを起動する。

 立ち上がったゴッドゴーギャンの胸部が解放しそこから光の砲身が姿を現す。それが真っ直ぐに伸び、ゴブデロに照準を定める。

 ゴッドゴーギャンの自爆を極限にまで収束した形態だ。

「御見舞死てやれ!!! ゴッドゴーギャンフルバーストオーバーロードプリズムライフルフルリリース!!!」

 ゴッドゴーギャンの崩壊と同時に赤熱した光がプリズムライフルを通ってゴブデロに突き刺さる。だが、貫通していない。

「もっとだ!!! もっと収束しろ!!!」

 俺の言葉にゴッドゴーギャンのプリズムライフルが更に細く、その光の本流も鋭く突き刺さっていく。

 それでもまだ、貫通しない。

 こいつはなんだ? イベントボス? 神の人工物と同じでイベントまでは死なない奴か?

 そしてゴッドゴーギャンが力尽き、消えていく。

 お疲れ。俺は心の中で声を掛ける。

 それにしてもまだゴブデロは生きてるのか。


ーーー


 敵の第二弾が来た。

 宙から現れる巨大な石のゴーレム。いってみればこちら側でいうゴッドゴーギャン、向こう側のギルド兵器か。

 それが地面に足を着くと同時に、俺は両手を組んだ超巨大ダブルヘカトンアームで上から叩きつける。

 自重でさえ負荷がかかる脚部に同質量を叩き込めばどうなるか。

 答えはこれだ。

 重さを支えきれずに足がへし折れ地面に沈むゴーレム。俺はそのまま押し付けていく。体勢を立て直させるのは拙い。

 俺は新しいゴッドゴーギャンを呼び出す。そして即座に指示を出す。

 ゴッドゴーギャンフルヘルスキャノンモード。

 フルヘルス、つまり損傷のないゴッドゴーギャンでのみ行えるキャノン形態への変形だ。これも一度実行したら元には戻せない。実質自爆技だろう。

 胴体が砲身化し、伸びていく。そして足が平たく、二足が割れて四足のホバーになる。その上に元胴体だった砲身が乗っかる形だ。移動よりも位置調整に使う形だろう。

 それを即座に射撃モード。収束させるためのプリズムライフルが砲身の先に現れると、圧し潰されるゴーレムに照準が向かう。

 ゴッドゴーギャンフルバーストフルヘルスキャノンフルロードプリズムライフリング。

 その恐ろしいまでに凝縮された光が敵のゴーレムを襲う。最早見るまでもなく木っ端みじんだ。

 ギルド兵器で先手を取ればこんなものか。


 そしてゴブデロことゴブリンデーモンロード(仮)が宙に浮き固定される。

 何かをおっぱじめる気だ。

 俺はすかさず追加GでフルヘルスキャノンモードのゴッドゴーギャンのMPを全回復する。そしてもう一度ゴッドゴーギャンフルバーストフルヘルスキャノンフルロードプリズムライフリング。略してフルフルフルプリリングを起動する。

 その猛りがゴブデロに突き刺さる。中空の何もない空間に張り付けられてのゴッドゴーギャンフルバーストフルヘルスキャノンフルロードプリズムライフリング。略してフルフルフルプリリングを食らっているのだ。

 何かをしようとしていたが、それは遂には果たされなかった。


ーーー


 それでも死なないゴブデロを訝しむ前に、消滅したゴーレムからどけていた俺の超巨大ヘカトンアームが何かを捉えた。

 ゴブデロと繋がる線。それは1th地下ダンジョンと繋がっている。

 俺は超小型自爆索敵型ゴッドゴーギャンを呼び出すためにGPを確認したが、この戦いで100億G以上は増えている。

 なんだ? ゴーレム? いや、履歴を見ているとゴブデロは削っただけで美味しい出汁(G)が出ているようだ。

 俺はすぐさま超小型自爆索敵型ゴッドゴーギャンを100機100億Gで呼び出すと全てを1th地下ダンジョンに潜らせる。

 ゴッドゴーギャンの自爆は俺達使徒や住民には効かない。つまりそれはゴッドゴーギャン同士もだ。共鳴しなければ自爆共鳴も勝手に行われるものじゃない。

 つまりあの地下の密閉空間では自爆し放題だという事だ。

 神の人工物で崩落の心配もないしな。


 俺の予想通り次々とGが入ってくる。その制圧に50機。俺は残り50機の内30を1th地下ダンジョンの外壁内面、つまり接地面に配置すると共鳴自爆を発動させる。

 轟音と共に地表に飛び出る1th地下ダンジョン。俺はそれを超巨大ヘカトンアームでつかみ取ると棍棒の様に振り上げてゴブデロの真上に落とす。

 1th地下ダンジョン棒でゴブデロを何度も何度も打ち付ける。流石1th地下ダンジョンだ。神の人工物だけあってどれだけこれで殴っても綻び一つない。それがまたゴブデロによく刺さる。ゴブデロの美味しい出汁(G)がプシャーだ。

 ダメージがGとして出る仕様は良いな。やる気が出る。これが体力バーだったら既にやる気が無くなっている所だ。

 だが流石に1th地下ダンジョン。神の人工物よろしく元の位置に戻ろうとしている。俺の超巨大ヘカトンアームをものともせずに元の穴に戻っていく。

 そうはさせるかよ。

 俺は足払いの要領で最下層に超巨大ヘカトンアームで足払い(?)をかける。反転しひっくり返った1th地下ダンジョンの最上階を地面に叩きつける。そして何度か叩いて押し込むと、地面にめり込み元には戻れないようだ。それを上から抑えて残りの超小型自爆索敵型ゴッドゴーギャン20体を共鳴自爆。その衝撃で震える1th地下ダンジョンは更に地面に突き刺さり、とうとう埋まって身動きが出来ずに動きが止まる。

 最下層を頂点に3分の1くらいは地表に出ているが仕方がないだろう。

 そして地表に出ている最下層とゴブデロが繋がっている。

 俺は超巨大ヘカトンアームの両の掌でゴブデロを挟み込む。流石にこれには抵抗しているようだが、その抵抗が外に逃げず、自身の体に突き刺さっているようだ。自分で出したバリヤーが自分の中で展開しているようなものだ。ダメージが出ているのは出汁(G)から見て取れる。

 それを今や最上階の最下層に叩きつける。

 その繋がりが一つになった時、

 

 特に何も起こらなかった。


ーーー


「すまんゼロス手詰まりだ」

「いや、ここまで豪快にやってどうにもならないアレはなんだ?」

 ゼロスは望遠鏡を片手に驚きの声を上げている。俺はヘカトンセンサーで見えている。今撃っているのはギンガとギンガの選抜した俺付与ライフリングレーザー、部隊? 組合? だかで照射中だ。まだ形を保っている。

「どうすればアレを殺せるんだろうな?」

「いや、シコル、お前、まだアレを倒せる気でいるのかよ?」

「いやいや、見えてるなら倒せるだろ」

「やる気がいいのはいいがな。お前の言う通り手詰まりだぜ。倒せるかどうかわからん奴にゴッドゴーギャンの自爆を使う訳にもいかんしな」

「だけどよ。放置ってのもヤバいだろ」

「いや、シコル、アレが残ってるだろ」

 ゼロスの言葉に未だ鎮座しているフルヘルスキャノンゴッドゴーギャンが居る。

「アレのMP自然供給で一日一度は砲撃できるはずだ。それで削りながら考えようぜ」

「そうだな。むしろあの元最下層の最深部が弱点というか本体だろうしな。あれを毎日炙ればゴブデロの方は無視してもいいかもな」

「ああ。ようやくこれで一段落だな。しかし、この惑星ファンタジーがここまでヤバいとは思わなかったぜ。シコルは知ってたのか?」

「俺は初体験だぞ。むしろこれを知らずによく生きてたな」

 俺の言葉を聞くとゼロスは笑いだす。

「そりゃ違いねぇ。俺は運が良かっただけだな。助かったぜシコル。お前が居なかったら知らずに死んでた展開が多そうだ」

「だと良いんだがな。これ俺狙いとかねぇだろうな?」

「どうだろうな。ここまでくると俺にもわからねぇ。ただシコル、お前はどちらかというとイベントを潰してる側だからな。視聴者の神々よりも運営の神に睨まれてるかもしれないぜ?」

「ありそうだな。これもイベントじゃなさそうだしな。どっかに名前付きでも居るのか?」

「・・・どうだろうな。だとしたらよっぽどの大物かもな」


 そんなことを言い合いながら日が落ちていく。

 あれの監視はギンガのスナイパー組合が見てくれるそうだ。

 これなら流石に俺も一休みするかな。


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