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第20話 惑星ナンバーワンギルドの根城

 俺達が072に着くとそこはお祭り状態だった。

 なんでも惑星ナンバーワンギルドの根城となったとかで瀕死の状態から蘇り、超強化されて安泰だとか。

 街並みは復興し、市民も使徒も大騒ぎだ。そのナンバーワンギルドがGPを使いまくったおかげで復興は速攻で終わったらしい。どうやらGPの消費でこの街自体のレベルが上がって色々と良くなっているらしい。

 そして功労者としてギルドマスターのゼロスよりもでかでかと表示されているのが『シコル・ギウス』という文字だ。

 ヤベェ。顔写真が無くて良かったぜ。


ーーー


 俺達が072に着いたときにお出迎えしてくれたのは全高30mの巨大ロボだった。

 ホバー型の重量級二脚に巨大な球のような胴体。そこから武器が召喚されて装備する形の用だ。俺が見たのは砲撃タイプ。腕の代わりに砲台が胴体に張り付いている。

 これがゴッドゴーギャンか。

 いやいやいや、これが撃破されたのか? 俺達が総出になっても倒せなさそうなこの巨大ロボットが何機倒された? しかも三体連なったトリプルゴッドゴーギャンにダメージを与えていた。敵の神が殴り込みに来たとしても納得の戦力だったんだろうな。

 だが残った2機と補充の1機は無事だ。まったく損傷が無い。取り合えず近辺は安全だな。


 俺達は警戒しながら門を避け、壁から侵入したが危険はない。

 冒頭の状態だったというわけだ。

 そしていつもの食堂では見知った顔がいくつも見られた。

 だが稼ぎで来た使徒はほとんどいない。どうも聞いてみると魔物堕ちが多いようだ。絶体絶命で同士討ちに責任のなすりつけ合い。ザマァ展開が繰り広げられていたのだろう。ゼロスがこの街を出ようとしたのはこのせいらしい。アレスとギンガも同様の様だ。見知った顔の072の古参も退避していたらしい。

 知らなかったのは俺だけだな。まさかのイベントでザマァ展開なんて事はないだろうな。そんな事を話していた。


 目下の問題は7つの魔物側拠点だ。

 072を中心に反時計回りで

 左下に1th地下ダンジョン。

 東側に2~5の4つの未確認拠点。

 右上に6thキャッスル。

 真上に7thパレス。

 

 上にあるキャッスルとパレスはゴッドゴーギャン3機が交代で砲撃を行っている。これは目視が出来る魔物拠点だ。俺達が離れる前は確認できなかった事から後から生えてきた奴だろう。072のような神が作った拠点なのか、魔物ギルドの作ったものかは今の所不明。ゴッドゴーギャンの砲撃でGPが入っていることから魔物は発生しているようだ。ただ拠点の破壊までは至っていない。魔物側の神の拠点である可能性は高いな。


 問題は左下の地下ダンジョンだ。こればかりはゴッドゴーギャンの砲撃も効かない。何よりも072に近い。森の中だから目視は出来ないが、前からあったと見るのが正しいだろう。いつも072を攻めてくるファンタジー魔物達だ。

 何よりの問題は俺達ソルジャーの銃器と相性が悪い。屋内で銃器は勿論だが銃声含む音がヤバイ。下手に爆発させると地下ダンジョン内の敵が全員やってくる。

 ここはゲームのダンジョンではなく、盗賊の根城というのが俺達の感覚で正しいという事もわかってきた。ゲームの様に規則正しく冒険者を待っているのではなく、攻め込まれれば即座に反撃してくる人間の砦。PvEではなくPvPという訳だ。

 なによりもこの魔物拠点はMPが回復する。つまり魔物がフルの状態で火力を出せるという事だ。いつもは迎撃でMPがカツカツの魔物を相手にしてきたがここでは違う。そして俺達使徒にたいしてMP回復妨害が働いている。この地下ダンジョンのどこかにそういう施設があるんだろうな。

 ここの攻略は相当に骨が折れるだろう。そもそも潰せるのかどうかも不明だ。


 そして東側は完全に手付かずだ。拠点が4つというのも憶測の状態だ。もしかしたらまだあるのかもしれないが今ある情報ではそうだ。

 こちらもスタンピードレベルではないが襲撃が来る。072の東側は比較的安全な狩場のような状態だ。そこそこに稼ぎたい連中はここだな。


 西側はアレグシオンのような船が係留できる港になっている。現在は増設されて3隻分。4、5隻分の港が現在建設中。いつでも追加GPで即建設出来る状態だ。

 西は街の確認ができる分、敵はほぼ来ない。

 アレグシオンのような特例が無ければ安全だろう。


ーーー


 俺達は今072の東側に居た。ここでの散発的な襲撃は武器の試し打ちには丁度いい。

 サイボーグ腕の多連装ホーミングレーザー。

 いわゆる照射ではないレーザーだ。弾速と反動があり、ENという謎エネルギーのレーザーだ。熱量でもなく運動エネルギーでもなく、質量がある謎エネルギー。俺はENという名の魔法物質という認識で使おうとしている。

 形はわかっている。右腕全体を使い、肘から先がレーザーの発射装置になっている。無機質な金属で出来た代物だ。ただの無害な金属塊だ。

 だが俺の感覚はそうは捉えていない。

 右腕に目のたくさんついた巨大芋虫がへばりついている感覚だ。

 サイボーグと繋ぐ呑まれる感覚には慣れた。

 だが腕がこの巨大芋虫に食われる感覚は如何ともしがたい。ただの金属だ、と自分に言い聞かせて耐えてはいるが、アリアとの一件が無ければここで発狂していただろう。

 俺が恐怖で自分の腕を見つめると、その目玉が全て俺に向く。

 この巨大芋虫が俺自身を襲いに来る。

 その恐怖のイメージがそのまま伝わりその銃口が俺に向けられる。

 駄目だ! 怖がるな!

 こいつは俺を襲わない。俺が俺を襲えと命令しているだけだ。

 お前たちの敵は向こうだ。

 俺は標的となる魔物に意識を向ける。するとその目が全て敵に向く。血に飢えた眼差しが涎を垂らしながら俺に獲物を捕らえたと報告してくる。

 なるほどな。さっきの俺に向けられた眼差しと比べれば敵意が無かったのがわかる。

 俺がその手綱を離すと血に飢えた眼差しが光となって魔物を襲う。

 そして奪われる俺のMP。こいつらの餌は俺のMPだ。

 MPを食わせてこの腕から生えた猟犬芋虫を従える。

 こいつらの視界が俺の視界に重なって目の前が暗くなる。俺自身がこの猟犬芋虫になっているかのようだ。

「シコル!」

 俺を呼ぶ声で俺の視界が戻ってくる。

「ゼロス」

 そうだ。ゼロスだ。俺に付き合ってくれている。味方だ。食うなよ。

 俺は次の得物を探して暴れ狂おうとする猟犬芋虫を宥めるとサイボーグを解除する。

 俺は自分の腕を確かめながら、あの自称金属塊のサイボーグ腕とかウッソだろと心の中で反芻する。

「ウッソだろ。こんなもん全身に這わせたら気が狂うわ!!!」

 おっと、言葉に出ちまった。

「なんだそんなにヤバいのか?」

「腕から多眼の巨大芋虫がすり寄ってくる感覚だぜ! 喰われてんのに痛くねぇのが逆に怖いわ!」

「だが威力は折り紙付きだろう。俺もあの光線がオモチャでないのを初めて知ったぜ」

「ああ。あれは銃じゃ撃てねぇわ。ENレーザーは魔法攻撃と見ていいだろうな。MPを直接攻撃に転換してる。マガジンに変換してたら効率が悪すぎるんだろうな」

「それでか。MP直結なんてやろうとしても無理だろうしな」

「ああ。それをやるためのサイボーグだろうな。コイツもストレージが一点もので共有する部分が無いもんな」

「確かにな。・・・・これは部品じゃないのか。あれで一つなのか」

 ゼロスが自身のストレージから召喚できるサイボーグを見ているようだ。

「一つというか、あれはもう生き物だぜ。改造した魔物、召喚魔法としては銃よりも向いているのかもな。ただおすすめはしないぜ。・・・さっきもだけどな。視界が腕に持っていかれたからな。意識とかも上書きされそうに感じた。これは油断すると魔物堕ちするかもしれねぇ」

「アリアもか」

「ああ。もしかしたら俺達が見ていたアリアはもう魔物に堕ちていたのかもしれねぇな。こっちが私の姿。その言葉はアリアに繋がれたサイボーグ達の言葉だったのかもしれねぇな」

「・・・またヤバい仕様を見つけてくれたなシコシコスルスル先生は」

「知らねぇよりはいいだろうが! もしまた次のアリアが来たら、今度は、ああ、うん、ああ、なんだ、ああ」

「助けたいか?」

「それだな。次に来るとは思えねぇけど、同じような奴が来たときにな」

 それを聞いてゼロスが苦笑する。

「本当にお前は強欲な奴だな。シコル・ギウス。いいぜ。付き合ってやるよ相棒。お前といると退屈だけはしそうにねぇ」

「隠さなくたっていいんだぜ相棒のゼロス先生。お前だって同じだろうが」

「俺は隠してもいいんだよ。お前が居るからな」

 俺とゼロスの視線が絡む。

 まあ、持ちつ持たれつ適材適所か。相棒との腐れ縁も長くなりそうだな。

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