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第15話 再イベント

 俺達はその一報に臨戦態勢をとる。

 アレグシオンの入港。

 そんなはずはない。

 港だけは出来ている。入港は可能だ。だがその入っていくるアレグシオンとはなんだ?

 俺達の緊張は他所にそれは接舷する。

 そこから降りてくるのは普通の人間と使徒だ。

 その中に見知った顔がある。

「アリア!?」

 俺は走り出す。その見知った顔と黒髪ツインテール。短い邂逅だったが間違いない。

「お前生きていたのかよ!」

「あんた誰よ」

「俺だよ! オレオレ! シコル・ギウス! サイボーグの話をするって言っただろ!」

「知らないわよ。何アンタ。あたしのファン? あんまり嘗めていると焼くわよ」

「この前会ったばかりだろ! この072で戦っただろう?」

「はぁ? あたしは初めてよ。このアレグシオン1世号だって初寄港よ!」

 ん?

「アレグシオンに1世号なんてついてたか?」

「最初からよ最初から! なんなのアンタ。使徒がナンパなんて天罰が下るわよ!」


ーーー


「どういうことだ? アレが人違いか?」

 アリアに逃げられた俺はいつものメンバーでいつもの食堂に来ていた。

 難しい顔をしていたゼロスが口を開く。

「俺も初めてじゃないが、どうやら再イベントみたいだな」

「なんだそりゃ」

「僕も初めて見ましたが、同じイベントが起こるという現象はまれに耳にします。ここにはボスも居ない上に港も出来ている。戦闘イベントは起こらなかった場合のイベントでしょうね」

 アレスでさえ稀なのか。ギンガの方を見ると特に興味はなさそうだ。

「じゃああれは別人なのか。全てが同じっていうとコピーなのか?」

「俺も一度きり遭遇しただけだがどうだろうな。だが、アレをコピーだと断言したら使徒もダビング可能なNPCって事になるぞ?」

「だよなぁ。アリアはあそこで死んでたもんな。俺の見間違いとかそういうのだと思ってたけど、やっぱ違うよなぁ」

「誰が死んでるのよシコル・ギウス」

 その突っ込みで俺は目を剝く。

「やっぱり生きてんじゃねぇかアリア。さっきのは何の演技だよ」

「違うわよ。アンタの噂を聞いたのよ。有名人みたいじゃない? 男を漁って誑かしてるそうじゃない? ねぇレディ?」

 アリアが振り返ると巨漢の背の高い・・・女だ。シスターフードを被った恰幅の良い、なんだ? デカシスターだ。

 だがなんだ? なんか見覚えがあるぞ?

「お前、アレグシオンに憑いていた虫ボスじゃねぇか! やっぱり化けて出てんじゃねぇか!」

「どんな口の利き方だい? アタシは聖女レディ。そう呼びな。でもどうやら本当らしいね。アンタが合ったアリアの事を聞きに来たのさ。詳しく聞かせな」

「聖女って柄かよ。レディババァ。けど俺も知りてぇ。情報交換だ。そっちのアリアの事も聞かせてもらおうか」

 レディとアリアが目配せするとアリアが話し始める。

「じゃあ、まずアンタはどこであたしと会ったの?」

「ここの戦いだ。アレグシオンが突っ込んできた時のな。自滅しようとしてたからケツにグレネードをお見舞いしてやったのさ。仲間を無くしたみたいで窮地で形態進化をするとかそんな感じだった」

「あたしが? あたしの仲間なんていない。そんな真似するとは思わないけど?」

 アリアは訝しげだが俺は続ける。

「その後はMP切れで生身の手足に戻って動けなくなった。そこのアレスが担いだが、ビビったショックで動かせるようになってたぜ?」

「・・・そう。うん。他には何か言っていた?」

「最後に俺にはサイボーグとの親和性が高いって話と、機械に呑まれて体を食われる、機械と自分の境目を忘れるなってくらいか。あと胴体はサイボーグするなとも言ってたな」

「そう。ねぇ、レディ。あたしこっちに付き合ってもいい?」

「好きにしな。ならアタシはダディのとこに行くよ」

「じゃあシコル。サイボーグの事教えたげる。それならあたしもアンタも満足するでしょ?」

「オッケー。俺も飛べるなら飛びたいぜ」

「アンタね。飛べるのはあたしくらいよ。ホントにそんなに親和性が高そうには見えないんだけどねぇ」

 アリアはぼやくが、俺はヘカトンケイルを使いこなせるんだぜ? サイボーグなんて朝飯前よ。


ーーー


「シコル!!!」

 誰だ? 俺は誰だ?

「シコル!!! 機械と自分の境目を思い出して!!! アンタはシコル・ギウス!!! 機械じゃない!!!」

 俺は機械じゃないのか? じゃあなんで手足が無いんだ? いや、ないのが当たり前だ。俺は人間じゃないんだ。俺は、

「アンタの手はここに在る! アンタはここに居る! 帰って来て! シコル・ギウス!」

 聞き覚えのある声と暖かい感触。それが、


「痛ェ! なんだコレ! 全身が痛ぇ! 動かねぇ! なんだコレ!」

 暗かった俺の視界がアリアの顔を捉える。

「バカ!!! 何が親和性よ! 嘘ばっかり! 思いっきり飲み込まれたじゃない!」

 いやまて、何がどうなっている。

 俺はアリアと第072冒険者ギルドの演習場に居た。

 そこでサイボーグの呼び出し方を習って、そう手足同時に付け替えて、それで、

 ぞっとする感覚を思い出す。

 そうだ。俺は何かに呑まれた。そして失った手足を食われた。

 その恐怖だけが思い起こされて体が震えだす。

「怖がるだけまだマシね。それが無かったから帰ってこれなかったわよ」

 軽口を返そうとするが口が振えて言葉にならない。

「吞まれるっていうのはサイボーグが脳と直結した時の感覚よ。未知の感覚と繋がったせいでそう感じるの。そして食われるっていうのは制御を渡した状態。食わせて動かせるようにするっていうのがサイボーグよ。今、体が痛いのはただのフィードバック。感覚器が戻っただけよ。もう痛くないでしょう?」

 気付くと俺はアリアの手を力いっぱい握っている。

「わ、り、て、のちから、がぬけ、ない」

「良いのよ。あたしの手はサイボーグだから大丈夫。生身の握力でどうにかなるほど軟じゃないわ」

 駄目だ、わかっていても体が動かせねぇ。

「普通は腕どころか皮膚から始めるのよ。あれは痛いけど吞まれる感覚を学ぶには丁度いいしね。でもあれで帰って来られるだけ親和性は高いのかもね」

 俺は目だけでアリアに問いかける。

「アンタはそれに恐怖を感じた。逆に言えば呑まれる事は無いわ。あたしみたいに恐怖を感じない人間は境目に気を付けないと容易に人間じゃなくなっちゃうからね」

「そういえば、いてた。俺が誤爆で手足の感覚がなくなっても平気だって」

「ああ。それたぶん、ショック状態だったんでしょ。実際に千切れてたらそうはならないわ。そっか、そこを前のアリアは勘違いしたのね」

「認めていいのか?」

「アンタの状態を見てたらね。そんなに前のあたしは信用出来たの?」

「今もだ。なんていうかアリアは信用できるって気がしてたな」

「アンタ。毒が抜けると可愛いわね。その喋りはなんなの?」

「俺はTSだからな。サイボーグで男の体と思ったんだが、これは無理みたいだな」

「当ったり前よ。胴体は本当にやめて。アンドロイドに形態進化しちゃうわよ。でもそれも手かもね。多分立たないと思うけど」

 グッ。それは意味がなさ過ぎるだろ!

 腹に力が入ると手の力も自然と抜ける。

「もういいみたいね。ほら彼女さんが来たわよ。キチンと立って」

 彼女? ああギンガか。

「シコル? 無事?」

「ああ。なんとかな。サイボーグお鎮鎮は無理だったけどな」

「アンタ。お鎮鎮を求めてるのってそういう意味だったの」

「ああ。俺達女は搾取されてるんだ。お鎮鎮の気持ちよさをな。それを取り戻すんだ」

「呆れた。まあ可愛い彼女さんが居るならやる気も出るか。じゃああたしは行くわ」

「まて。俺はまだ諦めてないぞ」

「アンタねぇ。素直に外骨格にしなさい。アレは痛いけど飲まれる事は無いから、使徒の体なら安全でしょう」

「それはもうあるんだ。ヘカトンケイル」

 俺は短期形態進化を呼び出す。

「アンタの自信の表れはそれか。それはアンタの一部だもの。サイボーグとは別物。というかそれがあればいらないでしょ。もうお開き。こんなのはあたしみたいな特別な人間だけで十分。普通の人間は普通の生き方に戻りなさい。これはこれが私の姿だからやっているだけよ。しっかりと、今あるものを大切になさい」

 そしてアリアは去っていた。

 なんだろうな俺にあるアイツの信頼感は。

 まあ、それよりもまた新たなお鎮鎮の可能性を見つけないとだな。

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