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第12話 エリクサー

「なあ、援軍が来てる割にこっちに敵が来すぎてねぇか?」

 俺はレーザーで迎撃しながらアレスと話す。大型は少ないが数が多い。

「確かに。名前付きはどうやら外で戦っているようですね。それでこっちに敵が逃げてきているという所でしょう」

「それ防衛になってねぇじゃねぇか」

「多分ですけどボス級が外にいるんでしょう。中の援護は望めないようですね」


「これはマズイな」

 ゼロスもやってくる。

「ボスは倒せても中は壊滅するパターンだな。生き残りを考えた方がいい。援護どころじゃねぇな」

 確かに旗色は悪い。だが逃げ場もない。唯一の逃げ場のアレグシオンも敵が取り付いている。

「これはエリクサーの使い処ですね」

 アレスは何かの瓶を手に持つ。

「これは一定時間MPの制限をなくすアイテムです。効果時間は恐らく30分から一時間。それを過ぎたら数日はMPは使えなくなります。その間の護衛を頼みたいのですが」

「任せろ」

 俺は即答する。コイツならスリングを繋いでおけば戦力になるだろう。

「シコルさんがいうなら安心ですね。使うタイミングですが、何かありますか?」

 アレスがゼロスの方を見る。

「今、だろうな。ボスの撃破まで待てば凌げるはずだ」

「では、使います。ここで押し返しましょう」


 アレスがエリクサーを使うと俺たち全員にフィジカルアップオールが掛けられる。エリクサーの使用中はMP上限で使えない魔法も使える様だ。まさに起死回生のアイテムだな。

 アレスは走るとウォールを通路にかけていく。素通りだった道が地面から盛り上がった光の壁で塞がれていく。あれは確か味方の攻撃も遮ると言っていた魔法だ。

 そしてあちこちにバリアーを張り、敵の進軍を止めていく。そして味方を次々に強化回復していく。劣勢が完全に覆りそうだ。


「シコル。これは何があったの?」

 ギンガだ。

「アレスのエリクサーだ。しばらくMP無限らしい。今のうちに盛り返すぜ」

 ギンガが悩む様に手を顎に当てる。

「・・・シコル。お願いがあるんだけど」

「なんだ?」

「あのバッテリー強化をかけて欲しい。今なら大型を止められる」

「オーケー」

 俺はギンガのレーザーライフルのバッテリーを大容量化を付与する。

 礼を言うギンガの背に声をかける。

「ギンガ。残りのMPはお前用に残しておくからな。大型は頼むぜ」

 俺はレーザーライフルを背にするとアサルトに持ち替える。

 それで伝わったようだ。頷くギンガを見届けると俺はアレスの援護に向かう。


「ギンガさんは凄いですね」

 今はアレス、俺、ゼロスで戦場を駆け回ってる最中だ。

 見ているとギンガが大型の関節をライフリングレーザーで打ち抜いている。

 ・・・いやいやいや。大型でも動いていると体に当てるのも難しい。それを間接に確実にヒットさせてやがる。肘や膝だ。俺だったら肩と股間を狙うのが精一杯だな。

「奴は生体マウサーかよ。腕がマウスで動いてるのかアレ」

「マウスで動く腕とかなんだそりゃ」

「どう見てもパッドじゃないだろあのエイムは」

「パッド? パッドでエイムが出来るのか?」

「おいおいゼロス先生はトラックボール派かよ」

 ゼロスが会話に入ってくるが上手く伝わらないな。


「皆さん!!! エリクサーが切れます!!! 援護はここまで!!! 無事を祈ります!!!」

 アレスの言葉に多くの使徒たちが感謝の言葉を返す。

 実質こいつのお陰で立て直せた。安全圏まで来たと言ってもいいだろう。

「アレス。繋ぐぜ」

 俺はスリングをアレスに掛けるといつもの左斧ブルパップライフルを渡す。

「はい。これで凌げそうですね」

「ああ。お前のお陰だな。ボスは長引いてるみてぇだがこっちは安泰だな。片付いたらボス戦でも見に行くか」

「それは止めておきましょう。名前付きがボスに負けたら負けイベントです。逃げる準備をした方がいいでしょうね」

「だったら頑張ってもらわねぇとだな」

 ギンガの方は大型を片付け終わっている。中の掃討が先だな。


 だがこのシチュエーションは前にもあったな。

 アレスの俺に付いたマガジンを取る手が怪しい。そして荒い呼吸。盛り上がるお鎮鎮。

 俺がアレスに繋いだスリングを外すのとアレスが襲い掛かってくるのは同時だった。

 辛うじてアサルトの銃床で殴りつけマウントは避ける。

「アレス!」

 アレスの瞳の色が変わっている。

 魔物堕ちの兆候か!? これは本格的にマズイ。

 それでもアレスは棒立ちしている。これは意識して止めているのか?

 俺はアレスの足にライフルを絡ませると転倒させお鎮鎮を取り出す。

 これは、大きさがおかしい。これは元に戻るのか?

 だがやるしかないか。

「アレス!!! 戻れ!!!」

 俺は転倒したアレスのお鎮鎮に組んだ両手を叩きつける。

「アレス!!! これはオネショタじゃないだろう!!!」

 叩きつけた両手から♂が絞り出される。

「アレス!!! ショタオネは邪道だろう!!!」

 叩きつけた両手から更に♂が絞り出される。

「アレス!!! わたしは!!! お姉ちゃんはここに居るぞ!!!」

 叩きつけた両手から伝わる感覚から硬さが取れる。

「アレス!!! わたしがお姉ちゃんだ!!!」

 最後の盛大に♂を吐き出したお鎮鎮がその起立を止め、元に戻る。

「シコルさん・・・」

「戻ったかアレス!!!」

「はい。僕は、僕は、興奮していました。無力な僕に。シコルさんに引き連れられる無力な僕に。このまま永遠に。ただ僕の体はこのまま。ならば、ならば、」

 アレスが涙を流す。

「ならば、僕がゴブリンに堕ちて、シコルさんにショタオネを敢行しようとしてしまいました。僕が一番嫌っていたショタオネを、今この時に、僕が無力なこの時に、これならば許されると、僕が容認してしまった。僕は、僕自身を裏切ってしまった」

「・・・馬鹿だなアレス。俺と同じじゃ世話ないぜ」

 俺の独白にアレスの視線が俺に向けられる。

「俺も、お鎮鎮のためならオークに堕ちて生やそうと思っちまった。一番簡単でやっちゃいけないことだな。そんなお鎮鎮じゃシコれねぇのにな」

「シコルさん・・・」

 俺とアレスの視線が合わさる。

「俺達変態には大変な場所だけどな。それでも理想のお鎮鎮を目指してい行こうぜ。アレス」

 俺が伸ばした手をアレスが掴む。

 もう大丈夫だな。

「ありがとう。シコルさん。さっきの私というのはシコルさんの素なんですか?」

「そんなわけあるか。わたしなんて使うわけないだろ。お姉ちゃんを名乗るならわたしだって思っただけだ。そんなにわたしが気になるのか? アレス」

 アレスの俺を掴む手が怪しくなってくる。息が荒く、お鎮鎮が蘇ってくる。

「アレス!!! 全力でシコル・ギウス!!!」

「んほぉぉぉーーー♂♂♂」

 アレスは果てた。そして二度と立ちがらなかった。


ーーー


「外も終わったみてぇだな」

 ゼロスがやってくると、丁度アリアの飛行姿が見えてくる。

 さっきのジョイントに重火器をつけた姿だ。

「あいつまだあんなにMPが残ってたのか」

「いや、アレは違うだろ。召喚魔法じゃない。普通にこの世界で作った武器だろうな。あの薬莢が消えずに落ちてるだろう」

 確かに。ガトリングのようなものから落ちる薬莢が消えずに落ちている。

「あんなものもあるんだな」

「そりゃあのデカイ船があるんだからな。普通の武器もある。まあ、ここじゃ貴重品だろうけどな。使徒以外でも戦いたい奴ってのはいるのさ」

 使徒だけの世界ではないんだな。

 そんなことを考えながら俺達はアレスを引きずる。

 まったくこいつは。功労者じゃなかったら捨てていく所だぞ。

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