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ランドルト鉄道爆破事故

2021年、クラーケ大陸を横断するランドルト鉄道が、フェール地方とフンポク地方の県境付近で5号車が爆発し、1号車から4号車が谷底に落ち、6号車から9号車が線路上で横転しているところを県境警察が発見した。1号車の乗客は全員即死。2号車から4号車はわずかながら生存者はいたものの、乗客50名が死亡、20名が瀕死の重傷、30名が重軽傷の怪我を負っていた。後に、瀕死状態の20名のうち搬送中に12名が死亡した。5号車は爆散しており、破片は5キロメートル先にまで吹き飛んでいた。生存者は確認できず、全員死亡と判断された。6号車から9号車の乗客は重傷の人物もいたが、全員生存。県境警察はすぐさま調査を開始した。すると、線路に爆弾の破片らしきものが発見され、これが爆発の原因と解明された。しかし、爆弾の残骸や現場の記録は直後から財閥関係者による強い働きかけで厳重に管理され、生存者や遺族に対しても証言を公表しないよう徹底した口止めが行われた。そのため、後に「ガス漏れ事故」と公式発表する下地が、この段階から作られていた。さらに、5号車にはワドル財閥会長の長男、ワドル・グリッドが乗車しており、5号車がグリッドによって貸し切り状態にされていたことから、無差別なテロではなく、グリッド氏を狙った計画的犯行だとされた。グリッド氏は■■■■復活祭に参加する予定で、当初グリッド氏はプライベートジェットでの渡航を勧められたが、その提案を突っぱね、ランドルト鉄道での渡航を決定。使用人やSPも貸し切りを条件に承諾した。県境警察はすぐさまワドル財閥へ事情聴取を行い、そこで分かったのが、グリッド氏がデー社長の所有していた高級車をマフィアに定価の2倍で転売し、それをマフィアが転売しようとしたところ偽物と判明してマフィアのボスと揉めていたこと、またテント製薬の社長令嬢を強姦し妊娠させ、堕胎費用を一切出さずに自己負担させたこと、さらにバーン建設社長の誕生パーティーで社長の妻をシャンパンの瓶で殴打し、全治2か月の怪我を負わせたことなど、多数の問題を抱えていることだった。このため、グリッド氏を恨む者を特定することが困難だと分かり、県境警察は総動員でグリッド氏と揉めている人物の調査にあたった。だが、調査を進めるごとに財閥内部の権力闘争や政界との繋がりが露見しかねない状況となり、警察内部でも「これ以上は危険だ」という声が強まっていった。しかし、この調査は突然打ち切られた。調査終了を促したのはワドル財閥だった。世間には、これはガス漏れによる事故として報告され、それ以上の説明をせずに事件を終わらせてしまった。多くのメディアはガス漏れによる事故だと報じたが、一部週刊誌がワドル財閥が捜査を打ち切らせたことを報じると、再び県境警察に対する説明を求める声が溢れた。これに対し、県境警察はワドル財閥による捜査中止要請を認めたものの、中止理由に関しては一切話さなかった。これに対し、メディアは「ワドル財閥、県境警察に口止めか」と報道。瞬く間にこのニュースは大陸全土を駆け抜け、各種メディアは連日この話題で持ちきりだった。この事態に県境警察は「根拠のないデマ」と一蹴したが、それがさらに口止め疑惑を加速させ、2021年12月24日に記者会見を行うと発表。それ以上の発言を控え、いかなる質問にも答えなかった。当日は厳重な警備体制が敷かれたが、内部協力者がいた可能性もあり、完全な検問は機能していなかったと後に指摘されている。そして12月24日、少し雪が降るクリスマスイブの日に、県境警察庁前の初代警視総監記念公園で会見が始まった。登壇したのは、県境警察67代警視総監オッサ・リードマン氏。20歳から県境警察に勤め、数々の事件の捜査に協力し、34歳にして県境警察一課長に就任。38歳の時にデントリー大学で起こった立てこもり事件で捜査指揮をとり、わずか12時間で犯人逮捕という快挙を成し遂げた。56歳になった現在でも第一線で活躍しており、市民からの評価も非常に高い人物だった。そんな彼は登壇直後、第一声を謝罪から始め、そこから事の経緯を話し始めた。以下が発言の全文である。「本日は、クリスマスイブという特別な日に、このような重大な会見を開かざるを得なかったことについて、まず皆様に深くお詫び申し上げます。2021年10月14日に発生したランドルト鉄道爆破事件は、我々県境警察にとっても未曾有の惨事であり、また犠牲となられた多くの方々、そしてご遺族の皆様に対して、改めて哀悼の意を表します。まず、事実関係からお伝えします。5号車で爆発が発生し、1号車から4号車は谷底に転落、多数の死傷者が出ました。6号車から9号車は横転したものの、全員が命を取り留めました。我々が現場に到着した際、線路上から爆弾の破片を確認しており、爆発による事故であることは初動の段階で明らかでした。しかしながら、その後の捜査過程において、5号車に乗車していた人物ワドル財閥会長の長男、ワドル・グリッド氏をめぐる様々な背景が浮かび上がり、事件が単なる無差別テロではなく、標的型の計画的犯行である可能性が高いとの結論に至りました。皆様が報道で目にされたように、グリッド氏には複数のトラブルが存在しました。マフィアとの金銭的対立、企業幹部や財界関係者との深刻な確執、さらには社会的に許されない行為の数々。これらが動機となり得ることは、我々としても認めざるを得ません。ここで、多くの皆様が最も関心を寄せている点について申し上げます。なぜ捜査が打ち切られ、事故として処理されたのか。これについて、県境警察は事実を隠してきました。否定しても世論の疑念は収まらず、その対応が更なる混乱を招いたことを、私はここで率直に認めます。捜査終了を促したのは、確かにワドル財閥からの強い要請によるものでした。理由は、『財閥内部の権力闘争に直結する要素が含まれており、事件の真相を追えば追うほど大陸全体の経済と治安に深刻な混乱をもたらす』というものでした。県境警察は、中立を旨とする組織であります。しかし、現実として我々は財閥の影響力を前に、完全に独立した捜査を全うすることができませんでした。これは、私の責任であり、組織の限界を露呈した重大な過ちです。最後に、本日をもって、我々は『ガス漏れ事故』という誤った公式見解を撤回いたします。この事件は、明確に『爆発物を用いた犯罪行為』であり、捜査の打ち切りは外部の圧力によるものだったことを、ここに明言いたします。今後、県境警察は監察機関の調査を全面的に受け入れ、必要であれば私自身も職を辞する覚悟で臨みます。亡くなられた方々とそのご遺族、そして真実を求める市民の皆様に、少しでも報いるため、できる限りの情報公開を進めてまいります。改めて、深い哀悼と謝罪を申し上げます。(銃声)」この発言後にリードマン氏は、記者団の中に隠れていた30代と思われる男に胸部を撃たれ、搬送先の病院で死亡が確認された。県境警察はすぐさまこの男を逮捕したが、口腔内に隠されていた毒薬を飲み込み、その場で自殺してしまった。この会見は全世界で生中継されており、映像が流れるとテレビ局に多くのクレームが殺到した。メディアはこの事件にすぐさま食らいつき、県境警察前には多くの取材陣が入口前に張り付き、出てくる警官全員にマイクを向けたが、誰も何も答えることはなかった。しかし、一人の警察官が匿名で週刊誌に文章を送ったのである。これがその文章である。「私は県境警察に属する一警察官に過ぎない。しかし、今日の会見とその後の惨劇を目の当たりにし、沈黙を守ることはもはや許されないと感じた。ここに記すのは、あくまで私個人の見解であり、組織の公式見解ではない。だが、真実を求める人々のため、どうか読んでいただきたい。まず、我々の内部では誰もが知っていた。ランドルト鉄道爆破事件が単なる“事故”ではないことを。現場で見つかった爆弾の残骸、爆風の痕跡、そして被害の状況。どれもが計画的な破壊行為を示していた。しかし、組織の上層部からは“調査を続けるな”との命令が下った。理由はリードマン総監が述べた通り、ワドル財閥からの強い圧力だった。私たちは、財閥と警察との力関係の前で無力だった。現場の刑事たちは真相を追いたかった。しかし、指揮系統は封じられ、証拠は封印され、報告書は書き換えられた。現場の声は握りつぶされ、従わなければ“職を失う”という恐怖が常に背後にあった。リードマン総監は、会見の場でその全てを暴露した。彼は自らの責任を認め、市民に謝罪した。私はその勇気を尊敬している。しかし、その直後に彼が撃たれ命を落としたことは、偶然ではないと考えている。犯人が誰の指示で動いたのか、なぜ毒を隠し持っていたのか。我々の誰もが心の中で答えを知っている。“ガス漏れ事故”という虚構を信じる者は、もういない。だが、真実を語ろうとする者は次々と沈黙させられる。この状況を変えなければ、犠牲者たちの魂は報われないだろう。最後に、私はこの文章を公開した後、身元を隠さざるを得ないだろう。だが、必ず誰かが真実を継いでくれると信じている。どうか市民の皆さん、この事件を忘れないでほしい。犠牲になった人々と、その背後に潜む闇を、決して闇に葬らせてはならない。」この文章が届くと週刊誌はすぐさま記事を作り大々的な見出しでこの文章内容を報じた。以下が記事の一部である。


【激震】県境警察内部からの告発文を入手!「真実を語ろうとする者は消される」


2021年10月14日に発生したランドルト鉄道爆破事件。公式には「ガス漏れ事故」とされてきたが、12月24日の会見でリードマン警視総監が「爆発物を用いた犯行」であり「外部圧力によって捜査が打ち切られた」と認め、直後に銃撃され死亡したことは記憶に新しい。この前代未聞の事件に関し、我々編集部は匿名の現役県境警察官から衝撃的な文章を入手した。以下はその全文である。


「私は県境警察に属する一警察官に過ぎない。しかし、今日の会見とその後の惨劇を目の当たりにし、沈黙を守ることはもはや許されないと感じた。(中略)“ガス漏れ事故”という虚構を信じる者は、もういない。だが、真実を語ろうとする者は次々と沈黙させられる。犠牲になった人々と、その背後に潜む闇を、決して闇に葬らせてはならない。」

この文章が事実ならば、事件の真相は依然として隠蔽されており、しかも内部告発すら命懸けであることを示している。リードマン総監暗殺の背後に財閥の影があるのか、県境警察内部に協力者がいたのか。現時点で確証はない。しかし一つだけ確かなのは、この国における「真実を語ること」が危険行為になっているという事実だ。


この記事が発表されるとSNSで急上昇トレンド1位を獲得し老若男女世代を問わずこの話題に関心を持ち各種メディア、SNSで白熱した議論がされた。県境警察はこの文章がデマであると説明したが、それでは対応しきれないスピードで情報が伝わり県境警察も隠し切れず、週刊誌に捜査令状を出し文章の原本を探し始めた。しかしどこを探しても原本は無くパソコン内も調べたが結局発見は出来ず捜査を終了した。実は原本は5つのパーツに分けられており、5つ揃えパスワードを完成させなければ原本の入っているファイルにたどり着けない仕組みにしてあったのだ。1つ目は匿名の警官に2つ目は編集長の自宅クローゼットに3つ目は週刊誌本社内のシャープペンシルに4つ目は行きつけのバーに5つ目は記者の車の中に隠し、見事に隠し通したのだった。週刊誌はこの一件も記事にし発表。世間に対する県境警察に対する不満がたまり、遂に県境警察前に国民が抗議デモを行い始め週刊誌もこれを煽り、県境警察と市民の更なる断絶を招いた。2021年12月31日、年末にも拘らず抗議デモは続き市民は武装化を始め県境警察も手に負えなくなってきていた。そんな激化した状態に週刊誌は更なる爆弾を投下した。内容は「県境警察、市民を殺害する」というものだった。これはフェイクニュースである。しかしこれを噓か誠か判断することもなく、市民は遂に銃を装備し警察官に対し発砲をし始めたのだった。そして歴史に残る大事件が起こった。2021年12月31日23時55分、一人の市民が機動隊の中に爆弾を投げ爆発。機動隊4名が死亡、その勢いで市民が県境警察庁内に突入し警察官を次々に暴行、拘束、殺害し県境警察を乗っ取ったのだ。そしてこの大事件を週刊誌は「年末の大惨事、県境警察陥落か」と報じた。県境警察を陥落させた市民たちは庁内に立てこもり大陸中の警察が県境警察庁を包囲し3週間の攻防の末、機動隊が扉を破壊し立てこもっていた市民340人全員を逮捕し発砲してきた35人を射殺しこの事件は終わった。隠れていた市民も全員スムーズに逮捕でき県境警察庁は無事に奪還できたのだった。何故突入した機動隊や警察が市民をスムーズに逮捕できたのかというと、週刊誌の編集長が市民の中にいる記者から情報をもらい警察に送っていたのだった。週刊誌はこの件に関してお咎め無しに終わり、この事件以降も何事もなかったかのように活動していた。ワルド財閥はこの事件を真摯に受け止め全ての事業を停止、被害者家族に謝罪をした。この最悪の結果で終わってしまったこの事件だがまだ続きがあるのだ。この事件は始めから仕組まれていたのだ。実はワルド財閥は県境警察が邪魔で仕方無く、致命傷を与えるための作戦を考えていた。そこで週刊誌編集長ポンデ・リングに話を持ち掛け今回の事件を引き起こしたのだった。影響力のある週刊誌を使い市民に暴動を起こさせ見事に県境警察を崩壊させる事に成功したのだった。このことは誰にも知られることは無くこの事件は幕を閉じるのだった。

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