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年賀状の利用方法

作者: みずき
掲載日:2025/12/02

 その年賀状が届いたのは、いつもととりたてて変りのない年末年始を迎えた一月三日。

 私に届く年賀状は友達からの年始の挨拶ぐらいだろうと思っていた。

母が郵便受けから持ってきて、私の分だと言って渡してくれたそのハガキの中には、取り繕いのない素のままの文字が並んだ年賀状が一枚混ざっていた。


(誰からだろう?)


 そう思いながら住所と名前を見て疑問が深まった。

 それは一度しか会ったことのない人からのものだった。

 


 一年半前、次の連休を利用して二泊三日の旅行を計画していた私と友人は、旅費を安く済ませるために独り暮らしをしているという、友人の幼なじみの部屋を宿泊先に選んだ。

 部屋を提供してくれた彼は女性が二人で押しかけるというのに、快く了解してくれたので甘えることにした。

 それが私と彼(高野)との出合いであり、それがきっかけでその後私達は付き合うこととなった。


 

 その旅行の二日目、彼の案内で横浜へ行くことになったとき同行したのが"この人"だった。

 そんな一度会っただけの"この人"からの年賀状にはこう書いてあった。


(あけましておまでとうございます。今年もよろしく。

  初めて会ってから一年以上が経ちましたが元気ですか。

 高野はもう結婚したけど……)


 ーー高野はもう結婚したーー


それ以外は頭に入ってこなかった。


 "この人"が私に年賀状を送ってきた理由は彼の結婚を知らせるためのものだった。

そしてそれを彼が"この人"に頼んだということ……でなければうちの住所を知るはずがなかった。


 ズキン!と強く深い胸の痛み……その言葉に衝撃を受けている自分に戸惑った。


 何となくそうかもしれないと気付いていても見ないようにしていた現実。

 それをこんな形で知ることになったことに対する怒り。


 この動揺を家族に知られたくない私は気持ちを整理するべく誰にも会うことがないどこかへ行くため、急いで着替えて車を出した。


 目的地もなく車を走らせてはいたけれど、知らないところまでは行けなかった。

いつものドライブコース。その道すがらにある高台の駐車場。

 私は市街地を見下ろせる所に車を停めて景色を眺めた。

 

 涙が流れた。

 

 彼のことで涙を流している自分がイヤだった。


 それでも流れるその涙ですべてを消し去り、何も無かったことにしたかった。

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