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霧恋エスカレーション  作者: 美飾時矢
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第五話 陰謀

 晴れた日だった。空の青さがきれいで。


 会社の屋上に、亮と友理奈がいた。


 時折、そよ風が頬をかすめていく。



 亮は、妬みを買い、社内の人間に罪を背負わされた。

 いったい誰が?

 奥田商事の中央情報局と呼ばれる清掃スタッフの一人が友理奈。

 友理奈は知り得た情報を亮に話した。


「あなたの推測通り、警備員からの情報だから間違いはない」

「そうか」

「悔しい? はめられて?」

「大したことじゃない。でも、借りは返す」

「どうするの?」


「その前に、なんで、情報提供の場所がここでなんだ?」

「会社の屋上?」

「話せる場所は他にも……」

「はめる、はめられたなんて……そんな汚い話でも、この景色が浄化してくれる」


 友理奈の瞳には、視界いっぱいに広がる街の姿。

 人の生きる様子が絵のように見えている。

 友理奈の瞳に濁りはなかった。亮は、そんなふうに思った。


(この女は、いったい???)


「感謝するよ」

「お礼なんて、似合わないよ」


「この話はもう忘れていい。ここからは俺の問題、俺自身で決着をつける」

「酷いことはしないでよ。この会社、私の職場でもあるんだから」


「なんで清掃員を?」

 亮はさりげなく訊いてみた。


「きれい好きだから」

 とぼけた回答だった。


「はぁ?」


「私のことより……無理をしないで、まだ会社辞めてほしくない」

「仕返しはきっちり……正面玄関に首をさらしてやる。戦国時代みたいに」

「ちょっと、自分の目的を忘れないで」

「そうだな」


(なにをするのかわからないのは私と同じ……同じ匂い……出会いは、そんな言葉から始まったっけ)

 友理奈は仕事にとりかかろうと動いた。


「また、頼む。情報提供」

 亮もまたオフィスに戻ろうと動く。


「私を、ただで利用しないで」

 と、亮の背中に叫んでみた。


「今度、タツノオトシゴの串焼き、食わせてやるよ」


「ちょっと、やめてよ」

 亮の姿は消えていた。



 仕事を終え、部屋に帰った亮。

 ミスはあったものの、得意先からの受注は増えている。

 明日の自分を想像してみたりもした。


 梨緒が紙袋を持って部屋に入ってきた。

 冷蔵庫にビールと緑茶を入れておいた。

 代わりに冷えたビール缶を手に、ソファーに座った。


「休日は、なにしてるの?」

 しばらく二人だけの時間がなくて、梨緒は寂しそうに言った。


「別に」

「聞いてる。社内でも女子に人気だって」


(妬いているのだろうか? 弟だぞ)


 梨緒のスマホに着信の通知。


「お母さんから」

 と言って、 母・美和子からのメッセージを読んだ。

「今日と明日は、家に戻るって」

「社長は忙しんだな」


「二人っきりになれないね」

「姉と弟でベタベタしても」

「そうだけど……会社で困ったことでもあったら言ってね。これでも常務なんだから」

「ありがとう、姉さん」


(言われなくても利用させてもらうよ)


「僕もビール」

 と言って、冷蔵庫に向かった。


 夜の銀座。

 クラブで陽気に酒を飲む五十嵐と清水がいた。


「どうやって、会社から追い出してやるか」

「作戦、その二ですね」


「悪だくみですか?」

ホステスが会話に入る。


「なんでもない。それより特別ボーナスが入ったんだ。今夜は楽しもう」

喜ぶホステス。



亮は、ミストボックスにいた。


自分をはめた男たちの弱みを握る。

そして、逆に追い詰め、追い出す計略だった。


ハッキングも容易に行えるこの集団の力をうまく利用しなければ。


亮はいつも考えている。

目的を果たすためなら、なんでも利用する。


裏社会の人間でも、自分に好意を寄せる女でも。


「ターゲットの社員、中堅商社のサラリーマンにしては、よく遊んでいる」

メイコはかなりの情報をつかんでいるよう。

「どこから遊ぶ金を?」


「仕入れ先からの請求を水増ししていることがわかった」

「さすが、こんな短期間でそれを調べるなんて」


「差額を自分の口座に入金させているわね」

 と、資料を見せる。

 相手先企業から入金口座まで、詳細に調べ上げている。


「これだけ証拠があれば」

「本人たちは、素直に認めないかも」

「関係ないね。俺には社長の娘で常務取締役がついている」

「思いのままというわけね」


 亮は資料をもとに、二人の社員を追い詰める作戦に動いた。

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