第三十一話 勝利の美酒ははコーヒーで
「さて、ラストのボスは、どんな強敵で?」
亮が鎖ガマを手に、デーマに歩み寄る。
「来るな、恐ろしいことになるぞ」
と、震えている。
「どんな技で? 魔術でも使って、俺を倒すか?」
「助けてくれ」
「命が欲しければ、教団は即刻解散」
「みなさまは、どのようなお方様で」
「ミストビーストだ」
「ミスト……?」
「闇社会の最大勢力……逆らって、生き延びた組織はない」
腰を抜かすデーマ。
「二度と姿を現すな。でなければ、髪の毛一本残さず消し去るのみ」
と、カマでデーマの頭上を切る。
ヒィィィーー
髪の毛が切れて床に落ちた。
「は、はぁぁぁ」
将軍に謁見する家臣のようにひざまづくデーマの哀れな姿。
教祖の肖像画が燃やされる。
教団の看板は外された。
奥田商事、社長室。
新店舗のコーヒーを飲みながら、社長の美和子と話す常務の梨緒。
「どう? お母さん」
「美味しいじゃない」
「亮からのプレゼントよ」
「そうなの」
亮の名を聞いて、不愛想にそっぽを向く美和子だった。
にぎわう街の一角。若者が多く行き交う。
奥寺商事の社員が集まっている。
コーヒー店のオープン初日だった。
店頭に祝いの花が並ぶ。
店内は、コーヒーの味を楽しむ客で満席状態。
少し離れた場所で、客入りを見ている亮と春馬。
「これから、2号店、3号店と店舗を増やしたい」
春馬はプロジェクトの成功を実感していた。
「そうですね」
二人は笑顔だった。
亮は奥寺商事に戻った。
屋上には、友理奈がいた。
新店舗のコーヒーをカップに入れて友理奈に手渡す。
「どう? 新商品」
「こんな場所でも手軽に飲めるっていいかも」
「味は?」
「私好み」
「そうか」
不思議な関係。
お互い、そんな思いで、遠くの景色を見つめていた。




