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霧恋エスカレーション  作者: 美飾時矢
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第二十五話 父親の照明

 屋上で、友理奈と会う亮。

「コーヒー、ごちそうさま」

 友理奈は遠くの景色を見ながら言った。

 相変わらず、なにを思っているのかわからない。

「情報提供の礼だ」

「きっちりしているのね」


「で? 係長は?」

「あなたの推測通り、根っからの悪党ではなさそうね」

「一緒に仕事して、俺もそう思った」

「今回のプロジェクトにかけているのかな? 家族の未来を?」

「家族?」

「あとはご自分で」

 友理奈はコーヒーを飲み干し、カップを握りつぶした。



 係長の池上は、テーマパークで、家族と一緒にいた。

 広場のテーブル席、小学生の子供と妻に食事を運ぶ。

 家族思いの父親の姿があった。

「ジュース飲むか?」

「うん」



 池上がジュースを買いに来ると、

「係長?」

「石清水君?」



 亮と池上は場所を変えた。

「家族サービスですか?」

「父親の権威を保つのも楽じゃない」

「なにかあったんですか?」

「以前、息子の運動会で」

「運動会?」

「息子とのリレーで転んでしまってね。それからしばらく息子の様子がおかしくなって」

「最下位になったことをお父さんのせいだと?」

「それからなんだ。どうにかして息子にいいとこみせたいと」

「それで、家族サービスを?」

「高級な食事をしたり、おもちゃ買ってあげたり、少しずつ息子の気持ちも変わっていった」

「そんなの偽りの愛情じゃないですか?」

「え?」

「だって、そのお金は正しく得られた金じゃない」

「調べたのか?」

「裏企業と組んでいますよね」

「会社に言う? それとも警察に」

「裏にいるのは大きな組織だから、安心しているんでしょうね?」

「今回のプロジェクトに参入することで、私の地位も保障されている」

「息子さんの将来はそれでいいんですか? 裏ビジネスに加担した父親の金で育ったなんて、後に知ることになったら。父親は、正しく生きる姿を見せるべきです。今はわからなくても十年、二十年したらきっと価値が生まれるはず、息子さんの人生において……」

 考え込む池上、遠くの息子と妻を見ていた。



 その夜、亮は梨緒と部屋にいた。

 ソファーに座り一日を振り返る亮。

 池上には偉そうなことを言ったが、自分はどうなんだ……目の前の姉もだましているのに……。

「どうしたの? ボーとして」

 梨緒が紅茶を入れ、隣に座った。

「悩んでいることがあるなら姉さんに相談してよね」

 梨緒は優しかった。


 亮は、梨緒の膝の上に頭をのせて横になった。


 梨緒は、弟の横顔がかわいく思えていた。


 店舗企画部。

 その日、池上は無断欠勤していた。

 亮が電話をする。

 やっとつながった。

「息子が……」

「今どこに?」



 池上は自家用車で息子を探していた。

 研吾のバイクに乗り、亮が追いついた。

 亮は池上の車に乗って話を聞いた。

 池上は、プロジェクトから降りたいと願い出たため、秘密を知る組織に狙われることとなってしまった。

 誘拐された息子のため、警察には行けない。

「僕に任せてもらえますか?」

「でも……」

「係長に本当の父親らしくなんて、偉そうなこと言った僕にも責任があります」

「相手は裏社会の……」

「僕を信じてください」

 池上は亮に頼ることにした。

 子供が捕らえられている画像を、ミストボックスに送信する亮。

 ミストボックスの情報網で、その場所は突き止められた。



 研吾の運転するワゴン車には、亮とリリカが乗っている。

「子供を誘拐するなんて許せないわね」

 と、リリカ。

「子供の安全が第一、保護するまでは相手を殺すなよ」

「わかっている」


 港に大型の貨物船が停泊している。

 研吾の運転するワゴン車が停車した。

 コンテナが積まれた倉庫の数々。


 ん!!

 気配を感じたリリカ。銃を取り出そうとするが、

「待って」

 亮が制止する。


「俺だよ」

 句会堂天明だった。


 倉庫前、体のがっちりした男たちが行き交い、一般人の進入を妨げているようだった。


 貨物の影に隠れて接近する亮とリリカ。

 相手が気づいた時は遅く、速攻で攻撃する

 外の男たちが一瞬で倒される。

「弱すぎる」

 と、素手で簡単に倒したリリカ。

「おまえが強すぎんだよ」

 亮が呆れ顔で言った。


 子供は倉庫に監禁されていた。

 鉄製の扉が閉まっている。

「派手にいこうよ」

 リリカは、内ポケットから小型の爆弾を取り出す。

「戦争する気か?」

 と、天明。


 爆発して扉に穴が空いた。

 突入するメンバー。


「なんだお前たちは」

 子供が目隠しされ、銃を突きつきつけられている。

「子供を返してもらいにきた」

 シャルム兵団、ガボット他、数人が立っている。

「男二人と女一人……甘くみられたもんだな」


「素手で十分だろう」

 剛腕そうな男が一人で向かてくる。

「面白そう」

 と、リリカ。

「おい、無茶するなよ。相手は人間だ」

「軽く眠ってもらうだけ」


「ごちゃごちゃなに喋ってる」

 男が拳を振り上げ打撃の態勢、リリカは得意の格闘術で、相手の腕に足をからめる。

 そのまま倒し、首を締め上げた。

 泡を吹く男。意識を失った。


 ガボットの顔色が変わる。

「素人じゃないな」

  戦いに気をとられている間に、句会堂天明が子供を助けている。

子供に銃を向けていた男はすでに気を失っていた。


「一斉にかかれ」

 男たちが襲ってくる。

 亮、リリカの打撃、蹴りが炸裂。

 ナイフを取り出す敵も、俊敏な動きでかわしながら叩きのめしてしまう。


 逃げていくガボット。


 入れ違いに研吾が入ってくる。

「貨物船に逃げ込むみたいだ」


「研吾、子供を安全な場所に」

「うん」

 子供を研吾に任せ、外に出る亮、リリカ、天明。

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