第二十二話 再始動
奥田商事、厨房では試食会の準備が行われていた。
天然にこだわった食材の数々。
料理研究家の片桐紗代が監修していた。
田向農家から仕入れた卵も料理に使われている。
テーブルに運ばれる料理。
亮や田向夫妻もいた。
小泉和香、辻谷恵美、藤沢千奈美が、微笑みを浮かべている。
池田拓海と皆藤正の男性社員も試食しながら意見を述べる。
別の席には、執行役員で統括の野上誠也、常務の梨緒。
そして、梨緒の誘いで社長の美和子も、試食に参加した。
「社長、今回も石清水さんの活躍があったようですよ」
他の社員に聞こえないよう、小声で話す梨緒。
「そうなの」
と、無関心に料理の箸を伸ばす美和子。
「この卵は自然に近い形で飼育された鶏が外で産みました」
「確かに味が全然違います」
と、野上。
「これも石清水さんのお手柄です」
「美味しいわね」
美和子は、不愛想に感想を言った。
メンバーの席は、社員同士楽しそうに語らいが続いていた。
時の流れに停止線はなく、見えない時間が流れゆく。
ミストボックス……まさになにが飛び出すかわからない謎の団体。
亮が、地下格闘技場にいた時に、その存在を知り、野望を果たすために利用している。
裏社会から闇の隅まで、様々な情報が集まる霧の箱。
団体に対して深く踏み込むことが禁じられており、特殊な存在と噂される団体代表の姿を見た者はいない。
亮の担当は、エージェントの桑名メイコ。
喜怒哀楽の薄い女。そんなイメージのメイコに、亮は珍しく呼び出された。
経済産業省の内部で不穏な動きがあるという。
大きな組織も背後で動き、新しいビジネスモデルが計画されている。
「商品やサービスの購入で受け取れるポイントってあるでしょ」
「ああ、俺もポイントカードをいくつかもっているけど」
「そのポイントを売買するポイントベンダーというビジネスを計画している」
「でもポイントって、業種も様々で、多くの企業が参加しているから、それを一カ所に集めるなんてかなりの根回しが必要、場合によっては法改正だって」
「それを経産省主導でやれるとしたら?」
「大きな組織が動いているってことか」
「動いてくれる?」
亮は黙った。
「たまには、こちらに利用されるのも悪くないかも」
メイコの視線!!
「わかった。いままでの借りもあるからな」
「よろしく」




