第十九話 友理奈の危機
亮もまた、ミストボックスから政治家の情報を聞き出していた。
さらに、友理奈が危険であることも……。
亮はすぐに研吾に連絡した。
歩道で待っている友理奈、小山内がバロンの手下とワンボックスカーで迎えに来た。
この時、まだ友理奈は小山内の正体を知らずにいた。
小山内の隣に座る友理奈、車は走り出した。
「どこへ行きましょうか?」
「どこがいい?」
「美味しいお店に」
はっ!!
(この男が……)
「なにを嗅ぎまわっている」
ナイフの先端が、友理奈の腹に向かっていた。
亮は研吾の運転するバイクに乗り国道を走った。
小山内の別荘。
プール付きの豪華な別荘だった。
部屋の中では後ろ手に縛られる友理奈がいた。
小山内が威圧した態度で迫る。
黙っている友理奈。
「なにも喋らないから」
「野望を抱く男たちを相手にしているだけあって、いい度胸だ」
小山内は煙草に火をつけ、友理奈の顔に近づける。
「やめて」
「顔に傷がついてもいいのかな」
「近づかないで」
「灰皿の代わりにはもったいないほど美しい顔だ」
首を横に振る友理奈。ゆがんだ顔を見て喜ぶ小山内だった。
そこへ、手下の男が駆け込んでくる。
「先生!!」
「なんだ!!」
「逃げてください!!」
外で、大きな音がする。
亮と研吾が、男たちを投げ飛ばしていた。
亮と研吾が部屋に入ると奥のプールで水の音がする。なにかが投げ込まれたような。
亮と研吾、プールに走る。
友理奈が投げ込まれていた。
「友理奈!!」
飛び込む亮。
プールサイド、亮は友理奈を助け上げるが、意識がない様子。
「研吾、救急車!!」
亮は、友理奈の縄をほどいて、心臓マッサージを始める。
研吾の端末は電波が届いていなかった。救急隊に連絡するため、部屋の固定電話を探しに行く。
亮は、必死で心臓マッサージをするが、友理奈は目を覚まさない。
「仕方ない」
と、人工呼吸を決意。
唇に触れた瞬間
ん???
亮は唇を離した。
「まさか???」
「おまえ!!」
嘘だった。
友理奈は、ゆっくりと目を開けた。
(唇の感触……)
その感触を求めていた。
「いい加減にしろよ」
亮は、友理奈を起こした。
「溺れかけたんだから、もっと優しくしてよ」
「溺れるのは、恋だけにしろ」
「こんな時に、そのセリフ?」
「心配させやがって」
(ありがとう、助けてくれて)
友理奈は、無表情だった。
(心は覗かれたくない)
……




