第十七話 悪の気配
亮が帰宅すると、梨緒はリビングにいた。
「お母さん、ホテルだから、食事しようよ」
どうしても二人きりになりたい梨緒だった。
二人は、ダイニングで注文したピザを食べた。
「口にソースが……」
梨緒は、亮の口を拭う。
(亮と、こうしていると幸せ)
(でも、実の弟……私たちが……なんて……ありえない)
梨緒は、心を読まれないよう、静かに思った。
リビングに移り、二人でテレビを見ている。
「これ、心配じゃない?」
梨緒は、ニュースを見て言った。
【鳥インフルエンザか? 鶏を雑処分】のニュースだった。
養鶏農家を訪れたばかりの二人、気になるニュースでもあった。
プロジェクトに影響がなければいいけど……。
亮と梨緒は同じ不安を抱いた。
その頃、料亭では、政治家・小山内伸二と、裏組織バロン集団・鷹丈と須垣が密会していた。
「養鶏場の建設も順調で」
「他を排除し、独占できれば、価格の操作も可能に」
「ウィルスで自滅というシナリオはないだろうね」
「大丈夫、組織の養鶏場は厳重に隔離されている」
「あとは、当局に怪しまれぬよう」
「その辺は、先生の政治力で」
「わかっている。その代わり見返りを期待している」
「もちろん」
「政治には金がかかる。頼むよ」
悪徳政治家と犯罪組織との密談だった。




