第十話 悪を倒す救世主
亮はミストボックスを訪れた。
いつものように、エージェントのメイコが詳しい調査をして資料を準備していた。
ビューアスタッフは、裏社会ともつながり、コンパニオンを利用して、社員から会社の秘密を手に入れていた。
その秘密を使って、様々な形で金に換えていた。
千秋のブースは河東食品。
河東食品は大豆や乳製品を原料とした商品開発をしている大手企業。発表前だが、今回消費期限を従来の三倍に延ばせる新商品の開発に成功した。
新たに海外に製造工場を作り、世界展開するらしい。
「公表される前に株を買えば……」
「インサイダーか」
「その女性は確かな情報を手に入れるため重役に接近した。いえ、させられたんでしょうね」
「まだ、間に合いそうだな」
「救える? その女性たちを」
「それがこの団体の目的の一つなんだろ? だから俺に協力する」
「余計な詮索はしないこと」
「そうだったな」
亮が帰ると、メイコは代表に報告した。
絵画や彫刻に囲まれた部屋。生花の香りが漂う。
豪華な椅子に座り、背を向け窓の外を見ている代表。男か、女なのかもわからない謎の人物だった。
亮の動きについて説明した後、
「真壁友理奈については、このままで?」
と、お伺いを立てた。
フェスタ会場、河東食品ブース。こちらも多くの来場者が集まっていた。
重役の姿、その隣に千秋が立っていた。
亮がブースに入り、見学する。
千秋と目が合い、会釈した。
企画部係長・猪瀬満が、営業部社員と得意先を案内して他社ブースを見学している。
自社ブースに戻った亮。
「今回のフェスタって、新商品やアイデアが多くて勉強になりますね」
真奈美が笑顔で亮に言った。
「僕も新しい商品のアイデアとか、興味を持ちました」
「これがきっかけで、開発関連の部署に異動とか?」
広報の樋口由紀恵が言った。
「それは困ります。石清水さんは、ずっと3課にいてほしい」
体を寄せる真奈美だった。
やれやれという顔をしている亮。来場者対応に忙しそうな京子に視線を移動した。笑顔で応対しているが、どこか不安を抱えているようで。
「今日は、終了後にみんなで反省会とかします?」
由紀恵の提案だった。
「ごめん、ちょっと」
「またキャンセルですかぁ~」
不満そうな真奈美。
夕方、業務を終了し帰宅する京子がいた。
駅を降りて、自宅まで歩き始める。
その背後に、黒のワンボックスカー。京子の後をゆっくり走った。




