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おっさん、軍神として降臨す  作者: 波 七海


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第73話 三国干渉

■中央ゴレムス暦1583年1月15日

 ガーレ帝國 ツォルフ


 ガーレ帝國の呼びかけに応じた列強国はヴァルムド帝國だけでエレギス連合王国は不介入を意思を伝えきた。そのためガーレ帝國は周辺の準列強国にも使者を送り、東ディッサニア大陸の安定のためにと音頭を取ってメンバーを集めたのだ。


 この帝都ガレの西にあるツォルフの街にヴァルムド帝國、準列強国であるガヴァリム帝國とスパーナ、グランディア帝國の大使が顔を揃えていた。


 口火を切ったのはガーレ帝國の外務大臣スレイリンであった。


「東ディッサニア大陸で周辺の安定を脅かす存在が現れた。アウレア大公国だ。彼の国はバルト王国に侵攻しその南部サースバード地方を奪い取ったばかりか、隣国ガーランドにまでちょっかいを出そうとしている。我が国はこれを憂慮し批難声明を出そうをしている。貴国らにもそれに加わって頂きたい」


 実際にガーランドにちょっかいを出そうとしているのはガーレ帝國なのだが、面の皮が厚いのが列強国たる所以ゆえんである。


「アウレアはその大層な名前とは裏腹に単なる小国だろう。放っておいても構わないのでは?」

「アウレア大公国もバルト王国も取るに足りない国家だ。何故、列強たる貴国が心配する必要があろう?」


 ガヴァリム帝國とスパーナの外務卿が疑問を呈すのも当然のことであった。

 かつては大国だったとは言え、アウレアは過去の栄光から見るとあまりにも小国であった。今回の会議に参加したのは外向的配慮からである。


 カヴァリム帝國はガーレ帝國の西を接する隣国であり、スパーナは更に西に位置する準列強国であった。

 グランディア帝國はディッサニア大陸のすぐ西にある大陸で多くの国家が植民地化されている中、準列強国として独立を守っている大きな国家である。


「我が国はアウレアとは離れている、彼の国はそれほど危険な国家なのですか?」


 グランディア帝國の外務長官ドラグニカは尊大な態度の大使が多い中、丁寧な口調で問うた。国が離れていることもあって、彼は単純にアウレア大公国の知識が少なかった。


「危険な国家だ。かつて〈狂騒戦争〉を起こし世界を戦禍に撒き込んだばかりか、近年になってまた軍事行動を取り始めた野蛮な国家だ。捨て置くことはできない」


 ドラグニカもドラグニカで知らないと言うことは侮られるとは分かっているが、無知をさらすのを覚悟で聞くのを止めない。


「〈狂騒戦争〉とはそんな大戦だったのですか?」

「(最近台頭してきた新興国が……そのようなことも知らんのか)レーベテイン王国の友好国であったアウレア大公国はヴァルムド帝國とレーベテインの小競り合いに突如として介入した挙句、ヴァルムド帝國に侵攻した。その後、レーベテインが内部崩壊と外圧で滅亡し分裂したが、戦争を止めず当時の同盟国の我が国が参戦した。しかしアウレアはレーベテインの末裔のラグナリオンやバルトとも争い始めた。そこで座視できぬとエレギス連合王国が参戦し世界大戦に発展したのだ」


 スレイリンは遠い目をしてかつてを思い出すかのように滔々と語り始めた。

 大戦当時、彼は生まれていないのだが。


「(レーベテイン王国?)ふむ。凄まじい国家ですね。ほとんど一か国だけで世界を相手どって戦ったと言うことではありませんか……」

「その通り! 此度も我々の平和的な措置をありがたがることもなく、戦争を初めている。またあの惨禍を繰り返す訳にはいかないのだ」


「しかし、エレギス連合王国が不参加とはな。珍しいこともあるものだ」


 エレギス連合王国は世界の宗主国を気取っていることが気に喰わないヴァルムド帝國の外務卿ブリュネルは彼の国の大使がいないのをいいことに愚痴り始める。


「大方、アウレアに美味い話でも持ち掛けられたに違いない」


 サースバード以南は重要な土地ではあるが、現在はそれほど商業的価値はない。エレギス連合王国が不参加なのは単に取るに足りない出来事だと思っているだけなのだが、ブリュネルは気に喰わないようだ。


「エレギス連合王国はともかく、サースバード地方がアウレアの物になれば、そこを通って西に出ればヘリオン平原へ、北上すれば我が国へ、東進すればガーランドへ出る。我が国もヴァルムド帝國にも良いこととは言えまい」


 ラグナリオン王国を狙うヴァルムド帝國としてもそれは頂けない。ラグナリオン王国とバルト王国のヘリオン平原の戦いでアウレア大公国はラグナリオン王国側についた。侵攻の邪魔をする可能性は否定できなかった。

 スレイリンはそこを刺激する。


「我が国は介入に賛成だ。アウレアは放っておくと何をしでかすか分からん。東ディッサニア大陸の安定化には必要なことだ」


「それでは我が国も賛同しよう。ガヴァリム帝國は平和を愛する民族だ」


 ラグナリオン王国が聞いたらどの口が言うのかと思うだろう言葉を吐いてヴァルムド帝國とガヴァリム帝國がガーレ帝國の意見に賛同する。


 スパーナとグランディア帝國は特に賛成する必要性を感じなかったようでそれには加わらなかった。スパーナは海軍を上げて海外進出の途上であり、グランディア帝國にとっては遠い地の話であったためである。

 それだけではない。グランディア帝國のドラグニカとしては新興国故に列強国たちとの干渉に名を連ねることの意味を考えたが、列強国のような傲慢な国にだけはなるまいとする国家の意向に沿う形で見送ることにしたのだ。


 結局、話はガーレ帝國の発議によって列強国のヴァルムド帝國と準列強国のガヴァリム帝國の賛同を得る格好になり、この三国で既に決着済みのアウレア大公国とバルト王国の和議に介入することとなった。


 要求はバルト王国へのサースバード地方の返還である。


 人々はこれを三国干渉と呼んだ。


 アウレア大公国は後日、この要求を呑み、ガーレ帝國に対して臥薪嘗胆を期すこととなるのである。

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