第58話 おっさん、戦力を強化する
■中央ゴレムス暦1582年11月29日
アウレア サナディア領 ウェダ
おっさんは忙しい中、信頼できる主だった者を集めた。
集まったのはいつものメンバーである。
ノックス・ブライフォード
ドーガ・バルムンク
ガイナス・キリング
ベアトリス
ジョン・ボンジョヴィ
他にも股肱の臣はいるのだが、おっさんがこの世界に来てから力を与えるに相応しいと思われる者が彼らだったと言うことだ。
おっさんは上段の間に、家臣たちは下段の間に胡坐をかいたり、正座をしたりして座っている。ちなみに特に座り方を強制している訳ではない。
戦国好きのおっさんとしては何とも寂しいところだが、慣れてもらうまで我慢するのだ。
「今日集まってもらったのは他でもない。諸君らに力を与えようと思ってな」
「力……ですか? それは一体……?」
ノックスはいつにないおっさんの態度に困惑している。
「力が欲しいか? 力が欲しいか? 力が欲しいなら……くれてやるッ!」
おっさんはどこかの漫画よろしく力強い言葉を投げ掛ける。
ノックスとガイナスがそれを見る目は南極の風のように冷たい。
行ったことなどないが。
「力と言うのは、そのままの意味だ。諸君らに指揮官としての権限を与えることで使えることができるようになる」
いいからもったいぶらず速く言えよと言わんばかりの視線におっさんは涙目になりつつ、説明を続ける。
「力には【個技】と【戦法】と言うものがある。諸君らはそれを言葉にする、あるいは念じることによって使用することができる。」
「一体何の話をしているんだ?」
「いいから聞いとけって。すぐに分かる」
ガイナスの疑問にドーガがナイスなフォローを入れてくれた。
「【個技】は主に個人の能力を大幅にUPさせるもの、【戦法】は自身だけでなく部隊全体の力をUPさせるものだ。それを使えれば戦で有利に戦うことができるだろう」
「そのようなものがこの世に存在すると申されるのですか?」
ボンジョヴィもどこか懐疑的な視線をおっさんに向けている。
その言葉の中にも大丈夫かこいつと言った感情が含まれているのでおっさんとしては非常にいたたまれない。
「既にドーガくんには力を付与済みだ。今回は信頼する君たちに付与して戦力のUPを図るのが目的だ。俺なりに付与する力を決めてきたので受け入れてくれ。後ほど練兵場で実践してもらうからすぐ理解できるだろ」
ドーガ以外は未だ話がよく分からないようでお互いに顔を見合わせて戸惑っている。その中でボンジョヴィはすぐに1人だけ受け入れて落ち着いていた。
これ以上言っても伝わらない。
百聞は一見にしかず。百閒は一行にしかずである。
とにかくやってみろと言うことだ。
おっさんは持っていた宝珠やカードを取り出すと1つずつ使用していく。
その度に誰かしらの体が光り輝くので皆、驚いていた。
「このアイテムは俺しか使えない。何か困ったことがあったら言ってくれ」
こんな言い方をしたが、単におっさんにしか使えないことを釘を刺しただけだ。
皆に力を与えた結果このようになった。
◆名前:ノックス・ブライフォード
◆称号:副官
◆指揮:☆☆☆
◆所属:倶利伽羅軍
◆個技:豪傑(肆)、副将の決断(弐)
◆戦法:剣兵突攻(参)、全兵の強撃(肆)
◆等級:現地人(N)
◆名前:ドーガ・バルムンク
◆称号:副官補
◆指揮:☆☆
◆所属:倶利伽羅軍
◆個技:一騎当千(弐)、闘将の神髄(弐)
◆戦法:騎兵突撃(肆)、一斉攻撃(参)
◆等級:現地人(N)
◆名前:ガイナス・キリング
◆称号:将校
◆指揮:☆
◆所属:倶利伽羅軍
◆個技:一騎当千(参)、堅守鉄壁(弐)
◆戦法:剣兵突撃(参)、騎兵猛撃(参)、神速雷光(弐)
◆等級:現地人(N)
◆名前:ベアトリス
◆称号:将軍
◆指揮:☆☆☆☆
◆所属:倶利伽羅軍
◆個技:無双(伍)
◆戦法:精鋭攻撃(参)、連携攻撃(弐)
◆等級:現地人(N)
◆名前:ジョン・ボンジョヴィ
◆称号:軍師
◆指揮:☆☆☆
◆所属:倶利伽羅軍
◆個技:烈攻の閃き(弐)
◆戦法:鬼謀(参)
◆等級:現地人(N)
各武将の【個技】と【戦法】のレベルがまちまちなのはカードの差である。以前に、毎日1枚ログインボーナスのような感じで入手していたのはレベルを上げるために必要な素材だったのだ。多めに持っていた者で、かつレベルアップに成功した者が高レベルになっている。レベルが上がるに従って必要になる枚数も増えるので上げるのには苦労しそうだ。他にも入手方法がないか調べてみたいところである。後、他の使い道もあるかも知れない。
宝珠は領内の至るところを探した結果、見つかったものである。付与するには確率があるので、失敗したものも合わせれば多く集まった方だとおっさんは考えていた。
ちなみに青銀の宝珠は使用しなかった。
誰に使うか決まらなかったのもそうだが、大事を考えてとっておいたのである。
おっさんも念のため能力を付与しておいた。
これから先何が起こるか分からない。
切り札は多い方が良いのだ。
何にしろ、これでおっさんの軍はかなり強化されたと言っても良い。
これに勝てるヤツがいるのか?と問いたいところだが、他におっさんのような者がいれば、もっと強い構成になっている可能性も捨てきれない。
おっさんは調子に乗らないのだ。
その後、練兵場で実戦形式の訓練を行った。
それぞれの反応は歓喜と驚愕、困惑など様々な感情が混ざり合ったものであったが、戸惑うのも当然である。今までの考えが大きく覆されるのだ。戦後日本も真っ青な価値観の大転換であろう。すぐに受け入れろと言う方がどうかしている。
おっさんは体を光輝かせながら訓練を続ける彼らを温かい目で見守っていた。




