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おっさん、軍神として降臨す  作者: 波 七海


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第57話 三大列強国

■中央ゴレムス暦1582年10月26日

 ヴァルムド帝國 帝都ヴァール


「聞いたか? アウレアで内乱が起こったらしい。とは言っても同時に終息したと言う報告も受けたがな」


 そう呆れた口調で言ったのはラグナリオン王国の北に位置する列強ヴァルムド帝國の大将軍、レジーム・ウェルズである。普段は煌びやかな鎧を身に着けているが、現在はゆったりとした紫色のローブ姿である。彼は今、宮廷内にいるのだ。


「ああ、〈狂騒戦争〉で敗戦国になったあの国ですか?」

「そうだ。アウレアがどうなろうが知ったことではないが情報が遅すぎる。ことが起こったのは3か月以上前らしい」

「それはひどい……」


 レジームの話相手は思わず顔をうへぇと言う感じに歪めている。

 アウレアを大した国ではないと判断した情報下士官が情報を上げるのを忘れていたのだが、それを知ったレジームは烈火の如く怒った。

 アウレアのことを知らせなかったからではなく、情報を上げなかったからである。

 その下士官は今頃地方の職場でマズい飯を食べていることだろう。


「最近、ラグナリオン王国の動きが目に余る。皇帝陛下にはもっと陸軍にも力を入れて頂きたいものだ」


 現在、ヴァルムド帝國を始め、列強国、準列強国は海外にその版図を伸ばしていた。既に敵がいる土地よりも未開の地と言う訳だ。

 とは言え、ヴァルムド帝國は陸でも西のニールバーグと戦争をしている。レジームはその片手間に南のラグナリオン王国を攻めたいと言っているのである。


「おお、ラグナリオン征伐ですか。もし許可がでれば私も是非加わりたいものです」

「あそこには敵が多い。我らが大軍を持って攻めればひとたまりもあるまい」


 そこはレジームの言う通りであった。

 ラグナリオン王国は少なくとも3か国と敵対している。

 バルト王国、ガヴァリム帝國、そしてこのヴァルムド帝國である。

 何より列強の2国に目を付けられているのが大きい。

 肥沃な土地を持つラグナリオンはレジームの目には魅力的に映っていた。


「世界は列強によって分割されるだろう」


 レジームはそう言うと愉快そうに笑った。




 ―――




■中央ゴレムス暦1582年10月26日

 ガーレ帝國 帝都ガレ


 ガーレ帝國はディッサニア大陸に広大な領土を持つ国家である。

 他の列強国と同様に世界の海に進出し未開の土地を我が物にしている。

 もちろん未開の土地にも原住民はいる訳だが、彼らはガーレ人に捕らえられ奴隷の身分に落とされて強制労働に従事させられていた。

 この時代にはどの列強国、準列強国も行っていることだが、ガーレ帝國のそれはより苛烈であった。奴隷をしてガーレのものにだけはなりたくないと言わしめたほどである。


 そんな東西に長い領土を持つガーレ帝國であったが、北側の港は全て厳しい寒さのため凍ってしまい、冬場は使い物にならなかった。海外の植民地にも大規模な港を建造していたが、やはり本国にあるのとないのでは海軍力と言う点で違いがあった。そのため海軍よりも陸軍が大きな力と発言権を持っていた。


 海軍将校のアキモフは同僚たちと会話に花を咲かせていた。

 花と言ってもキナ臭いものである。


「もうすぐ冬が来る。やはり東南部にも不凍港を確保すべきだな」

「できれば西部に欲しいが無理だろうな。強国がひしめいている」

「となると……」

「南下する必要があるな」


 ガーレ帝國が不凍港を得るには幾つか方法がある。

 1つは東進してメルキトアを攻め滅ぼせばよい。

 もう1つは南進してガーランドを攻め滅ぼせばよい。


 しかしメルキトアは強国で知られ、外圧からは一致団結して抵抗する難敵であった。普段は内戦に明け暮れている癖に、外から攻められると途端に力を合わせるのである。


 対してガーランドは多民族国家で、各種族による合議制で政治を行っていた。

 しっかりとした政治体制がある。

 しかし蛮地であると言う認識があった。

 ガーレ帝國は極めて差別意識が強く、人間以外の種族など気にかけるような国ではなかった。そんな国ではあるが、どうもガーランドに攻め入るのは憚られた。


 何故、そんなにもガーランドに忌避感を抱くのか?

 実は意外な事実であるが、ガーレ帝國の祖先はその蛮地に住んでいたと言う。

 そこで暮らしていた時に厄災が重なったのである。


 大地震がガーランド地方を襲い、内陸部の都市は瓦礫の山と化し、沿岸部は津波で壊滅した。更には凶悪なまでの疫病が流行し、全人口の1割が病死した。


 それ以来、ガーレ人はガーランド地方を捨て西へと向かったのである。

 更に言うと、知られていないことだがこの地は放射性物質を含む大地が広がっており、長期間それに晒された人間が被爆して病気になることも多かったのだ。

 ちなみに亜人種は放射線に対する汚染と暴露に耐性がある種族が多いため病気になりにくい傾向があった。


 そんなことなど知る由もないガーレ帝國上層部により、嫌々ながらもガーランドへの進出が検討されてゆくのであった。




 ―――




■中央ゴレムス暦1582年10月26日

 エレギス連合王国 首都エレゲステン


「世界は1つにまとまらねばなりません」


「その通りでございます。女王陛下」


 玉座につくのは1人の女であった。

 彼女こそ世界を股に掛ける大王国エレギスの長たる存在である。


 エレギス連合王国の思想は単純である。

 世界の物はエレギス連合王国の物。

 かつて各地に散逸した物であり、全ての富はエレギスに集まるべき。

 人類の始祖たるエレギス人は世界の頂点に立ち、全ての大地を統べなければならない。それは驕りでも傲慢でもない。


 厳然たる事実。


 この思想は今や女王と貴族諸侯だけでなく、エレゲス人全体にまで及んでいた。

 戦争には連戦連勝、増え続ける海外領土、不平等な貿易により入る一方の富。


 反面、貧富の差の拡大から来る、スラム化や失業率、犯罪率の上昇など抱える問題も多かったのだが、そちらには目が向けられることはない。


「世界にはまだまだ野蛮人が多いと聞きます。我々が教化してやらねばなりません」


「ごもっともでございます。女王陛下」


「決して他の自称列強国や準列強国に後れを取ってはなりませんよ?」


「御意にござります。女王陛下」


 エレギス連合王国の女王フランチェスカ・イング・アイル・アレクサンドは世界制覇の夢を見る。

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