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おっさん、軍神として降臨す  作者: 波 七海


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第51話 祝い続き

■中央ゴレムス暦1582年10月1日

 アウレア アウレアス城


 この日、アウレア大公国第1公女シルフィーナがジィーダバ伯爵に嫁いだ。

 

 戦国の世の習いとは言え、好きでもない相手に嫁がされることはどのような心境だろうか。アウレア国民から人気の高いシルフィーナであったから、親子ほど齢の離れた2人の結婚は国民の関心を呼んだ。

 世間はお祝いムードながらもシルフィーナに同情的だ。


 そんなことを知ってか知らずか、ジィーダバ伯爵は上機嫌であった。

 美女として名高い公女殿下との結婚である。

 それも当然と言えた。それに大公家と縁戚関係となったのである。

 その権勢は今後、増々高くなってゆくに違いなかった。


 大公ホラリフェオが亡くなって3か月での祝い事は早いと言う意見も散見されたが、ホーネットが仲立ちしてとんとん話は進んだ形である。


 儀式はそれほど盛大には行われず、粛々と進行した。

 

 とは言え、アド車でのパレードは公女を一目見ようと多くの国民が駆け付け、中央大通りは祝賀ムードで熱狂する人々によって溢れ返った。


 おっさんも貴族諸侯の筆頭であるジィーダバの結婚とあっては出席しない訳にもいかない。おっさんの関心はジィーダバよりもシルフィーナの方にあったのでおっさん的には出席するのはやぶさかではない。


 おっさんは自分のまるで自分の子供がお嫁に行くかのような感覚に囚われて1人号泣していた。それをドーガとガイナスに笑われたのは言うまでもない。


 何にしろ、これでジィーダバ伯爵の発言力が増したのは間違いないだろう。

 いくら弔い合戦には間に合わずとも、大公の外戚となったのだ。

 その発言は重きを為すことだろう。

 しかしおっさんはあまり気にしていなかった。

 発言力はともかく領土的な総合力で見れば、おっさんの方がジィーダバを上回っていることは間違いなかったからだ。それにテイン家やレーベ家を始めとした親おっさん派も多いのである。


 全ての儀式が終了した後、おっさんは思い出していた。


 ―――

 ――

 -


「何も言ってはくださらないのですね」

「公女殿下、此度はおめでとう存じます」

「そう言うことではないの」

「……」


 おっさんも特段、鈍感な主人公ではない。

 シルフィーナの言わんとしていることは何となく察せられた。

 しかし、何も言う立場にはないのだ。


「アルデ将軍、父の仇を討ってくれてありがとう。そして私を支えてくれたことに感謝致します。至らない弟ですが、ホーネットのことも何卒よろしくお願いします」

「殿下、ご心配なさいますな。大公陛下のことは私がお支え致します。それにジィーダバ卿もいらっしゃるのです」


 シルフィーナはどこか儚げだ。

 おっさんを見る目に悲しみが宿っているようである。


「そうですね……よろしくお願い致しますわ」


 そう言ってシルフィーナはくるりときびすを返した。

 その場から立ち去る彼女はボソリと呟きを漏らす。


「アウレアのこと……導いてくださいませ」




 ―――




■中央ゴレムス暦1582年 同日

 アウレア アウレアス城


 この日のホーネットは威厳の欠片もないほどにだらしない表情をしていた。


 ホーネットの姉であるシルフィーナがジィーダバ伯爵と結婚したからではない。

 ジィーダバ伯爵のところに居たスワンチカがやって来たからである。


 ホーネットもスワンチカもお互いに15歳と言うことで、婚約と言う形に納まったが、彼女を得たホーネットは終始上機嫌であった。


「ふふふふふ……父上が殺されたと聞いた時はどうなるかと思ったが、ここのところ良いことばかりではないか……」


 ホーネットの頭の中には都合の良い展望が映し出されていた。


 それを側で見ていたルガールは逆に将来に不安を感じ始めていた。

 しかし傅役もりやくでこれから最側近として仕えていく者として、自分が導いていかねばと言う使命感にも燃えていた。


「(陛下はお若いからか、どこか浅慮なところがある。それを正すのがわしの役目だ……せめてわしの目の黒い内は陛下をしっかりと補佐してみせる)」


「この調子でバルトもラグナリオンも倒して領土を取り返してみせるわ!」


 ホーネットの妄想は留まるところを知らない。

 彼は今、途轍もない全能感、万能感に満たされていた。


「ガーランドもその先のメルキトアやヘルシアも全て併呑してくれん!」


「(これも若さ故よ。後でジィーダバ卿やニワード卿に相談せねばな)」


 ホーネットは夢を追い、ルガールは心配はするが直言することはない。


 まず話し合うべきは本人同士であった。

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