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彼方からの騎士  作者: アロマセラP
23/28

エピソード1-23

「ありがとうレイハルト、あいつを追い払ってくれて」


「追い払ったというより自爆した感じだったけどな」


 あの後二人は城内を散歩していた。すぐに戻ると面倒なことになりそうだからだ。


「あいつはいつもいつも会うと自慢話ばっかり。聞いてて飽きてくるわ」


 いつもあれなのか。そりゃ会いたくなくなるわな。


「俺が言うのもなんだが良かったのか?相手は公爵だろう。婚約者候補でもあるし」


「いいのよあんな奴。あいつと婚約する気はないし、それに」


 リリアが声を小さくする。


「スレンディット公爵とはことを構える予定なんだから問題ないわ」


 そうだ、俺たちはスレンディット公爵の実験をやめさせるのだ。その時に公爵とぶつからないわけがない。仲良くしておく必要はない。


「それにしてもオルキスのあんな顔初めて見たわ」


 俺に打ち負かされ、権力が効かないと分かったときのことを思い出しているのだろう。身体を震わして笑っている。


「彼、よく力試しとか言って騎士の人たちに勝負を挑んでさっきみたいに脅して八百長で勝っていたのよ。だから負けたのは多分あれが初めて」


 頭が痛くなってきた。そんな勝負に何の意味があるというのだ。


「あ、フィルリリア様、レイハルトさん」


 ちょうど兵士の訓練場の近くを通りかかったときに兵士の一人に声をかけられた。挨拶を返すとこちらに走ってくる。


「レイハルトさん。さすがですね」


「ん?何が?」


「オルキス様のことですよ。堂々と叩きのめしたそうじゃないですか」


 ああ、そのことか。伝わるの早いな。


「自分も彼のお相手を務めたことがあったんですがその時は公爵家って脅されまして、わざと負けさせられました」


 俺たちは彼に連れられて訓練場に移動する。


「あの程度の実力の人に負けなければならないのは悔しかったですよね」


「それはもう、悔しいですよ。実力もないのに権力だけで勝つなんて」


「今日の自慢話に入っていたわね。騎士の一人に勝ったって」


「自分は一介の兵士ですのでそれとは違いますね。騎士団の方にも行ったんですか」


 兵士がため息をつく。


「兵士と騎士って所属が違うんですか?」


 自分の知っているものだと軍の階級みたいなもので所属は同じはずだ。


「そうですね、なんて説明したらいいか」


「何を悩んでいるんだ?」


 兵士が悩んでいるとグランツが歩いてきた。


「グランツ将軍、騎士と兵士の違いについて質問されました」


「ふむ。では私から説明しよう。この国の軍は一般兵、騎士、将軍という風に階級分けされている。将軍である私は軍の総括をしている。通常1人だ。その下に騎士がある。騎士とは兵士の中でも特に腕の立つものをまとめてそう呼ぶ。彼らは彼らで集まって訓練しているからな。周りは騎士団と呼んでいる。実際にはそのような組織はないが。最後に一般兵。彼らはそれ以外の全員だ。軍の大半がここに所属している。この国ではこうなっている。他の国では違うところもあるそうだが」


(騎士団がないのか)


「何か質問はあるか」


「騎士数人と一般兵で作られたグループは作らないのですか?」


「確かにそういう案も出たが騎士連中がな、弱い奴と組みたくないという輩もいてな。もちろんそういうグループもありはするが一部だな」


 なんかいろいろ元の世界の知識と違う。まあ、異世界だし仕方ないか。


「しかし、別々に訓練していてはいざというときに連携が取れないのではありませんか」


 俺のその言葉にグランツは驚いたような顔をした。


「ほう、それだけの強さを持っていながら連携の重要性を理解しているのか」


「個々がいくら強くても連携が出来なければお互いに邪魔になりかねないですからね」


「その通りだ。だから本当は騎士と兵士で一緒に訓練したいのだが騎士連中が首を縦に振

らん。教えることにも意味があるというのに」


「もしかして、騎士も貴族が多いですか?」


「まあ、そうだな。幼いころから剣の稽古をしてきた次男以降の人間が多いな」


 騎士にも腐敗貴族の影響が。


「最も、軍に入った者らは家の格ではなくきちんと実力で判断するように指導して平民だ

からと見下すような奴はいないがな」


 さすがはグランツ将軍。きちんと教育されている。


「だがそのせいで、実力のない者を見下すようになってしまったが。そこを何とかしない

といかん」


(実力主義だとそうなるのか)


「ところでどうだろう、少し訓練に付き合ってくれないか」


「分かりました。お付き合いします」




「レイハルトさん、となりいいですか」


 騎士の一人が声をかけてきた。今は食事中。リリアとは別行動している。


 食事は王族とそれ以外で分けなければならないらしく、専属騎士といえど同席は許れ

ない。


 俺は頷いて座るよう促した。


「昨日一般の奴らの訓練を手伝ったそうですね」


「はい、まあ」


「あなたほどの実力者だと、一般相手では物足りないでしょう」


「そんなことはありませんよ。自分と違うタイプの人と手合わせするのは新たな発見もあ

ります」


「そうなんですか」


「そうですよ、それに教えていると今まで気が付かなかったことに気づいたりもします」


「グランツ将軍と同じことを言うんですね」


「グランツ将軍も?」


「ええ、『教えることも訓練だ』と言われています」


 さすがグランツ将軍。よくわかっている。


「ではなぜ、騎士は別れて訓練されているのですか。一緒にやればいいのに」


「それは、まあ、いろいろと」


 騎士はそこで言葉を濁す。


「それより、この後我々の訓練に付き合ってもらえないですか?」


「自分はフィルリリア様の専属ですので、フィルリリア様に聞いてみないことには」


「そうですよね」


「この後聞いてみます。大丈夫なら訓練場に向かいます」


「ありがとうございます」


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