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彼方からの騎士  作者: アロマセラP
12/28

エピソード1-12

翌朝、俺たちはまた、村に向かって歩き始めた。


2人とも服は返り血で汚れていたため着替えている。俺の恰好はリリアたちの服装を見て、時代に合わせて黒のワイシャツに紫のコートを合わせている。


これでおかしくないはずだが。中世ヨーロッパの服、もっと調べておけばよかったな。リリアは前の色違いだ。


(くそ!あのコスチュームお気に入りだったのに!)


 一旦コスチューム変更してから戻せば汚れが消えているかと思ったがそう甘くはなかった。川か何かで洗わなければ。


「この近くに水辺ってあったっけ?」


 俺が聞くとリリアは地図を見た。


「んー、少し離れた場所に泉があるっぽいわね。」


「じゃあ、そこに行って、服を洗おう」


「……、そうね、そうしましょう」


 リリアも血の付いた服を持っていたくないのだろう。同意してくれた。



 

 街道沿いを歩いているが歩行者は自分たち以外誰もいない。時々、商人の馬車がすれ違う程度だ。


昨日の奴らのような盗賊が他にもいるのだろう。馬車にも護衛がついていた。だからこそ、一人で歩いていた少女が余計に気になってしまった

 盗賊の場所から数日歩いたとき、その少女を見つけた。少女は一人で、特に武装もせずにただ歩いていた。


「なあリリア」


「何かしら」


 声を小さくして話す。


「あそこの女の子」


「やっぱりあなたも気になるのね」


「そりゃあ、なあ」


 先日盗賊に襲われたばかりだ。女の子が一人で歩いているなんて無謀以外の何者でもない。


もしかしたら、ものすごく腕が立つのかもしれない。しかし、それならなお、こんなところにいるのはおかしい。


それほどの実力があるとすれば国やどこかの町の騎士団に入れるはずだ。何か理由があるのか。それとも本当の無知で運が良かっただけなのか。


(気になる、が、話しかけるべきか)


 もし、訳ありで、凶悪な犯罪者だった場合。また、あの少女自身が餌だった場合。こちらが危険にさらされることになる。


もうあんなことはごめんだ。人は二度と殺したくない。


 リリアも同じ考えのようでひとまず一定距離を置いて見てみることにした。




 日が暮れてくるまで何も無かった。


 日が暮れてからでは作業がし辛くなるので、野宿の準備に入った。


「すみません、ご一緒してもよろしいですか?」


 野宿の準備をしていると、少女のほうから声をかけてきた。これには驚いた。リリアも驚いた顔をしている。


 少女は金髪を肩口でそろえている。顔立ちはまだ幼さが残るが整った顔だ。リリアがきれいと表すなら、この子は可愛いだろう。


どちらも美少女には変わりはない。


 とまあ、外見の話はさておき、これは、警戒せざるを得ない。


無知と餌。どちらかの可能性が高くなっている。オルガも警戒しているようだ。


しかし、ここで追い返すのも不審がられるだろう。俺はリリアに目配せし、リリアが答えた。


「ええ、いいわよ。あなたも一人で大変でしょう」


「はい、まあ。でももう慣れました」


 慣れた。つまり一人旅を大分長くしてることになる。ますます怪しい。


 少女とリリアが少し話をして、少女がふとこちらを見たとき、なぜか少し驚いた顔をした。


なんだ?


「ん?どうかした?」


「いえ、何でもありません」


 また話に戻る。


「レイハルト、貴様、あのものの知り合いか」


 オルガが聞いてくる。先ほどの反応を見ていたのだろう。


「いや、知らないな」


 俺はこの世界に来てから初めて会ったのがリリアたちだ。そしてそれからはずっと行動を共にしている。


リリアたちの知らない人間と知り合いになる機会はなかった。


「レイハルト、オルガ、ちょっと」


 リリアに呼ばれ、二人は少女から少し離れた場所で丸くなる。


「少し話を聞いたわ。彼女、ただの旅人みたい。何でも旅物の冒険譚を読んで旅を始めたそうよ。それと少し魔法が使えるらしいわ」


 なるほど、それで一人旅を。よく無事だったな。


この世界の魔法はよくわからないが、少しといっている以上あまり強力なものが使えるとは思えない。


「それと向かう方向が途中まで同じみたいなの。そこまで一緒に行かないかって」


「危険じゃないか?」


「大丈夫、かどうかは分からないわね。でも、もし彼女が餌なら接触した時点でもう」


「確かにな」


 そう。もし、彼女が餌だった場合、すでに盗賊には目を付けられていると思ったほうがいいだろう。ここは警戒しつつ、行動を監視するべきか。


「なら、とりあえずは行動を共にする方向で行くか」


 リリアとオルガもうなずく。


「ラレナさん、大丈夫よ」


「ほんとですか!ありがとうございます」


 ラレナと呼ばれた少女は駆け足でこちらまで来た。


「これから少しの間ともに旅をするから自己紹介。私はさっきしたからこの二人。レイハルトとオルガよ」


 リリアが順に指を指して言う。


「私はラレナといいます。よろしくお願いします。」




「ファイア」


 ラレナが魔法で薪に火をつける。普段は俺がやっているがラレナが一時的に仲間に加わったため、今回はラレナにやってもらった。


(この世界の炎の魔法はファイアというのか。ということは、言語は英語に近いのか?)


この世界に来た時からすでに翻訳システムが働いていたので、この世界の言語がどのようなものか分からなかった。


だから、魔法の「ファイア」という言葉からそう想像した。ちなみに惑星激録の言語は英語とドイツ語が混じったようなものか、完全にオリジナルの言葉だった。


「お二人共魔法は使えないんですか?」


 ラレナは俺たちにそう聞いてきた。


魔法が使えるラレナに火を頼むことからそう予測したのだろう。確かに魔法は使えない。


「一応レイハルトが使えるわ」


 魔法ではなく魔技だがな。


「そうなんですね、レイハルトさんはどんな魔法が使えるんですか?」


 どう答えよう。そもそも魔法じゃないし、炎の魔法を見た限りじゃ、多分全部名前も違うし、さて、


「火と氷と風は見たわね」


 リリアがそういう。これはありがたい。属性だけでよさそうだ。


「それと雷と光と闇。全部攻撃系だけだが、あと回復が少し」


 この世界に攻撃魔法以外にあるのかどうか分からないがとりあえずそういっておく。


「攻撃特化?極端ですね」


 ラレナが不思議そうな顔をする。この反応を見る限り生活系の魔法もありそうだな。


「そういう君はどうなんだ?」


「私ですか?」


「ああ、君はどんな魔法が使えるんだ?」


 こちらは明かしたんだ、そっちにもしゃべってもらう。こんな絶好の情報収集のチャンス、逃すわけにはいかない。


「私は火、水、風、氷、雷、土、光、闇ですね」


(そんなに種類多いのか)


 自分が使えるものとは種類数が違う。まあ、この世界は科学が発達していないみたいだから、その部分を魔法で補おうとしてそうなっているのだろう。きっとそうだ。


(ゲームのほうが劣っているなんてことはないはずだ)


 そもそも、ものが違うのだから比べる必要はないのだがどうしても考えてします。


 そんな他愛のない話(ただしいろいろ情報は入ってきた)をしながら食事を済ませると各々寝る準備に入った。


「今日は三交代でいきましょう」


 三人いるし妥当だな。


「へ?これではだめなんですか?」


 ラレナが詠唱を始める。


「シールド!」


 三人の周りにドーム状の壁が出来る。


「これは?」


「光属性の防御魔法です」


 防御魔法、そんなものが。


「そういえばレイハルトはこれできないの?」


 リリアが聞いてきた。出来ませんよ、だってゲームに無かったもん。


「残念ながら」


 と首を横に振る。氷の壁ならもしかしたら出来るかもしれんが、多分もろい。そしてとてつもなく寒い。


「でもこれなら火の番もいらなさそうね」


「そうだな」


 全員で寝る準備に入る。この魔法が朝まで解けなければ魔物にエネミーに襲われる心配もない。まあ、火は消しておこう。二酸化炭素中毒で死にたくはない。


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