第七話 食卓
だい8部分と今回の9部分が逆で投稿してしまいました。違和感感じた方申し訳ありません(´;ω;`)
「……ラン、アラン、起きろ」
「んぅ」
目が覚めると、フレイヤがしゃがんでこちらを覗き込んでいた。
周りは真っ暗だ。
なんだっけな、確か魔術を使ってる最中にフラフラして……。
「夕飯だ、先行くぞ」
状況を整理していると、そう言ってさっさと歩いて行ってしまう。
ん……。夕飯?
俺は使い慣れた布団を勢いよく蹴り、ドタバタと音を立てて階段を下りる。
すると案の定、フレイヤも席に着いている。
だが一番気になるのはそこじゃない。
明らかにおかしい。
フレイヤ、それは俺の椅子だ。
「あらアランちゃん、起きたのね」
「はい、心配をかけてすみません。で、フレイヤ何してんの?」
「夕飯だ」
「いや!それは見れば分かるよ!」
「フレイヤさんはアランちゃんを背負って連れて帰ってきてくれたのよ。聞けば魔術のお師匠さんなんでしょ?宿に泊まるくらいなら、うちにいて貰えばいいのよ」
「ま、まあ、おばさん達がいいのなら別にいいですけど」
「じゃ、新しい椅子出すからご飯食べちゃいましょ」
そしてなぜか、新しい椅子の方が俺の物となった。
よく分からないがフレイヤは俺の椅子が気に入ったらしい。
俺たちは魔術や今後の事について、ベッカー夫妻にも話しながら、あっという間にご飯を平らげた。
どうやらベッカー夫妻はフレイヤの事を気にいったらしく、この村を発つまでは家に住まわせる気満々だ。
まあ二人が良いなら別に何も言わないが……。
部屋は二階の空き部屋を使うらしい。
俺の隣の部屋だ。
「で、何で俺は倒れたんだ?」
夕食後、俺の部屋でフレイヤに尋ねる。
なぜかフレイヤは俺の部屋に入り浸っていた。
「初めてなのにエネルギーを使いすぎただけだ。エネルギーを魔石で変換する時、体内のある成分を使う。それが俗に言う『魔力』というやつだ。魔力はエネルギー消費が多い程、それに比例して消費される。そして魔力が尽きると、さっきのように気絶したりするんだ」
「なるほどな。あ、でもじゃあ俺の魔力って雷二発出したら無くなる程少ない……ってこと?」
「まあそう言う事だな。だが、アランの出した雷はかなりの大きさだったぞ」
「そうなの?」
「ああ。初めてであれを二発も出せたら大したものだ。それに、魔力というのは使えば使う程総量が増える。だから毎日気絶する寸前まで使い続ければ、一年もすればそれなりの量になる。それに魔術が上達すれば、エネルギーの消費効率も良くなって無駄なエネルギーを使わなくなるからな。何ら心配はない」
「へえ。じゃあフレイヤの魔力も今だに増え続けてるの?」
「そうだな。まあ、最近は魔力切れになったことすらないけどな。だが、魔力は幼い時の方が増え易いみたいだから今のうちから増やしておいた方がいいぞ」
「なるほど」
魔力は増えるものなのか。
だとしたら、魔力は体力に似ているのかもしれない。
使えば使う程、総量が増える。
そして休めば徐々に回復するのだろう。
今はもう気だるい感じはほとんどしない。
魔力は十分回復していると見ていいだろう。
もしかしたら全回復しているかもしれない。
ならば、寝る前に全て使ってしまった方がいいだろうな。
「フレイヤ、今はもう疲れていないし魔力は全部使ってから寝た方がいいよな?」
「そうだが、今日はまだやめておけ。この家の壁は木造みたいだし、さっきみたいに雷なんて放ったら壁を貫通するな。もう少しコントロールできるようにしてからの方がいい」
確かに、それは笑いごとじゃ済まないな。
雷以外の魔術はまだ使えないし、今日はやめといた方がいいか。
それにしてもフレイヤは何でも知っているな。
これからは親しみを込めて、歩くジーニアスと呼ぼう。
もちろん、心の中で。
面と向かって言ったら何されるか分からないしな。
俺にそんな度胸はない。
そんなくだらない事を考えていると、フレイヤは、明日も朝七時に山へ行けるようにしておけと言い残し、隣の部屋へと戻っていった。
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