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LOVE&PEACE ONLINE  作者: シーグリーン
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01 はじまり

なんちゃってVRMMOを許せる方のみどうぞ

 



 発売してからそろそろ1年が経とうとしている大人気VRMMO『LOVE&PEACE ONLINE』、通称ラブピ。


 日本とどこかの国が共同で開発した、とにかく世界中で大人気のオンラインゲームだが、連日ニュースに取り上げられている為、流行りものに乗っかりたくないという謎のプライドが邪魔をして私はそのゲームとは距離を置いていた。


 最初「ラブピて」と思ってしまった事も距離を置いていた理由の1つではある。

 今でも思う、ラブピて。

 強面の渋オジ上司が「ラブピでさあ~」なんて喜々として話しかけてくるんだもの。

 可愛いけどラブピて。



 しかし1周年記念という事で、すでに遊んでいるプレイヤーはもちろん、これから始めるプレイヤーに向け『心の友の魂』1つプレゼントという特典が発表された。



 心の友とはプレイヤーと行動を共にするファンタジー存在で、パーティー人数にカウントされないサポートキャラの事である。

 人型・獣型はもちろん、魚のような心の友、機械の心の友までいるようだ。

 心の友の魂というアイテムを使う事で召喚できるようになる。


 中々手に入らない超レアなアイテムのようで、手に入れている人はラブピ内の掲示板というやつで有名になれるらしい。

 ゲーム内の有名人にはファンクラブまであるそうだ。

 リアルの姿を知らないのに大丈夫なんだろうかとは思うが、オフ会なんてものがあるのかもしれない。



 まあそんなこんなで、このタイミングで私も流行りに乗っかる事にした。

 今の賃貸では動物を飼えないので、このゲームの心の友で生き物と暮らしたい欲を満たそうという試み。

 というか犬が当たれ。


 多くないボーナスが一瞬で無くなったが、実際にペットを飼うともっとお金がかかると自分に言い聞かせ、家電量販店の包装紙が申し訳程度に巻かれた箱をひいひい言いながら電車で持ち帰った。


 電車で仕事帰りの大人達には優しい目で見られ、高校生にはクスクス笑われ、とても恥ずかしい思いをした。

 ほとんどの人は家に届けてもらうらしい。

 どんだけゲームしたい人なんだ私は。


 そして、塾帰りらしき小学生には序盤のスキル選びが重要だと教えてもらった。

 眼鏡少年、ありがとう。

 こんな大人になるんじゃないぞ。







「おも……手がちぎれる……」



 ようやく家に到着。

 ゲームを始める前から精神的にも肉体的にも疲労困憊。もう寝たい。


 家の近くのコンビニ店員さんに「お荷物いったんお預かりしましょうか」と優しくされたし恥ずかしゲージが溢れそう。

 しばらくあそこのコンビニ行けない。顔覚えられた。恥ずかしい。


 が、セッティングに時間がかかるらしいので本日最後の気合いを振り絞りがさがさと箱からヘルメットみたいなVRギアと説明書を取り出す。


 これかぶってるとこ見られたくないな……。

 何百万人も同じ状態なんだろうけど。



 設定が終わるまで、もそもそとコンビニ弁当を食べ――あんな優しさを発揮されるんなら女子っぽいオシャレ弁当を買うんだった。

 焼き肉チャーハン弁当に豚汁なんて本気のお弁当を買うんじゃなかった。

 もりもり食べるけど。



 夜ご飯を食べ終わりお風呂に入って準備完了。

 お風呂に入って目が覚めたし今日はチュートリアルくらいまで進めたい。

 明日は休みなので慌てる事もない。



「えーと起動は――――これか……うわ……!」



 少しの浮遊感と共に、視界が真っ白になった。







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