第18話
森を掛けポーラー達の所に向かうケン達は、もう少しで着こうとしていた。その時獣の遠吠えが聞こえた。
｛ケンお兄ちゃん！助けてだって！｝
｛ああ聞こえた｝
｛ケン様どうしますか？｝
｛獣の声と言う事は、モフモフの可能性が高い。それは当然助けるだろ！｝
｛うん！｝
｛はい！｝
そして俺達は、遠吠えのした方角に向かって行くと。そこには見覚えのある者達が居た。
｛またこいつらか！｝
そこに居たのは、今まで散々倒して来たオーク達５匹だった。そしてそのオーク達の前の地面には１匹の狐が血だらけで倒れていた。
｛ルティ！マリア！助けるぞ！｝
｛はい！｝
｛うん！｝
ケンはドミスの店で買った。新しい剣ジャマダハルを口に咥え、１匹のオークに【疾風】を使い間合いを詰め、一瞬にしてオークに突き刺し倒した。そのまま残りを倒そうとオークを探すと、既に頭を吹き飛ばされたオークが肉の塊に変わろうとしていた。
ル、ルティ……と、それより！
｛マリア！頼む！｝
マリアは狐に近付くとヒールを掛けた。傷は治りはしたが、ダメージが酷すぎるのか目を覚まさなかった。
｛マリア？どうなんだ？｝
｛これは不味いですね……傷は治ったんですが。体力と魔力がなくなり掛けて、今の状態を維持するのがやっとみたいですね。このままでは……｝
おいおい！どうすれば……このまま見殺し？……いいやそれは許さない！じゃあどうする……
｛もしもですけど……助かる方法があります！でもそれは可能性は低いですね｝
マリアが可能性のあることを言ってきた。その方法とは、俺がテイムすればこの子の基礎値があがるので、それで回復するらしい。確かにテイムしたら強くなるとは聞いていたが……でも。テイムするには相手と戦って認めさせるか、好感度を最大にしないと駄目……今のこの状態で戦闘は無理！好感度を上げるにもマリアみたいに神様の信者だったなら、その可能性もあるけどこの狐は違うだろ。
｛ケンお主！目の前の狐を助けたいか？｝
俺が自問自答していると、爺さんから念話が届いた。この爺さん何時もいいタイミングで話し掛けてくるけど、いつも俺達の事見てるんじゃ無いのか？
｛なぁ爺さん？もしかして……｝
｛な、なんじゃ！儂は偶々下界を覗いたらお主が困っておったから話しかけたんじゃぞ！決して暇で毎日見てるわけじゃないぞ！｝
ああ見てるのね……でも、今はいい。それより今は。
｛爺さん！俺はこの狐を助けたい！何故だか分からないけどこの子は、助けるべきだと俺の中８８何かが言っている！だから教えてくれどうすれば助けられる！｝
｛そうかじゃあ教えよう！だがこれは普通のテイムとは異なる方法じゃ！よく考え使うのじゃ！｝
それから俺は爺さんにその方法聞いた。それは確かに助かる……でも……試すかは本人次第。そして狐は目を開けてこちらを見ていた。
『おい！お前はこのままだと死んでしまうぞ？このまま死にたいか？それとも何であれ生きたいか？』
狐は黙ったまま俺の話しを目を反らさず聞いていた。少し考え狐は『いきたい』とかすれた声で答えた。それを聞いた俺は狐に助ける方法を教えると。狐は驚きでも覚悟を決めて頷いた。
『分かったじゃあこれより始めよう！』
｛マリア、ルティ。俺はこれからこの子を助ける。そしてその間は無防備になるからその間ここの警戒をお願いする！｝
｛はい！ケン様｝
｛うん！お兄ちゃん！この子を助けてあげて！｝
俺は横になってる狐の左前足を持つと、爪でひっかき血を流させる。そして両手の手の平を狐に向け魔力集中させる。３分ほど魔力を集中したら俺と狐を中心にして、半径２ｍの魔法陣が地面に白く輝き、狐の流れた血が魔法陣に沿って流れて行くと。ケンの体から紫色の霧のような物が出てきて、
魔法陣に吸い込まれていった。
『獣魔契約』
俺がそうスキルを発動すると、地面に書いてあった魔法陣は上に浮き上がり、半透明な壁で包み込んだ。その時眩しい光が発生して消えた場所には、ケンと先程より少し大きくなった。薄茶色の狐が居た。
（妖狐と獣魔契約が成功しました）
ふぅ～なんとか成功したのか……それにしても結構魔力を持って行かれるんだな……と。それより
『おい？大丈夫か？』
『ええ……大丈夫よ！助けてくれてありがとう』
『そうか良かったよ。そうだ初めに言った説明を覚えてるか？』
『ええ覚えてるわ！あなたが死ぬと私も死ぬのよね？そう言う契約だって言っていたわよね？』
そう俺が爺さんに教えてもらったのは、【テイマースキル】の１つ【獣魔契約】と言うやつだった。これは通常のテイムとは違いは、通常のテイムはテイマーがもし死んでも、契約解除になるだけで終わるが。獣魔契約はテイマーが死ぬと一緒に死んでしまう。この獣魔契約は望まぬ相手に自分の魔力で無理やり契約する事ができ、絶対服従となる恐ろしい契約である。その代わり進化する事で通常のテイムよりも強くなれる。
『そうだ！本当に良かったのか？』
『ええ……あのままでは、私は死んでいたからね！私はオーク達に復讐をしたいのよ！彼奴等は私達の群を襲って仲間や家族を殺し。食べていたのよ！』
『なんだって！』
