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科学部の大魔法使いⅠ-強い絆でー  作者: ゴマ団子/Masari
第6章 科学部の魔法使い達
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第五十九話 ラスボス戦?

俺達は走ってかなりの距離をとる。

それほど焦る事もなく、まるで鬼ごっこが始まる前みたいに楽しい気分だ。

あの安田先生が負けるわけがない。

そう確信していたからだ。

俺達が入ってきた門へ近づいていると、後ろから閃光が走る。


「はああああ!」


振り返るとこの世では起きる事はないであろう現象が起こっていた。

物理に反した法則に囚われない不思議な力。

俺達がいつも使っている、限られた魔法ではなく、無限の可能性と種類がある…。

本物の魔法だ。


「『暗黒のエネルギーを放て』っっ!」


「『光の障壁よ、守れ』!」


「まだっ!『巨大なる火炎を放て』!」


「『尖し氷の刃よ突き抜けよ』っ!」


言葉が厨二臭いのは気のせいだろう。

確か、魔法は脳で考えたものをそのまま具現化することができるんだよな?

…アニメや漫画に影響され過ぎだな。


「凄いな!生きててよかったよ!」


夢呂日がこの光景を目の当たりにして大喜びしている。

まぁ、俺もその光景から目を離さないのだが。


「俺達もあんなのできたらもっと強いのになぁ」


「まぁ、お前のワープも凄いじゃないか岳信。先生でも、一日家から学校だと10回ぐらいしかできないらしいし」


「でも、多種多様な魔法も使ってみたいよなぁ」


「確かに」


相手を惚れさせる魔法とかないのかな?

あったら使って美人な彼女が欲しい。

………。

俺って、ビームに様々な効果つけれるんだっけ?

『相手を惚れさせるビーム』とかできるのかな?

今度試してみよう。


「お前…。そんなことしたら人間じゃなくなるぞ…」


どうやら勝手に心を覗いたであろう夢呂日がそんな事を言ってくる。


「いつも、女子の裸体とかを覗いているお前には言われたくはないね」


「でもお前…。それだけはやめとけ」


「じょじょ、冗談に決まってるだろ、そんなことするか」


うん。

やめとこう。

そんなことしたら植田よりも大罪な気がしてきた。


「なぁ」


ずっと黙っていた陰影が口を開いた。


「ん?」


「これって、本当にラスボス戦ってやつなの?」


「まぁ、そうなんじゃないか?」


めちゃくちゃ緊張感ないけどな。

あ、でも真のラスボスとかいるかもしれないな。


「じゃあ、あの人たちどうするの?」


陰影が指を指してそう言う。

指した先には一緒にきた先輩達。

三年の先輩二人は来る時にしていたゲームの通信プレイを再開し、二年の先輩達はまた無料動画サイトで何やら科学の実験をしている動画を観ていた。

ちなみに、藤川先輩はどこにいるかわからない。

うーん、緊張感が全くないな。


「『十◯ボルトと五百アンペアの雷よ』!」


何故そんな設定するの⁈

てか、十◯ボルトはやめてぇぇぇ!


「十◯ボルトと五百アンペアの電力は?」


陰影が夢呂日に聞く。


「確か、お互いかけて五億ワット?」


「正解」


あー、なんかクイズしてる。

そんな事は一年生で習わなかったと思うんだけど。


「おーい、学。暇だし、俺寝るわ」


そう言って、床に寝そべる岳信。

てか、こんなとこで寝るな!


「やったああ!勝ったあ!」


「くそっ!もう一回だもう一回!」


矢田先輩と沙羅先輩はゲームで盛り上がっている。


「くそ、ならば『水素を生成』!そして、『強大な力を持つ爆炎発生』っ!」


植田が唱えた魔法をなんなく安田先生はかわす。

なんか、大魔法使い同士の戦いが子供の喧嘩に見えてきた。


「よーし、じゃあ次は陰影が答えろよ?水素の次に軽いのは?」


「ヘリウムだな」


「正解」


………。


「先輩、俺も観せてくれません?」


俺は岡本先輩にそう話しかけた。


「おお、学!観ろ観ろ。今、『錬金術に挑戦してみた』っていう動画を観てるんだ」


なにそれ、凄く気になる。

そして俺も、現実逃避をしたのだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ふっふっふっ、まさか『災厄の書』を手に入れた僕がもうすぐ負けそうだなんてね」


そのあとなんやかんやがあって、安田先生が勝ちそうな雰囲気である。

でも、流石にわかる。

ここから先は第二形態の登場だな。


「これが何かわかるか?」


「それは…⁈」


植田の手にあるのは昔俺達が飲んだ『魔素水溶液』である。


「これを飲むとな…」


植田が魔素水溶液を飲み干す。

すると、体が輝いて…。


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